英語において動詞は非常に重要な位置を占めています。通常、英語の動詞は、[~する(~した)] という意味を表現しますが、拡張することで表現の幅を自在に拡げていけます。
英文を簡素化してみると、英語は一つの文(英語の基本文)で形成されていると考えることができます。
基本文を簡単に説明すると、英語は [主語] [動詞] [目的語/補語] [接着剤+説明] という四つの枠組みで形成され、説明が足りない場合、最初の三つの枠組みが拡張するか、[接着剤+説明] を利用することで説明を補足していきます。
基本文について詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ。
拡張とは、それが単独ではなく何かと一緒に利用されることなので、動詞の拡張は、[~する(した)] という部分に何かしらの変化を加えることになります。今回はその動詞の意味に変化を加える動詞の拡張について説明していきます。
英語では動詞が拡張することで、どんな表現が可能に?
通常、英語の動詞(現在形)が表現するのは、(~する)という日常的に行っている行為についてです。
=> I study English. (私は勉強している {日常的に} 英語を)
ここに動詞の拡張が加わると、動詞の [勉強する] が以下のように変化します。(日本語)
1-a, 勉強することにします (今、決めた)
1-b, 勉強するつもりです (する予定)
1-c, 勉強する予定です (予定が細かく決まっている)
2-a, 勉強する方がいい/するべきです
2-b, 勉強しなければならない
2-c, 勉強するかもしれない/するだろう (半々/どちらかというとしないかも)
3-a, 勉強している (今、現在している/一時的にしている)
3-b, 勉強していた (ある出来事が起こった時に、していた)
4-a, 勉強している (ある過去から、今現在まで続けて)
4-b, 勉強していた (ある出来事を軸に、それ以前にしていた)
5-a, 勉強したい
5-b, 勉強していた (昔はしていて、今はしていない)
他にもありますが代表的なものを上げてみました。(1 は将来/未来について、2 は助言が推量、3 は進行形、4 は完了形、5 は助動詞相当のものです。数字に大きな意味はありません)
こうやって日本語を眺めてみても、動詞が拡張することで表現の幅を拡げられることがわかります。これをどう英語学習へ活用するのか考えます。
上記の日本語を英語にあてはめてみると、次のようになります。
1-a, 勉強することにします(今決めた) => will 動詞の原形
1-b, 勉強するつもりです(する予定) => be going to 動詞の原形
1-c, 勉強する予定です(細かく決定) => be(現在形) 動詞ing
2-a, 勉強する方がいい/するべきです => should 動詞の原形
2-b, 勉強しなければならない => must/have to 動詞の原形
2-c, 勉強するかもしれない/するだろう => may/might 動詞の原形
3-a, 勉強している(今、現在/臨時的に) => be(現在形) 動詞ing
3-b, 勉強していた(ある出来事が起きた時) => be(過去形) 動詞ing
4-a, 勉強している(ある過去から現在まで) => have 動詞の過去分詞
4-b, 勉強していた(ある過去からある過去) => had 動詞の過去分詞
5-a, 勉強したい => want to 動詞の原形
5-b, 勉強していた(昔はしていた) => used to 動詞の原形
この他に不定詞、動名詞も動詞を拡張可能なのですが、これらは拡張の仕方が異なっているのでそれについては別の機会にお話します。
動詞の拡張を基本文にあてはめてみる
覚えている方も多いと思いますが、動詞の意味の幅を拡げる役割を担うものは、助動詞、助動詞相当のもの (完了形, have to, want to, used to 等)と呼ばれています。
それらを使って動詞を拡張させていくのですが、動詞はそれぞれの決められたルールに従って拡張していきます。
拡張時のルールに何か共通項はないか考えてみると、浮かびあがってくるのが、必ず動詞の前に補足を加えて拡張している点です。
要は『 補足 + 動詞 』という形です。
拡張のルールには違いも少しあって、補足の次にくる動詞が、それぞれの使用時のルールに従って三つのパターンをとります。
1, 補足 + [動詞の原形]
2, 補足 + [動詞のing形]
3, 補足 + [動詞の過去分詞]
これらが意味することは、英語では後から動詞を拡張させることはできないということです。
つまり英語では動詞を使うのと同時に動詞を拡張させる必要があります。
なので動詞を身につける前に、インプットし終えておく方がいいものと言えます。
動詞の拡張の仕方を、例文で見ておきましょう。
0, I study English. (勉強している 英語を) --日常的に
1-a, I will study English. (勉強するよ 英語を) --今、決めた
1-b, I am going to study English next week. (勉強するつもりです 英語を 来週)
1-c, I am studying English next week. (勉強する予定です 英語を 来週)
2-a, You should study English. (君は勉強した方がいい 英語を)
2-b, I have to study English. (勉強しなければならない 英語を)
2-c, I may study English. (勉強するだろう 英語を)
3-a, I am studying English. (勉強している 英語を) --今、現在/または一時的に
4-a, I have studied English for 2years. (勉強している 英語を 二年間継続して)
5-a, I want to study English. (勉強したい 英語を)
5-b, I used to study English. (以前勉強していた 英語を) --今はしていない
1, 4-a の動詞の拡張については、こちらに詳しく書いてあるのでどうぞ。
動詞の拡張をどうやって使えるものにしていくのか?
動詞を口から出した後で、その部分に説明を補足できないのなら、その [補足 + 動詞] を大きなくくりで動詞として考えることにします。
そうすることで、動詞の拡張を単純なものとして脳に記憶させます。
よく考えてみると、この拡張したものを大きなくくりでとらえることは、日本語で動詞を利用する際の感覚と何ら変わりはありません。英語の動詞は表現したいことが過去以外の場合、大抵、それ単体で変化することはできず何らかの補助が必要になり、その補助/補足の部分が拡張した部分ということです。
日本語の動詞は表現したいことに応じて後ろの部分が変化して、動詞 + 変化 が一つの動詞単体として機能しているように見えます。
[勉強する] => [勉強する + 予定です]
[勉強する] => [勉強する + かもしれない] etc と変化
それなら日本語で [勉強する/かもしれない] と区切って考えないように、英語でも [補足/動詞] と区切って考えず、[補足 + 動詞] をまとめて動詞のユニットとして考え、ひとくくりで動詞ととらえていけばいいということです。
そのほうが英語という言語の全体像をとらえやすくなります。
=> I have to study English.
主語 補足 動詞 目的語/補語 と頭にいれず、
=> I [have to study] English.
主語 拡張した動詞 目的語/補語 とユニットでとらえるのです。
このようにユニットでとらえていくことで、動詞の拡張を単純なものとして考えることが可能になります。そのように考えるともうひとつメリットがあります。
それはこの動詞の拡張の仕方を身につければ、新しい動詞を覚えるごとに拡張の数だけ表現できる幅を掛け合わせていけるという点です。
例えば [get] の表現を覚える時に、動詞の拡張を一緒に活用すれば動詞で表現できる幅を簡単に拡げながらインプットすることが可能になります。そういった相乗効果を期待できるということです。
もし英語における動詞の拡張の仕方を六通り理解していれば 6 × 新しい動詞という形で、自身が表現できる幅を拡げていけます。なのでまずこれらの助動詞、助動詞相当のものをインプットし、それを英単語を覚える時に有効活用していきましょう。大事なのは工夫と積み重ねです。