集中して自分でコツコツと英語を勉強することは、英語の上達に非常に重要なことなのですが、その他に自分以外の人間の英語を観察して英文の構成の仕方や、他人がどんな英文を作成するのかを知り客観的な目を養うことも、英語上達には欠かせないものと言えます。なのでネイティブの英語と、ついでに非ネイティブな私の英文作成の過程を利用して、英文作成への理解を深めていきます。(比較する企画の11回目です)
- 非ネイティブの私が英文を作成していく過程を細かく分析
- 英語のネイティブスピーカーは、同じ日本語をどんな英文にするのか
- 彼等の英文を見て感じた疑問についての質疑応答
という段階を経て、そこから英会話上達へのヒントを探ります。
具体的にどう英文を作成していくのか観察し英会話上達を考えます
利用するのは、以下の日本語です。
TITLE: [ボブ、今、どこに住んでんだ?]-11
Geor: そんな馬鹿な奴は、この辺には一人もいないだろうな~。ボブ、歩いて帰ってないよな?
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
Bob: 何だよー、歩いて帰ってるよ。一応、早歩きでさ~。折りたたみ傘を武器っぽく持って。
Geor: ボブ、相手が持ってるのはガ〇(拳〇)だぜ。(笑)
場面設定は、コロンビアの英会話スクールに通うボブと友達、先生が授業が終わった後に学校の前で冗談を言い合っての会話。基本的に生徒と先生は、仲良くなると友達感覚でため口で話しているので、formal な言い回しはほとんど出てきません。
[登場人物]
1,Bob ,,, 学校に通う生徒(一番の目的は英会話学習より...友達作り)
2,John ,,, ボブのクラスの担当教師で、後のボブの友達。
3,Malda ,,, 学校の教師でチーフマネージャー(女性)。ジョンの上司。
4,George ,,, 現職の警察官。とってもチャラくてナンパ好き。
点線より上は以前に説明しているので、今回は点線より下を英文にします。
それ以前の私とネイティブの英語/分析等は、こちらをどうぞ。(1から続く話です)
私はどんな流れで(傘を武器っぽく持って等)を英語にするのか?
1, [何だよー、歩いて帰ってるよ。一応、早歩きでさ~]
まず最初の [なんだよー] ですが、ここでの意味を正確に言えば [何だよいいじゃん/俺の勝手でしょ?] かなと思うので、
候補は、
1, Whatever (何でもいいじゃん/どうでもいいけど)
2, It doesn't matter (大したことないじゃん/どっちでもいいじゃん)
3, It's none of your business (余計なお世話だよ) などですが、
ここでは簡単な [Whatever] にします。
これらの表現は、場合によってはキツイ感じを与えてしまうので、基本的に仲の良い相手との会話で利用するのが無難です。
次の [歩いて帰る] は単純に表現するなら、[(私は)歩いて帰る] ですから、
=> Whatever, I walk home (私は 歩く 家まで) で事足ります。
でもここでは [歩いて帰っている] ということをもう少し強調したいので、そのために動詞 [ do ] を使おうと考えます。
そうすると英文は、
=> Whatever, I do walk home !! となります。
これは [~する/した] という部分を強調するためのもので、動詞の前に [do] を配置します。英文を見ると動詞が二つあるので変に感じますがこれが基本体形です。[do] を強く発音することで、相手にその後に来る動詞の部分(ここでは歩いて)を強調したいことを伝えます。
be動詞や助動詞を利用した文の場合は、その部分を強く発音することで同じ効果を出せます。
否定文の場合は [don't/didn't] の部分を強く発音するか、省略した形にせず [not] を強く発音することでその部分を強調することが可能です。
=> I do not walk home !!
続いて [一応、早歩きでさ~] の部分ですが、ここでの [一応] の意味を紐解いてみると [(安全を考慮して)一応] ととらえることができるので、[安全を期して] は、[to be safe] を利用しようと考えます。
そうすると残りは [早歩きでさ~] という部分です。ここは難しく考えず [早歩きでさー] は、[とても早く歩く] と表現して、
=> To be safe, I walk really fast. でいいかなと思います。
もちろん [とても] は [very] 等でも問題ありません。
私はこういった時に [R] の発音練習をしようと考えていたので、[really] を使う事が多いです。
2, [折りたたみ傘を武器っぽく持って]
ここで最初に考えるのは [武器っぽく] という部分は除外して、それ以外の部分を英文するという事です。
---[折りたたみ傘を武器っぽく持って] のまま英語を考えるのではなく、
=>[折りたたみ傘を持って] から英語を考えていきます。
なぜかというと私が英文を作成する時に利用するのは、基本的に以下の二つの発想だからです。
- 1, 英語の基本文を利用する
- 2, 日本語を活かす
英語の基本文とは、
基本文:[主語 動詞 動詞に関連 ~ (+ 接着剤 説明)]
([主語 動詞 動詞に関連] までが、基本文の核)
英文は [主語] [動詞] [動詞に関連] [接着剤 説明] という四つの枠組みで構成され、それら四つの枠組みは状況に応じて個々に拡張したり、複数が拡張したりします。
[主語] ,,,, I/You/He/She/We/They/It/名詞
[動詞] ,,,, [~する] という意味を表すもの
[動詞に関連] ,,,, 名詞/形容詞/me/you/him/her/us/them/it/たまに副詞(正確には動詞に関連するもの)-[目的語/補語] でも可
[接着剤 説明] ,,,, 前置詞/不定詞/動名詞/接続詞/関係代名詞/関係副詞 etc (正確には接着剤効果のあるもの)
拡張とは、それが単独ではなく何かと一緒に利用されることで、[表現できる幅を広げていくこと] を意味しています。
基本文について詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ。
英語は基本文で形成されていると考えているので、その中に上手に日本語を組み込んでいくというのが基本姿勢です。
[折りたたみ傘を持って] の [~を持つ] に該当するという英語の動詞は、[~を持っている/~を握っている/~をつかんでいる] の [hold] かなと思うので、
=> I hold an umbrella (私は 持っている 傘を)
この英文で言えば、まず [主語 動詞 動詞に関連] という基本文の核を作成したという事です。
そこに最初の段階では除外しておいた [武器っぽく] をどう付け加えるかを考えます。
私ならその日本語を [武器のようにして] と頭の中で変換します。
そうすると [~(と同じ)ように] という意味で利用できる [like] を使って、[like weapon(武器のようにして)] とできます。
=> I hold an umbrella + like weapon.
[like] は [~のような] や、[~(と同じ)ように] という意味で使える便利な接着剤です。(これは違う時に詳しく説明したいと思います)
そして日本語の意味の繋がりを考えると、前の英文とこの文が繋がっている方が自然に感じるので、接着剤 [and (それと/そして)] をくっつけて、
=> (To be safe, I walk really fast.) And I hold an umbrella like weapon. とします。
ここでの英文を作成する流れが、私が頭の中で行うことの基本形態かなと思います。
- 1, 基本文の核を作成するために [動詞] を決める
- 2, その動詞から [動詞に関連] を導き出す
- 3, 足りない部分があれば [接着剤 説明] で文を補足する
もちろんこの英文は主語が拡張していない [I, You, He, She, We, They, It, 名詞] の中のものですし、動詞も動詞に関連も拡張していないので非常に単純な構成ですが、まずはこの形の英文を作成できることが、英語を話す上でのスタートだと言えます。
動詞と [動詞に関連 (目的語/補語)] の拡張、接着剤の活用については、こちらを参考にしてください。
3, [ボブ、相手が持ってるのはガ〇(拳〇)だぜ。(笑)]
この日本語をそのまま英語にすると、
=> Bob, they have guns (laugh).
となりますが、それだとここでジョージが言いたいことの意図が伝わらないので、日本語を、
---[ボブ、相手が持ってるのはガ〇(拳〇)だぜ(笑)] から、
=>[ボブ、相手が持ってるのはガ〇(拳〇)だぜ (わかってんのか?) (笑)] に頭の中で変換します。
英語で [知ってるのか/わかってるのか ?] といった表現は、[Do you know + (that) 基本文 ??] という形で表現可能な場合が多いです。
なのでここでは、[わかってんのか 相手はガ〇(拳〇)持ってるのを] という英文を考えます。
=> Do you know + 相手はガ〇(拳〇)持ってるのを
=> Do you know + they have guns (laugh). (わかってんのか 相手は拳〇持ってるのを)
最後に [ボブ] をつけて、
=> Bob, do you know they have guns (laugh). が良いかかなと思います。
ちなみに [gun] と単数ではなく [guns] と複数になっているのは、襲ってくる人数が複数である可能性があるので複数形にしました。
日本語は非常に省略の多い言語で、それに比べて英語は省略の少ない言語です。
日本語の省略されている部分を顕在化しないまま英文にすると、自分が伝えたいことが伝わらない場合があります。その点を意識しながら最初に浮かんだ日本語を英語にする癖をつけるのが良いと思います。
思い浮かんだ日本語とどう対峙していくかは、こちらを参考にしてください。
実際に会話を行う場面で、こういった熟考を行って英文を作成するわけではありません。通常、瞬時に行っている思考の流れを紐解いてみると、こういう流れになっているということです。
英語のネイティブは、同じ日本語をどんな英文にする?
続いて英語のネイティブ・スピーカーなら、同じ日本語をどうな英文にするのかを見ていきます。(今回も協力してくれたのは Dave と Andy です)
1, [何だよー。歩いて帰ってるよ。一応、早歩きでさ~]
Dave: Whatever! Yes, I walk home. Mind you I walk damn fast,
Andy: Geez, what the heck. Yes, I walk home. I walk fast, alright ??
ここでは Dave に二つ、Andy に一つ質問したいと思います。
Bob: 1- [Mind you] はどういう意味で使っているのですか? 2- ここでの [I walk home damn fast] の [damn] は [really] [so] と同じ意味ですか?
Dave: 1- [Mind you] は [Keep in mind] と同じです。訳は少し難しいのですがこの場合は [これだけは覚えとけ、俺はすごくはやく歩くぜ] という感じです。 2- はい同じです。
Bob: [what the heck] というのは [何だよー] という意味で良く使うのでしょうか?
Andy: その通りです。
英語のネイティブが実際に使っている日常会話を知ることで、実戦で有効に使えそうな言い回しを増やしていくことが理想です。
2, [折りたたみ傘を武器っぽく持ってさ]
Dave: while I'm holding my umbrella like a lethal weapon.
Andy: And I carry my umbrella like a weapon, see.
Andy は、[hold] ではなく [carry] ですか。確かに [carry] の意味は [~を運ぶ/~を持っていく/~を携行する] 等ですので、なるほどと思いますね。
ここでは Dave にのみいくつか質問があります。
Bob: 1- ここでの [while] はどういう意味で使っていますか? 2- [while I'm holding] という部分ですが省略して [while holding] とできます? 3- ここでの [leathal] の意味は何ですか?
Dave: 1- ここでの [while] は [同時に] という意味で [持ちながら、歩く] ということです。 2- はい省略して [while holding] にできます。 3- [leathal weapon] だと [凶器] という意味で使え、ここでの [leathal] 単体だと [致命的] という意味です。
[lethal] を入れることで、ボブの無謀さが一層際立つ感じがしますね。
私を含めた三人の大まかな日本語は、
私の: [傘を持っているよ 武器のようにしてさ]
Dave: [傘を持ちながら歩いているよ 凶器のようにして]
Andy: [傘を持っているよ 武器のようにしてさ]
三人の英文で基本文がどう使われているのかを見てみると、
私の: [And 基本文の核 + like weapon.]
Dave: [while 基本文の核(進行形) + like a lethal weapon.]
Andy: [And 基本文の核 + like a weapon, see.]
3, [ボブ、相手が持ってるのはガ〇(拳〇)だぜ。(笑)]
Dave: Bob.. The people you’ll run into will be holding something even more lethal, a gun !! (laughs)
Andy: Bob, the other side have guns. (laughs)
なるほど、Dave は [The people (who) you'll ~] と関係代名詞を利用していますね。またここで [run into (偶然出会う)] ですね。
Dave に三点、Andy には一点質問があります。
Bob: 1- [The people] の [The] はなければ駄目ですか? 2- ここでの [even more lethal] の [even more] の意味は [さらに] でいいですか?
Dave: 1- 主語になっているので必要です。 2- ええそうです。[even more] は [さらに] という意味です。
Bob: 3- [The people you'll run into will be holding ~] となっていますが、なぜ [will be holding] なのですか? [will hold] では駄目なのでしょうか?
Dave: 3- [will hold]なら未来形ですが、決めることを実行するという意味も込めていてもっと強い意志を感じます。それより偶然で起こることと考えて [will be holding] に無意識でしました。細かいところを除けば両方の言い方でもいいです。
Bob: ここで使っている [the other side] は、それ以外の言い方にするならどんな表現を使いますか?
Andy: [the bad guys] とか、[the other guys]、または少し固い言い方ですが [your opponent] ですかね。
同じ日本語を見ても、どういう英文にするのかはネイティブでも違いがあります。そういう違いを眺める中から、自分ならこういう英文にするなと考えてみましょう。
何が英語を上達させるのに必要なのか?
私は英語は基本文で構成されていると考えるようになってから、英語は意外と単純だと思えるようになりました。
簡単だと言っているわけではありません。なるべく英語を単純化した形で考えると英会話の上達に好影響を与えると言いたいのです。
英語は配列順をほぼ順守する言語なので、そこに英単語を当てはめていけば英文を作成できます。最初から的確な英単語を当てはめていくと考えすぎると少しハードルが高いので、まず何か適当なものを当てはめようくらいの感覚で英単語を当てはめられることを目指しましょう。
もちろんそれを可能にするには、インプット作業が欠かせません。インプットがなければアウトプットは絶対にできません。
まず優先して覚えてほしいのは [動詞] です。
動詞を身につければ、基本文の核の [動詞] の部分に当てはめるものを決定できます。主語を拡張させなければ、主語になるのは [I, You, He, She, We, They, It, 名詞] のどれかなので、後は [動詞に関連] だけです。(ここでも主語が拡張した文は、3の Dave の英文だけです。主語の拡張は後回しにしましょう。主語の拡張については違う機会に説明予定です)
動詞を優先して欲しい理由は、こちらに詳しく書いてあるので読んでください。
基本的に [動詞に関連] の中に入るのは [名詞/形容詞] なので、動詞を覚えた時にその動詞と関連した [名詞/形容詞] を一緒にインプットしていきましょう。
なるべく [名詞/形容詞] が動詞に紐づいている形にすることで、記憶を引き出しやすくできます。そういったアウトプット意識した工夫をしながらインプットを積み重ねていくことが重要です。
どの動詞から覚えていくのかは、日常会話での使いやすさを考えて [get] からにすることをお勧めします。[get] を覚えるべき理由は、こちらを参考にしてください。
残念なことに一朝一夕に英語が話せるようになることはありません。でも積み重ねていけば、それは大きな蓄積となり自身を支える基盤となります。ローマは一日にしてならずです。