英語のネイティブ・スピーカーと、非ネイティブ・スピーカーの私の英語を比較するシリーズの7回目です。私の英文だけでなく、英語のネイティブ・スピーカーの英文を使って英文を作成する実際の流れを観察することで、英語を [どうやって話すのか] を考えていきます。
- 非ネイティブの私が英文を作成していく過程を細かく分析
- 英語のネイティブスピーカーは、同じ日本語をどんな英文にするのか
- 彼等の英文を見て感じた疑問についての質疑応答
という段階を経て、最終的にどうしていくべきかを解説していきます。(そこから英会話上達へのヒントを探ります)
日本語を実際に英文にすることで、どう英文を作成していくかのを考えます
利用するのは、以下の日本語です。
TITLE: [ボブ、今、どこに住んでんだ?] -7
Malda:ありえない!本当に言ってんの?!
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Malda:あの辺は、夜、かなり危ない場所だよ! そもそも夜の10時以降に歩いて帰ること自体が、ここでは危ない行為だよ。ボブ、私がどうやってここから家まで帰ってるか知ってる?? 歩いて帰れない距離じゃないけど、安全のために親か兄弟に迎えに来てもらってんだよ。
場面設定は、コロンビアの英会話スクールに通うボブと友達、先生が授業が終わった後に学校の前で冗談を言い合っての会話。基本的に生徒と先生は、仲良くなると友達感覚でため口で話しているので、formal な言い回しはほとんど出てきません。
[登場人物]
1,Bob ,,, 学校に通う生徒(一番の目的は英会話学習より...友達作り)
2,John ,,, ボブのクラスの担当教師で、後のボブの友達。
3,Malda ,,, 学校の教師でチーフマネージャー(女性)。ジョンの上司。
4,George ,,, 現職の警察官。とってもチャラくてナンパ好き。
点線より上は以前に説明しているので、今回は点線より下を英文にします。
それ以前の私とネイティブの英語/分析等は、こちらをどうぞ。(1から続く話です)
ネイティブの英語と比較してみよう2-(~してないよね?)等-解説付
ネイティブの英語と比較してみよう4-(旅で培ってきた勘かな)等-解説付
では実際に英文を作成してみます
最初の文は、1,[あの辺は、夜、かなり危ない場所だよ!]
この日本語を見て、私の頭に浮かぶのは、[ああ、基本文に当てはめるだけね] ということです。
基本文とは、
基本文:[主語 動詞 動詞に関連 ~ (+ 接着剤 説明)]
([主語 動詞 動詞に関連] までが、基本文の核)
英文は、[主語] [動詞] [動詞に関連] [接着剤 説明] という四つの枠組みで構成され、それら四つの枠組みは、状況に応じて個々に拡張したり、複数が拡張したりします。
[主語] ,,,, I/You/He/She/We/They/It/名詞
[動詞] ,,,, [~する] という意味を表すもの
[動詞に関連] ,,,, 基本、名詞/形容詞/me/you/him/her/us/them/it(正確には、動詞に関連するもの)
[接着剤 説明] ,,,, 前置詞/不定詞/動名詞/接続詞/関係代名詞/関係副詞 etc (正確には、接着剤効果のあるもの)
拡張とは、それが単独ではなく何かと一緒に利用されることで、[表現できる幅を広げていく] ことを意味しています。
基本文について詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ。
まず英語の基本文の核に、英単語を当てはめていきます。
主語 => あの辺は => That area
動詞 => (です) => is
動詞に関連 => かなり危ない => so dangerous
[主語 動詞 動詞に関連] => あの辺はかなり危ない(です) => That area is so dangerous
そして足りていない説明を接着剤効果のあるもので補足します。
=> That area is so dangerous + at night . (あの地域は とても危険だよ 夜は)とできます。
ただ、ここでは [夜が、特に危ない] ということをもう少し強調したいと考えて、
[特に] という意味で使える副詞 [especially] を活用したいと思います。
=> That area is so dangerous at night .
=> That area is so dangerous , especially at night . (あの地域は とても危険だよ 特に夜は)
[, especially + 名詞] で [特に~は] という説明を付け足すことが可能です。基本文の核 [主語 動詞 動詞に関連] を作成して、接着剤でくっつける部分を少しだけ工夫するという感じです。(副詞については違う時に詳しく説明予定です)
続いて、2,[そもそも夜の10時以降に歩いて帰ること自体が、ここでは危ない行為だよ]
最初に [そもそも] を英語にします。[そもそも] は、[to begin with] という決まった言い方で表現可能です。他にも、[First of all] [In the first place] 等も同じ意味で利用できます。
ここで注目したいのは、[夜の10時以降に歩いて帰ること自体が、ここでは危ない行為だよ] の文の形態が、[~です ~することは] という形になっているという点です。
[~です ~することは] は、[It is 形容詞/名詞 to 動詞 ~] で表現可能です。
なので、そのパターンに沿って英単語を当てはめるために、日本語は [危険だよ 歩いて帰ることが 夜の10時以降に ここでは] と頭の中で変換します。
=>It's dangerous to walk home (危険だよ 歩いて帰ることは)
そうすると足りていないのは、[夜の10時以降に] と、[ここで] という部分なので、接着剤を使って説明を付け足します。
=> It's dangerous to walk home + after 10pm + in Colombia .
これでもいいのですが、もう少し [ここでは] という意味を強調したいので、[ここでは] を [ここコロンビアでは] として =>[here in Colombia] を利用した英文にします。その [here in Colombia] は英文の頭でも利用できるので、全てをつながると以下のようになります。
=> To begin with , here in Colombia , it's dangerous to walk home after 10pm . (そもそも ここコロンビアでは 危険だよ 歩くことは 10時以降の夜に)
もちろん、[here in Colombia] を最後に置いても同じです。
=> To begin with , it's dangerous to walk home after 10pm , here in Colombia.
続いて、3,[ボブ、私がどうやってここから家まで帰ってるか知ってる?]
ここで私が注目するのは、[知っている] という部分です。通常 [知る] という動詞は [know] です。この動詞 [know] は非常に便利な動詞で、パターン化された表現を導くことが可能です。
1,[主語 know + that 基本文]=>[~は知っている ~が~するのを/ということを]
2,[主語 know + how 基本文]=>[~は知っている ~がどう~するのを]
このパターンの便利な所は、最初の部分を変えることで表現の幅を簡単に拡げられる点です。
=> I know that 基本文. (私は知っている ~が~するのを/ということを)
=> You don't know that 基本文. (あなたは知らない ~が~するのを/ということを)
=> Do you know that 基本文? (知ってますか ~が~するのを/ということを)
ここで使うのは、2の [~は知っている ~がどう~するのを] です。日本語を頭の中で組み替えてみると、[ボブ、あなたは知ってる 私がどうやってここから家まで帰ってるか] となります。その変換した日本語を [主語 know + how 基本文] の中に収まるように英単語を当てはめていきます。
[家に帰る] は [主語 get home] にして、
=> You know + how I get home after class . (あなたは知ってる 私がどうやって家に帰ってるか 授業の後に)
[after class] とすれば、どこから帰るのかは理解できるので [ここから] という部分はここでは省略します。
実際は、これの疑問形なので、
=> Bob, do you know how I get home after class ? ということです。
次は、4,[歩いて帰れない距離じゃないけど、安全のために親か兄弟に迎えに来てもらってんだよ]
このままだと英文にしにくいと感じるので、日本語を三分割します。[安全のために]、[親か兄弟に、迎えに来てもらってんだよ]、[歩いて帰れない距離じゃないけど] の3つに。
最初に [安全のために] を英語にするのですが、[~のために] という表現が可能な接着剤 [to] を利用して、[安全のために] => [To be safe,] にします。
続いて [親か兄弟に、迎えに来てもらってんだよ] ですが、こういう文を考える時に重要なのは [自分の立ち位置を理解する] ことです。誰がする側で、誰がされる側なのかを考えることで、する側を主語に、される側を動詞に関連に当てはめていきます。
ということは、[親か兄弟に、迎えに来てもらってんだよ] を、
=>[(私は)親か兄弟に、迎えに来てもらってんだよ] とするより、
=>[親か兄弟が、私を迎えに来てくれる] として考えるのが英文作成には効果的ということです。
そうすることで、[主語が、親か兄弟] で、[動詞に関連が、私] ということが明確になります。
後は、動詞の [迎えに来る] =>[pick 人 up] を利用して、
=> My parents or my brother pick me up . (親か兄弟が 向かいに来る 私を) とします。
最後に [歩いて帰れない距離じゃないけど] ですが、この日本語を英語にする時に私が注目するのは [けど] という部分です。日本語の会話で、[~だけど ~するよ] という表現は非常によく利用されます。それを英語で表現する時に、私が好んで利用するのが [though] という接着剤です。
利用する時のルールはいくつかあるのですが、ここでの [though] の使用ルールは、基本文の最後にくっつけるという非常に単純なものです。
[歩いて帰れない距離じゃないけど] を、=>[歩いて帰れる距離だけどね] という日本語に変換して、
=> it's walking distance, though . (歩ける距離だ けどね)
英文全体をつなげると、
=> To be safe, my parents or my brother pick me up ,it's walking distance , though .
英語のネイティブは、どんな英文を作成するのか?
1,[あの辺は、夜、かなり危ない場所だよ!]
Dave => That area is very dangerous at night!
Andy => It’s pretty dangerous around there at night!!
(今回も、Dave と Andy に協力してもらいました)
日本語だと違和感を感じますが、英語では [pretty] を、こういう強調でしばしば利用します。発音は(プーリィ)が近いかなと思います。もちろん、[very, really, so] 等で置き換え可能です。私は [R] の発音練習をするために [really] を意識して利用していた時期があります。パターン化された定型文を使って英文を作成する場合、そういった練習を組み込んでおくと一石二鳥です。ここでは特に質問はないですね。
3人の英文で基本文がどう使われているのかを見てみると、
Dave: [基本文の核 + at night!]
Andy: [基本文の核 + around there + at night!!]
2,[そもそも、夜の10時以降に歩いて帰ること自体が、ここでは危ない行為だよ]
Dave => In the first place, merely walking home after 10pm is dangerous.
Andy => First of all, its dangerous to be walking around after 10 at night to begin with.
ふむふむ、[merely = ただ~するだけで] は、こういった場面で利用するのですね。知っていても使用したことがないので、こういう実際に使っている所を知ると非常に勉強になります。ここでは、二人に [そもそも] という部分について聞いてみたいと思います。
Bob:1,[In the first place ] 、[to begin with] のどちらも[そもそも]という意味のはずですが、他にも同じ意味で使えるものはあるのでしょうか? 2,[First of all] は、他にどんな日本語の意味の時に使いますか?
Dave:1,他には、[from the start] [originally] という言い方もあります。
Andy:2,[まず] [最初に] とか、[何よりも] という意味でも使います。
Andy にもう2つ質問を。
Bob:1,[its dangerous to be walking ~] となっていますが、ここでは、なぜ [be walking] なのでしょう?[to walk] では駄目なのでしょうか?英語のネイティブの方は、どういう風に使い分けているのですか? 2,[First of all , ~ after 10 at night to begin with.] と、[First of all] の他に [to begin with]も利用しているのはなぜなのでしょう?
Andy:1,特に意味の違いはないので、適当にどちらも使います。 2,どちらも同じ意味なのですが、ここでは両方利用することで、危険を強調している感じです。
なるほど。勉強になりますね。
私を含めた3人の大まかな日本語は、
私の: [そもそも 危険だよ 歩いて帰ることが 夜の10時以降に ここコロンビアでは]
Dave: [そもそも 夜10時以降に歩いてただ家に帰ること自体が 危ないことだよ]
Andy: [そもそも 危険だよ 歩いて帰ることが 夜10時以降に]
3人の英文で基本文がどう使われているのかを見てみると、
Dave: [In the first place, 拡張した主語(merely walking home after 10pm) is dangerous.]
Andy: [First of all, 基本文の核 +to be walking around +after 10 +at night +to begin with.]
3,[ボブ、私がどうやってここから家まで帰ってるか知ってる??]
Dさん => Bob, do you know how I get home?
Aさん => Bob, do you know how I get home from here??
私の英文が [Bob, do you know how I get home after class?] なので、ほとんど同じですね。違いは [~ home] の後が有るか無いか、補足した説明が [from here] か [after class] なのかの違いだけですね。
英語は、基本的に [主語 動詞 動詞に関連] を省略しない言語ですが、それ以外の部分(今回で言えば [from here])は、通常の会話の中で [またには省略される] ということがわかります。[接着剤 + 説明] の補足を使うか使わないかを迷った場合は、英語ではとりあえず使っておけば/くっつけておけば間違いないが少ないと思います。ここでは質問はないです。
3人の英文で基本文がどう使われているのかを見てみると、
私の: [Bob, do you know + how 基本文の核 +after class?]
Dave: [Bob, do you know + how 基本文の核 ?]
Andy: [Bob, do you know + how 基本文の核 +from here??]
4,[歩いて帰れない距離じゃないけど、安全のために親か兄弟に迎えに来てもらってんだよ]
Dさん => It is walking distance, but just to be safe I ask my parents, or siblings to come pick me up. (Just to be safe I ask my parents, or siblings to come pick me up. Even though it is walking distance. )
Aさん => Its not too far to walk home, but to be safe, I have my parents or one of my brothers and sisters come pick me up.
なるほど、[siblings = (男女の別なく)兄弟] ですか。使ったことありませんが、これが使えると確かに便利ですね。二人とも、[come pick me up] としていますが。[come] と [pick] 動詞が連続しているのは、英語のルールとしておかしい気がします。どういうことなのか聞いてみましょう。
Bob:[come pick me up] と、[come] [pick]と動詞が連続していますが、これは英語のルール上、間違っているのではないでしょうか?
Dave:確かにそうですね。普通に使いますね。
Andy:言われてみればそうですね。会話では、結構そう使います。または [come] をなくして [pick me up] とする場合も多いです。
Andy は、[my brothers and sisters] と、ここで、[and] を使っています。そうすると、どっちか1人ではなく、2人とも(または複数人)になってしまわないのでしょうか?
Bob:[my brothers and sisters] だと、1人ではなく2人(または複数人)にはならないのですか?[and] より [or] がいいと感じるのですが?
Andy:[or] でも全く問題ないです。[and] は、日本語の [と] だけでなく [や] にも対応しています。(Aさん)
ここで、 Andy が利用している [have] は、[主語 have 人 動詞 ~]=>[主語が 誰々に ~もらう] という意味の表現です。この [have] の表現は会話でもよく登場するので覚えて使えるものにしていきましょう。
この [have] については、こちらでも少し触れているのでよかったら読んでください。
私を含めた3人の大まかな日本語は、
私の: [安全のために 両親か兄弟が私を迎えに来る 歩けない距離じゃないけど]
Dave: [歩ける距離だけど 安全のために 頼んでる 両親か兄弟に 迎えに来るのを]
Andy: [遠くはない 歩いて帰るには でも安全のために 私はしてもらう 両親や兄弟の一人に迎えに来て]
3人の英文で基本文がどう使われているのかを見てみると、
Dave: [基本文の核1, but just to be safe 基本文の核2 + to come pick me up.]
Andy: [基本文の核 +to walk home, but to be safe, I have {my parents or one of my brothers and sisters} come pick me up.]
どうやって英語を上達させていくのか?
今回、3人は [It is 形容詞/名詞 to 動詞 ~]、[主語 know + how 基本文] というパターン化された表現、Andy は [主語 have 人 動詞 ~(誰々に~してもらう)] という [have] の表現等を活用して英文を作成しています。
これが意味しているのは、英語の単語、熟語、定型文等のインプットを積み重ねていけば、それだけ英文作成が容易になるということです。英語を話すには、英語の基本文を軸として、英語の単語、熟語、定型文等を覚えていく必要があります。
新しく目にした英単語や英語の表現で、自分が使えるなと思うものはどんどん吸収してください。そして、それを自分の知っている似た表現と結び付けていくことで記憶を引き出しやすくしましょう。英語を話すということは、英語の基本文を作成することです。
記憶を引き出す行為と英文を作成する作業が結ぶついていることが重要なので、思い浮かんだ日本語から、素早く基本文を使って英文作成という事ができるように練習を積み重ねることが大事です。練習を積み重ねて自分なりの英語の型を形成していきましょう。それがあなたの英語を話すためのの基盤となります。