私は英語学習を続けるも英語が話せなかった頃、英語上級者はどうやって英文を作成しているのかを知りたいと常に考えていました。
そのどうやってという部分への理解は、英語を話す能力向上へつながっています。なので私が頭の中でどうやって英文を作成させているのか、また英語のネイティブなら同じ日本語をどんな英文にするのかを分析することで英語の話し方について考えます。
今回は、
- 非ネイティブな私と英語のネイティブの英文を並べて比較
- 私がどう英文を作成したのかという過程を細かく分析
- 英語のネイティブの英文を見て浮かんだ疑問への質疑応答
という段階を経て、最終的にどうしていくべきかを考察します。
英文を作成する流れをネイティブの英語との比較を交えて考える
利用するのは、以下の日本語です。
TITLE: [ボブ、今、どこに住んでんだ?] -2
John: ボブ、今、どこに住んでんだ?
Bob: 俺が住んでんのはABマートの近くの安いホテルだよ。ここから歩いて15分くらいかな~。
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John: えっ、マジかよ! あんな治安の悪い所に住んでんのか! おい、授業終わってから、歩いて帰ったりしてないよな?
Bob: えっ? 歩いて帰ってるよ。近いし、結構、街灯がついてて明るいしさ~。
コロンビアの英会話スクールに通うボブと、友達、先生による会話。
生徒と先生は友達感覚で話すので formal な言い回しは出てきません。
[登場人物]
Bob ,,, 学校に通う生徒(一番の目的は英会話学習より...友達作り)
John ,,, ボブのクラスの担当教師で、ボブの友達。
Malda ,,, 学校の教師でチーフマネージャー(女性)。ジョンの上司。
George ,,, 現職の警察官。とってもチャラくてナンパ好き。
点線より上は以前に説明しているので、今回は点線より下を英文にします。
それ以前の私とネイティブの英語/分析等は、こちらをどうぞ。(1から続く話です)
非ネイティブと英語のネイティブはどんな英文を作成するのか
1, [えっ、マジかよ! あんな治安の悪い所に住んでんのか!]
まず [えっ、マジかよ!] という部分から見ていきます。
私の: Are you kidding ??
Dave: Are you serious ??
Andy: You gotta be kidding !!
三人とも違う表現を使っていますが、これらは英会話でよく使われる表現なので覚えておくことをお勧めします。もちろん挙げればもっとありますが、これらの表現を頭に入れておけば何とかなります。
Andy の英文は [You have got to be kidding !!] が短縮された形です。
私は [Are you kidding ??] がお気に入りなので、それを軸として [Are you serious ??] をたまに使います。自分が言いやすい表現を軸にして記憶を引き出しやすくしましょう。
そしてそこに日本語の感覚を取り入れるとさらに効果的です。
それらは日本語で考えると [ホントかよ, ウソだろ, 冗談だろ] 等でも利用できるので、[マジかよ, ホントかよ, ウソだろ, 冗談だろ] => [どれか選んだひとつの英文] という形で頭に入れておくのです。
英単語、英語の表現等を覚える時に、この日本語もこの英語で表現できないかなと考えてみてください。私は英語を話すために日本語を活かすべきと考えているので、日本語から英語へ変換できる幅を自身の中で広げていくことを重要視しています。
理想は様々な日本語表現 => ひとつの英語表現と考えています。
似た意味の日本語が浮かんだ時に、一つの英語表現に集約されていれば記憶を引き出しやすくなるからです。(一つというのはあくまで理想の話です)
続いて、[あんな治安の悪い所に住んでんのか!]
私の: You live in such a dangerous area !!
Dave: I can't believe you stay such a dangerous area !!
Andy: Damn, you're living in the ghetto, man !!
Dave は [信じられないよ ~は/が ~するのは] を表現できる [I can't believe (that) 基本文] という形を利用しています。
これは基本文の前に、[I can't believe (that)] = [信じられないよ] がくっついていると考えると理解しやすいと思います。(これは今後、接着剤の that を説明する時に詳しく説明したいと思います)
助動詞の [can] については、こちらも参考にしてください。
基本文:主語 動詞 目的語/補語 ~ (+ 接着剤 説明 ~)
基本文を簡単に説明すると、
基本文:[主語 動詞 目的語/補語 ~ (+ 接着剤 説明)]
([主語 動詞 目的語/補語] までが、基本文の核)
英文は [主語] [動詞] [目的語/補語] [接着剤 説明] 四つの枠組みで構成され、それらの枠組みは状況に応じて個々に拡張したり、複数が拡張したりします。
[主語] ,,,, I/You/He/She/We/They/It/名詞
[動詞] ,,,, [~する] という意味を表すもの
[目的語/補語] ,,,, 名詞/形容詞/me/you/him/her/us/them/it/たまに副詞。(単純に動詞に関連するものと考えるのも可)
[接着剤 説明] ,,,, 前置詞/不定詞/動名詞/接続詞/関係代名詞/関係副詞 etc (正確には接着剤効果のあるもの)
拡張とは、それが単独ではなく何かと一緒に利用されることで、[表現できる幅を広げていくこと] を意味しています。
基本文について詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ。
Andy は [in the ghetto] と [ghetto] という単語を使っていますが、日常的に利用して大丈夫なのでしょうか?
Bob: [in the ghetto] という単語を利用していますが、これには差別的なニュアンスはないのですか?
Andy: 貧しくて治安の悪い場所を表しますが、差別的なニュアンスはないです。タメ口での会話では一般的に使いますよ。
ふ~む、そういう感じなんですね。でも我々は無理して利用しない方が無難かもしれませんね。
この文で重要なのは [ ~してんのか!] という部分なのですが難しく考える必要はありません。
基本的に、[基本文に、+ !!] を使えばいいだけです。
そこに形容詞、副詞を組み込むとより強調の雰囲気が増します。
利用頻度が高いのは、[本当に/なんて/とても] という意味で使える [such, so, really, just] 等との組み合わせです。
=> You live in such a dangerous area !!
主語 動詞 目的語/補語 + !!
[such (なんて)] を利用することで、[dangerous area] という部分をさらに強調しています。会話では日本語と同じように、強調したい部分の語句を強めて口から出すとより効果が増します。
ここでも同じように、日本語の表現を一緒に入れて英語で表現できる幅を拡げていきます。この [!!] は同じ要領で [何て ~なんだ !!] と表現したりもできます。
=> You are really idiot !! (何て馬鹿なんだ/馬鹿なことしてんだ!)
ちょっと呆れ気味に軽く怒っている時や、相手の行為に呆れてしまって何やってんだよという時などに使えます。なので [~してんのか !!] と、[何て ~なんだ !!] という表現をセットで覚えましょう。
2, [おい、授業終わってから、歩いて帰ったりしてないよな?]
私の: You don't walk home after class, right ??
Dave: You are not walking home after class, right ?? (=You are not going home by foot, right ?? )
Andy: Hey, you’re not walking home after class or anything, right ?!
三人とも同じで [否定文 + , right] を利用しています。
日本語の日常会話でも、よく利用される [~してないよな?/~してないよね?] という表現です。
ここでは [通常の否定文 + , right?] 。
最初のうちは [~してないよな?/~してないよね?] という部分を、日本語の文の中から省いて並びも変えてみると、英文作成の過程における難しさは軽減されると思います。
[授業終わってから、歩いて帰ったりしてないよな ?] という日本語を、[(あなたは)歩いて(家に)帰ってないよね、授業が終わってから] と英文の並びに変換します。
まず [歩いて帰ってないよね] の [~よね] を除いた、[あなたは、歩いて(家に)帰らない] という部分を考えると、
[歩いて(家に)帰る] は、
=> 主語 walk home. で表現できるので、主語を入れそれを否定文にすれば、
=> You don't walk home. と基本文の核を作成できます。
これ(基本文の核)だけだと説明が足りていないので、[授業が終わってから] を付け足します。
[授業が終わってから] は [授業の後に] という意味なので、[~の後(に)] という接着剤 [after] を利用して [after class] とできます。
そこまでで完成したのが、
=> You don't walk home + after class
主語 動詞 目的語/補語 + 接着剤 説明
これは [(あなたは)歩いて帰らない、授業が終わってから] という英文です。
文全体をイメージしにくかったら、基本文の核と、[接着剤 説明] の前に線を引いてみてください。文の区切りを意識できると英文をイメージしやすくなります。
=> You don't walk home / after class
基本文の核 / + 接着剤 説明
そこに [~よな?/~よね?] という意味を付け足すために、[基本文] の後に [+ , right?] を配置します。
=> You don't walk home after class , right ??
基本文の核 + 接着剤 説明 + α
語尾に [, right ?] を付けて、最後の [, right ?] の部分(語尾)を上げ調子で発音するだけで、[~してないよな?/~してないよね?] という意味の英文を作成できます。
ここでは否定文なので [~してないよな?/~してないよね?] ですが、肯定文なら [~してるよな(ね)?/~なんだよな(ね)?] という意味で利用可能です。
例 You walk home after class, right ??
(あなたは) 歩いて帰っているよね 授業が終わってから
この [肯定文/否定文 , right ?] = [~してるよね/してないよね?] は、英文の最後に配置されていますが、動詞の意味を補足するものなので、動詞を補足する助動詞 (will, can 等)と同じくくりで考えておくと英会話の時に記憶を引き出しやすくなります。
また他にもこれと同じ意味で利用できるものがあります。
=> You don't walk home after class, do you ??
[~していない] という否定文を作ってカンマを入れ、最後の部分に [You don't なら => [ , do you] を入れて、[~よな/~よね] という表現を付け足して表現するというものになります。
なので [~してるよな/~してるよね] という表現の場合は、肯定文にして最後の部分を [don't you] と、最初の部分と反対のもの(肯定文には否定、否定文には肯定)を入れて表現します。
be動詞を利用している文だと、
=> She was here last night, wasn't she ?? (彼女は昨夜ここにいたんだよね?)
=> She wasn't here last night, was she ?? (彼女は昨夜ここにいなかったんだよね?)
ただ文が否定文であれ肯定文であれ、文の最後に [, right ??] を付ける方が簡単なので、これらはリスニングのために頭に入れておけばいいと思います。ネイティブ二人も同じ発想のようです。
現在形が表現することについては、こちらも一緒に読んでください。
接着剤効果のあるものについては、こちらをどうぞ。
Andy が使っている [~ or anything] はどういう意味で使っているのでしょう?
Bob: [~ or anything] は、どういう理由で使っているのですか?
Andy: [not ~ or anything] というのは場合によって、[~わけじゃない] に近い日常表現になるか、前の否定表現を強調するために使います。
なるほど。これは [否定文 + , right] と一緒に覚えておくと便利なので一緒に覚えましょう。英語のネイティブが実際に使っている表現の中から良いと感じるものを選び、インプットを増やすことは英会話上達への重要なステップです。
3, [えっ? 歩いて帰ってるよ。近いし、結構、街灯がついてて明るいしさ~]
私の: What ?? I walk home.
It's close and not so dark. The area has many street lamps.
Dave: Year, I walk all the way home.
It's close and the road is bright.
Andy: Huh? Yeah, I walk home.
It’s close, you know, and there are a fair number of street lights, so its not too dark.
Dave は [bright (明るい)] ですか、なるほど。日本語の [えっ?] は [What?, Huh?, Year] 等で対応可能だとわかりますね。
英文作成の流れは、上の英文で [歩いて帰っていない] を、[主語 don't walk home] としたのでここでもそれを利用します。当然ここでは [歩いて帰っていない] ではなく [帰っている] と肯定文なので、
=> What ?? I walk home.
ここまではそんなに難しくないと思います。問題は [近いし、結構、街灯ついてて明るいしさ~] という部分です。[近くて、街灯があって、明るい] という文をひも解いてみると、[~がある] という意味の文と考えることができます。
[~がある] という文は、通常、[There is/are ~] と学校では習います。
今回それで文を作成しても全く問題ないと思いますが、私は大抵、[主語 have 目的語/補語] という文を使います(または使おうと考えます)。理由は [have] を使うと英語の基本文をそのまま利用できるからです。
[There is/are ~] という文は、実際の主語の部分が文の後ろに来ます。
例 There are a lot of street lamps.
--- 動詞 実際の主語
それに対して [have] を使えば基本文を作成するだけなので、当然、主語は文の最初に来ます。なるべく基本形態を崩さないものを活用することで、脳が混乱することを避けたいのです。
では [have] の [~ある] をどう使うのかというと、[近くて、街灯があって、結構明るい] という日本語は私の頭の中では、[近くて、結構明るい] と、[街灯があることで] の二つに変換されます。
一つ目は [近くて、結構明るい] で、
二つ目は [街灯があることによって] という文です。
一つの文で構成された日本文に対して、英文も一つでなければならない理由はないので、ここでは複数の基本文を利用します。
[近くて、結構明るい] ですが、これは難しく考えず [It's 形容詞/名詞] という形を利用します。[近い] という部分は [It's close] として、[結構明るい] という部分は [そんなに暗くない] と考えて [It's not so dark] とします。
そしてそれらは、[接着剤(and)] を使えば一つの文に短縮可能なので、
=> It's close and not so dark. とします。
(= It's close and it's not so dark.)
二つの基本文を、[接着剤(and)] で一つに短縮したということです。
残るのは [街灯があることによって] ですが、ここで [have] が持つ [~がある] という表現を利用します。[街灯があることによって] という日本文を、[どこどこには、ある 多くの街灯が] という文に組み替え、
=> 主語 have many street lamps. という英文を作成します。
後は主語の [どこどこには] に、聞いている相手が、どこの場所なのかを理解できる主語を当てはめるだけです。
単純に考えれば [The area] を使って、
=> The area has many street lamps. でもいいかなと思います。
日本語の感覚で考えると [あの辺りは] で特に問題はありませんが、英語は日本語に比べて具体的に表現する言語なので、[あの辺りは] を [俺が住んでいるあの辺りは] として、[The area I live in] としてもいいと思います。
私が住んでいるのが [BBmart の近く] ということは話に出ているので、あの辺りを [The area(その地域)] で表現し、どの地域なのかを接着剤の関係代名詞 [that] を利用することで、主語を拡張して説明します。
[The area I live in] は正確に言うと、[The area (that) I live in] ということです。
関係代名詞 [that] は [主語 動詞 + α] か、[動詞 目的語/補語 + α] という説明を付け足したい時に使う接着剤です。(関係代名詞はそのうち説明予定です)
[have] の [~がある] についてはこちらを読んでください。
この [近いし、結構、街灯がついてて明るいしさ~] の英文作成過程に、英語/英会話上達のための一つの神髄があるように思えます。
何をもってそんなことを言っているのかというと、それは頭に浮かんだ日本語を一つの英文で表現する必要はないという点です。
英文一つで表現しにくかったら、英文を二つ(または複数)使って言いたいことを表現すればいいのです。
英語を話すということを突き詰めて考えれば、基本文を作成し続けるという事です。
私の: 1, It's close 2, and (It's) not so dark. 3, The area has many street lamps.
Dave: 1, It's close 2, and the road is bright.
Andy: 1, It’s close, 2, you know, and there are a fair number of street lights, 3, so its not too dark.
Dave は二つ、Andy と私は三つと、どれも基本文が二つ以上使われています。日本語を一つの基本文で英文にしにくいと感じたら、二つ、三つ利用して英文を作成していきましょう。
英語への日本語の活用の仕方は、こちらを参考にしてください。
二人にいくつか質問します。
Bob: [all the way home] は、どういう意図で使っているのですか?
Dave: [walk all the way home] で [ずっと歩く] という意味なので、単純に [家まで歩く/歩いて帰る] ということです。
Bob: [a fair number of] と [a lot of] は、どのくらいの違いですか?
Andy: [a lot of] は沢山に近くて、[a fair number of] はもうちょっと少ない感じで [けっこうある] という意味です。
こういったちょっとした差を身につけるには、似たものを同時に覚えていくのが効果的なので、一緒に頭に入れていきましょう。
英語を話すには何が必要なのか?
英会話において英文のルールさえ厳守していれば、こういう表現でなきゃ駄目だということはほとんどありません。(文のルール:基本文の配列、拡張の仕方、接着剤の使い方など)
ということは、英語のルールを守りつつ何かを行えばいいということです。
最初は基本文の核を作成することから始めましょう。それがあなたの英会話を上達させる上で必要に最初なステップです。
それを利用して英単語のインプット、拡張の仕方や、接着剤の個々の拡張のルールを身につけていくことで、自身の英語で表現できる幅を拡げていくのです。まず英語のネイティブの英文を観察し、基本文の概念を活用して、なぜそうなっているのか考えてみてください。そして今回利用した日本語を自分ならどう英文にするかを考えていくのです。
そうするこで、自分に足りていないものを明確化していきましょう。
何かを読んだり聞いたりしただけで英語が上達するなんてそれは幻想です。
単純ですが英語を上達させていくためには、自分で考えて思考錯誤しながら、コツコツ勉強し何度も反復練習していくことが欠かせません。それを効果的にするのが、基本文と日本語の発想を活かすことと考えています。小さな一歩でも続ければそれは大きな力へと変化していきます。ローマは一日にしてならずです。