英語を話したいけど話せない。そんな時、英語のどんな部分に大きな注目を向けていますか? 私は英語が話せなかった頃から今まで、英語学習の中の英語をどう話すのかのどうやってという部分に非常に興味を持ってきました。
他者の英文を眺めたり、英文作成過程を知ることは、そのどうやってという部分を向上させる有効な手段となり得ます。今回は英語のネイティブ・スピーカーの英文と私の英語を比較する企画の4回目です。
- 非ネイティブな私と英語のネイティブの英文を並べて比較
- 私がどう英文を作成したのかという過程を細かく分析
- 英語のネイティブの英文を見て浮かんだ疑問への質疑応答
という段階を経て、最終的にどうしていくべきかを解説していきます。
英文の作成過程をネイティブの英語と比較しながら考えます
利用するのは、以下の日本語です。
TITLE: [ボブ、今、どこに住んでんだ?] -4
John: オー、ジーザス! ボブ、お前は危険ってことへの認識が甘いぞ。
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John: お前は何を根拠にあの辺は危なくないって思ってんだい?
Bob: 今まで旅でつちかってきた勘かな~。そんなに暗くないし、危なそうな奴を見かけたことないし。
コロンビアの英会話スクールに通うボブと、友達、先生による会話。
生徒と先生は友達感覚で話すので formal な言い回しは出てきません。
[登場人物]
Bob ,,, 学校に通う生徒(一番の目的は英会話学習より...友達作り)
John ,,, ボブのクラスの担当教師で、ボブの友達。
Malda ,,, 学校の教師でチーフマネージャー(女性)。ジョンの上司。
George ,,, 現職の警察官。とってもチャラくてナンパ好き。
点線より上は以前に説明しているので、今回は点線より下を英文にします。
それ以前の私とネイティブの英語/分析等は、こちらをどうぞ。(1から続く話です)
私と英語のネイティブが(旅で培ってきた勘など)を作成した英語/英文を見る
最初に英語にするのは、
1, [お前は何を根拠にあの辺は危なくないって思ってんだい?]
私の: Why do you think that area is not dangerous ??
Dave: Why do you think it's not dangerous ??
Andy: What made you think it wasn’t dangerous around there ??
今回も Dave と Andy が協力者です。(Dave はカナダ人、Andy はアメリカ人です)
私と Dave は [Why do you think ~] で、Andy は [What made you think ~] を利用していますね。私の英文作成の過程から解説していきます。
私が英文の作成に活用するのは、英語の基本文と日本語の活用です。
基本文を簡単に説明すると、
基本文:[主語 動詞 目的語/補語 ~ (+ 接着剤 説明)]
([主語 動詞 目的語/補語] までが、基本文の核)
英文は [主語] [動詞] [目的語/補語] [接着剤 説明] 四つの枠組みで構成され、それらの枠組みは状況に応じて個々に拡張したり、複数が拡張したりします。
[主語] ,,,, I/You/He/She/We/They/It/名詞
[動詞] ,,,, [~する] という意味を表すもの
[目的語/補語] ,,,, 名詞/形容詞/me/you/him/her/us/them/it/たまに副詞。(単純に動詞に関連するものと考えるのも可)
[接着剤 説明] ,,,, 前置詞/不定詞/動名詞/接続詞/関係代名詞/関係副詞 etc (正確には接着剤効果のあるもの)
拡張とは、それが単独ではなく何かと一緒に利用されることで、[表現できる幅を広げていくこと] を意味しています。
基本文について詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ。
この最初の日本語を見て私の頭に自然と浮かぶのは、そのままの日本語だと英語にしづらいので、それを二つに分解するということです。
1, [何を根拠に、お前は~思っているんだ ?] と、
2, [あの辺は危なくないって] という二つに分解します。
一つの日本語の文を、そのまま一つの英文にしようと考える必要は全くありません。
柔軟に考えて、自分が英文にしにくいと感じたら、英文にしやすい似た日本語にどんどん変換していきましょう。日本語の文自体を組み替えていくことは英語を話すための重要な技術です。
そしてさらに [何を根拠に~思っているの] を、もっと簡単な日本語の => [何で ~って思っているの] に変換します。
[何で ~って思ってるの?] は、[Why do you think (that) 基本文?] という英文で表現できるので、=> [Why do you think (that)] + [あの辺は危なくないって] とできます。
すると残りは [あの辺は危なくないって] です。[あの辺は危なくない] は => [場所 is not dangerous] で表現可能なので、=> [that area is not dangerous] とします。
それを前の部分と合わせると、
=> Why do you think that area is not dangerous ?? となります。
正確に言えば => [Why do you think (that) that area is not dangerous ??] ですが、[think] の後の接続詞 [that] は、大抵、省略されます。ここで利用すると [that] が二回続いてしまうので省略するとも考えられます。
それに対してAndy は [~させる] という意味の [make] を活用して、[何が あなたをそう考えさせたの] と表現しています。
文を構成する流れは、私や Dave と何ら変わりはありません。
[~させる] の [make (使役動詞)] については、こちらを参考にしてください。
Andy の英文で一つ疑問があるので聞いてみます。
Bob: [What made you think ~] の [made] と [It wasn't dangerous ~] の [wasn't] は、なぜ過去形なのでしょう?
Andy: その時、そこらへんを歩いていた時、その場所に住むことにした時の過去のことを指しているからです。
なるほど確かにそう考えれば、過去形という判断も腑に落ちますね。
三人の英文で基本文がどう使われているのかを見てみると、
Dave: [Why do you think 基本文の核 ?]
Andy: [What made you think 基本文の核 + around there ?]
動詞 [think] の基本形態が [I think + 基本文.] で、その応用系として [Do you think + 基本文?] や、[Why do you think + 基本文?] 等の疑問形を作れると考えましょう。
2, [今まで旅でつちかってきた勘かな~]
私の: Hum, I trust my senses (that) I've developed so far.
Dave: You know what, I probably developed a sixth sense from all my travels.
Andy: Just a sense I’ve developed through my travels.
[a sixth sense (第六感)] って英語でも使うんですね。Andy は [(It's)] を省略して [(It's) Just a sense] としていますね。
私の英文作成過程ですが、[今まで旅でつちかってきた勘かな~] という日本語を見た私は頭の中で、=> [(私は) 今まで旅でつちかってきた勘を頼りにしている/信頼している] と変換することで英語にする全体像を自分の中で明確にします。
日本語は英語に比べて省略が多い言語なので、 省略されている部分を顕在化すると英文にしやくなります。
その日本語を英語の基本文に対応させてみると、=> [私は頼りにしている(信頼している) 今まで旅でつちかってきた勘を] となります。
[私は 頼りにしている(信頼している)] を英語にするなら、
=> I trust 目的語/補語 ~ (私は 頼りにしている ~を)
その他に [I believe ~] でもいいかなとも思いますが、[I trust ~] の方がここではしっくりくる感じがするので [trust] にします。
そうすると後は足りていないのが [今まで旅でつちかってきた勘を] という部分です。
それを見て私が感じるのは、そのままだと [目的語/補語] が長いということです。通常 [~を] を表現する [動詞に関連] が、最も簡単なのは名詞が単独の時で、その次が [形容詞 + 名詞] の場合です。
今回の [今まで旅でつちかってきた勘を] はそれらの単純な英語で表現できないので、他の手段を利用します。ここで私が利用するのは、接着剤の関係代名詞 [that]です。
関係代名詞 [that] は [主語 動詞 + α] か、[動詞 目的語/補語 + α] という説明を付け足したい時に使う接着剤です。(関係代名詞については、まだ後になりますが数回に渡って説明予定です)
ここでは単純に動詞に関連に配置された [名詞] を補足すると考えてください。
名詞 + [(that) 主語 動詞 + α] か、
名詞 + [(that) 動詞 目的語/補語 + α] という形を活用します。
そうすると [I trust] の次に配置するのは、短い [名詞] ということになります。
付け足したい [今まで旅でつちかってきた勘を] を短い名詞にすると、[(今まで旅でつちかってきた)勘を] にできます。
なので、=> I trust [勘を] ~ という英語の流れになります。
ここでの [勘] という単語をどう考えるかですが、私ならきっと [勘] を [感覚] と考えて 英語は [my senses] にします。
そうすると、=> I trust my senses ~
そしてそこに関係代名詞を利用して説明を補足するのですが、さらに現在完了形を組み合わせます。なぜなら [今まで旅でつちかってきた勘] ですが、これは [今まで~してきた] と考えられるからです。
とすれば => I trust my senses + [that 主語 have 動詞の過去分詞 ~] なので、[今までに旅で培ってきた] の [旅で培ってきた] という部分を、[発展させてきた(developed)] という英語にして、
=> I trust my senses + that I have developed ~ とします。
最後に [今までに] ということを強調するために [so far] を付け足します。[so far (今までのところは)] は、通常、現在完了形とともに利用されるものです。
それを合わせて、
=> Hum, I trust my senses (that) I've developed so far. とします。
ここでは私も含め3人とも動詞 [develop] を使って、[発展/発達させてきた] と表現しています。[develop] に限らず、実際に動詞がどういう場面で使えるのかを知る事で自身の英語表現の幅を拡げていけます。
接着剤効果のあるものについては、こちらを読んでください。
二人の英文で疑問に思う部分があるので質問します。
Bob: ここでは過去形より、現在完了形の方がしっくりくる気がするのですがどうですか?
Dave: どちらでもオーケーです。
Bob: [Just a sense] と [I've developed] の間には、関係代名詞 [that] が省略されていますか?
Andy: その通りです。本当は [that] が入っていますが会話ではよく省略されます。
日常の中で、ある過去から現在まで継続している行為を表現する場合、[主語 have 動詞の過去分詞 目的語/補語 ~] という現在完了形が利用されます。なので今回のように継続している行為を思い浮べたら、現在完了形と発想できるようになることが重要だということです。
3, [そんなに暗くないし、危なそうな奴を見かけたことないし]
私の: It's not so dark and I've never seen anyone who looks dangerous.
Dave: It isn’t that dark and I haven’t seen anyone dangerous looking.
Andy: It wasn’t that dark, and I’ve never seen anybody who looked like trouble.
私がこの文のキーと考えるのは、[~を見かけたことないし] という部分です。
なぜなら [そんなに暗くない] は、
=> It's not dark(暗くない)を発展させて、
=> It's not so dark(そんなに暗くない)と簡単に作成できます。
[~を見かけたことないし] ということは、ある過去から今までの間 [~している/~していない] ということなので、現在完了形を利用して、
=> I've never seen anyone
でもこれでは、まだ [危なそうな奴] という部分が欠けています。この形は偶然にもさっきと同じものです。先ほど [my senses] を補足した部分が、ここでは [anyone (誰か)] になっているということです。
ただ少しだけ違いがあって、付け足すのは関係代名詞 [who] + [動詞 目的語/補語] になります。
=> I've never seen anyone + [who 動詞 目的語/補語 ~]
付け足したいのが [危なそうな奴] という意味なので、[~のような] => [主語 look(s) 形容詞] を利用して、
=> I've never seen anyone + who looks dangerous とします。
説明を付け足す前提で何か簡単な名詞を配置して、基本文の核を先に完成させておくのです。これは英語自体に後から説明を付け足していく性質があるからです。
二人とも [that dark] と、[that] を [too/so] などの [とても~] という形容詞として使っています。[that] のこういう使い方を覚えておくと非常に便利です。
少しわからない部分があるので、二人に質問してみます。
Bob: [I have't seen anyone] の後には、関係代名詞 [who] の他に動詞 [is]も省略されていると思うのですがどうでしょう?
Dave: その通りです。正しくは [I haven’t seen anyone who is dangerous looking.] です。
Bob: [looked like trouble] で [問題のありそうな人] という意味でしょうか?
Andy: [anybody who looked like trouble] 全部で、[危なそうな人] という意味になります。
ここでは現在完了形と、関係代名詞がともに利用されていますが、
I haven’t seen anyone / (who is) dangerous looking.
I’ve never seen anybody / who looked like trouble. と頭の中で分解できれば、現在完了形を使って基本文の核を作成し、足りない説明(どんな人なのか)を、関係代名詞で補足していると理解できるはずです。
英語を話すために必要なのは何なのか?
1, 紹介した英語表現の中で良いと思ったものは、自分のものにできるように練習してインプットする。その時に必ず自分なりの例文を作成して、その表現を身につけてください。
また覚えた表現/英単語は、そこから派生可能な似た表現がないかを考えることで英語表現の幅を拡げる工夫をしましょう。横に展開していくことで自分が使える表現/英単語を増加させるのです。
2, 他者の英文をマネるだけではなく、日本語の文を自分ならどう表現するかを考える。大事なのは自分が思い浮かべた日本語に対して素早く英文の骨組みを作れかどうかです。基本文を軸としてどれだけ積み上げられるのかになります。動詞から形容詞、名詞という流れが効率的と考えます。
なぜ動詞からなのかは、こちらを参考にしてください。
横に発想を拡げていくのは、こちらも参考にしてください。
そういったことをコツコツ積み上げていくことで自分の中に英語の基盤を作成していけます。英語を話すためには絶対に英単語のインプットが必要です。己を信じ、少しずつでも積み上げていきましょう。