英語が話せない段階でネイティブの英文を眺めると、それらは不規則に並んだ摩訶不思議なものと感じることが多々あります。自身の英語力が向上していくことで、それがルールに沿った規則的なものと理解できるようになります。
とするとそれらのルールを早めに理解できれば、英語上達への道は速くなるはずです。英語ネイティブなど、他者の英文を眺めながら、英文のルールなどについて考えていきます。
- 非ネイティブの私が英文を作成していく過程を細かく分析
- 英語のネイティブスピーカーは、同じ日本語をどんな英文にするのか
- 彼等の英文を見て感じた疑問についての質疑応答
という段階を経て、そこから英会話上達へのヒントを探ります。
具体的な英文作成過程から英語上達を考える
利用するのは、以下の日本語です。
TITLE: [ボブ、今、どこに住んでんだ?] -9
Bob: えー、この距離で~? お金がもったいないよ。
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
Malda: 襲われてから後悔しても遅いんだよ。
Bob: ちょっと不安になってきたな~。二人で俺のことハメてないよね? よしっ。ジョージにも聞いてみよう。
コロンビアの英会話スクールに通うボブと、友達、先生による会話。
生徒と先生は友達感覚で話すので formal な言い回しは出てきません。
[登場人物]
Bob ,,, 学校に通う生徒(一番の目的は英会話学習より...友達作り)
John ,,, ボブのクラスの担当教師で、ボブの友達。
Malda ,,, 学校の教師でチーフマネージャー(女性)。ジョンの上司。
George ,,, 現職の警察官。とってもチャラくてナンパ好き。
点線より上は以前に説明しているので、今回は点線より下を英文にします。
それ以前の私とネイティブの英語/分析等は、こちらをどうぞ。(1から続く話です)
私が(~されてから後悔しても遅い等)を英語に作成する過程を追う
1, [襲われてから後悔しても遅いんだよ]
私がここで注目するのは [後悔する/悔いる = regret] をどうするかです。
私はきっと日本語を [後悔するよ ~されたなら] という形に組み変えて英語を作成します。そして日本語を [後悔するよ 襲われたら] と変換する過程で、この文が [~する もし~なら] という [if] を活用する英文と考えます。
なのでこの英文は [主語 will 動詞 動詞に関連 ~ , if 基本文2] を利用。
英文を作成する上で私が重視しているのは、如何に基本文に当てはめられるように日本語を組み替えるかという点です。
基本文とは、
基本文:[主語 動詞 動詞に関連 ~ (+ 接着剤 説明)]
([主語 動詞 動詞に関連] までが、基本文の核)
英文は [主語] [動詞] [動詞に関連] [接着剤 説明] という四つの枠組みで構成され、それら四つの枠組みは状況に応じて個々に拡張したり、複数が拡張したりします。
[主語] ,,,, I/You/He/She/We/They/It/名詞
[動詞] ,,,, [~する] という意味を表すもの
[動詞に関連] ,,,, 名詞/形容詞/me/you/him/her/us/them/it/たまに副詞(正確には動詞に関連するもの)-[目的語/補語] でも可
[接着剤 説明] ,,,, 前置詞/不定詞/動名詞/接続詞/関係代名詞/関係副詞 etc (正確には接着剤効果のあるもの)
拡張とは、それが単独ではなく何かと一緒に利用されることで、[表現できる幅を広げていくこと] を意味しています。
基本文について詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ。
まず最初に [あなたは後悔するよ] に英語の単語を当てはめると、
=> You will regret it (あなたは後悔するよ)
残りの [襲われたら] に [~される] の [get 動詞の過去分詞] を使って、[got attacked] とします。
=> if you got attacked (もし襲われたら)
それを繋げると、
=> You will regret it if you got attacked. となります。
大事なのは最初に思い浮かんだ日本語にとらわれず、自分が英文にできる形に上手く日本語自体を変えていくことです。
英語を勉強しているわけですから、英語を日本語のルールに乗せていくのではなく、日本語を英語のルールに乗せていく工夫をすることが必要です。
受動態(受け身)など、英語での [~される] の表現の仕方については、こちらを参考にしてください。
2, [ちょっと不安になってきたな~]
ここで考えるのは [不安になる] を英語でどうやって表現するかです。
私ならここではたぶん [be a nervous (不安です)] を利用するかなと思うので、
=> I'm a nervous. (不安だな)
この [be a nervous] は [不安になる] の他にも、[イライラする] 等でも使えるので一緒に覚えておくと効果的です。
そこに [ちょっと] と [~になってきた] という意味を加えます。[ちょっと] は難しく考えず、[little] を使って [be a little nervous] にします。
後は [~になってきた] という部分ですが、[~になってきた] が意味することは [~な状態になってきている] ということなので、[be getting ~] という表現方法を利用します。そうすると [I'm a nervous] が、
=> I'm getting a little nervous. (なってきたな 少し不安に) となります。
この [be getting ~] も色々と活用できる汎用性の高い表現です。
I'm blue. (憂鬱です) => I'm getting blue. (憂鬱になる/なってきた)
I'm excited. (興奮する) => I'm getting excited. (興奮してきた)
感情表現について詳しく知りたい方は、こちらを読んでください。
3, [二人で俺のことハメてないよね?]
ここで注目するのは [~をハメる] という部分と、[~してないよね?] です。
この会話の中の [~をハメる] という日本語の意味は、誰かを貶めるという意味より、誰かをからかって騙すに近いので [joke with 誰々] が良いかなと思います。
=> You are joking with me (あなたは からかっている 私を)
それに [~してないよね ?] という表現で使える [通常の否定文, right ?] を付け加えることで、
=> You are not joking with me, right ?? (あなたは からかっていないよね? 私を)
もちろん [通常の肯定文 , right ??] なら、[~だよね ??] と表現できます。
=> You are joking with me, right ?? (あなたは からかってるよね? 私を)
語尾に [, right ??] を付けて、最後の [right ??] の部分(語尾)を上げ調子で発音することで、簡単に [~してないよね ??/~だよね ?] という意味の英文を作成できるので非常に便利です。
そして二人ということを強調するために [You are] を、[You two are] とします。
=> You two are not joking with me, right ??
4, [よしっ。ジョージにも聞いてみよう]
ここでボブは、ジョージに尋ねることを今、決めています。
その場合、助動詞の [will] が最適です。
1, [今、決めたこと] => [will(be going to でも可)]
2, [すでに決めている未来の予定や計画について] => [be going to]
3, [具体的に時間や日時か決まっている未来の予定/計画] => [be 動詞ing (be going to も可)]
[聞く] を [聞く/尋ねる = ask] として、
=> I'll ask George (ジョージに聞こう)
これだけだと説明が不足していると感じるので、今まで我々が議論していたことについてという意味の [about it (それについて)] を補足し、[よしっ] を [Well,] とします。
=> Well, I'll ask Jeorge about it. (よし ジョージに聞こう それについて)
助動詞 [will] の使い方については、こちらをどうぞ。
英語のネイティブなら、どんな英文を作るのか?
1, [襲われてから後悔しても遅いんだよ]
Dave: It is better than risking being attacked !!
Andy: After you've been hit, it'll be too late for regrets.
ここでは、いくつか疑問に思うことがあります。
Dave 英文の意味を、どうも上手く解釈できないので細かく聞いてみます。
Bob: [It is better than risking being attacked!] としているこの文の意味を正確に把握できないので、細かく日本語で説明してください。
Dave: 日本語の意味は [襲われてからじゃ、遅いのよ!] です。そのまま直訳をして [It is late after being attack] とするとかなり不自然な英語なので、[It is better than risking being attacked] としています。日本語で考えると [襲われるリスクを起こすより、タクシーに乗って帰る方がマシだよ] となります。[risking] は元々 [risk] という動詞を名詞化したものです。襲われるかどうかは可能性の話しなので、[risking] 使わずに [you being attacked] にしても問題ないです。
なるほど。英単語、熟語、表現などを覚える時、自分が使いやすい形で吸収していくと効果的です。私は [It is better than you being attacked!] となっている方が理解しやいのでその形で頭に入れます。
Andy はなぜここで [you've been hit] と現在完了形を利用しているのでしょう?
Bob: 1- ここではなぜ [you've been hit] と現在完了形なのですか? [you are hit] と現在形では駄目ですか? 2- [for regrets] はなぜ複数形なのですか?
Andy: 1- どちらでも問題ないです。 2- 襲われたら色んな後悔が生まれてもおかしくないからです。
ふ~む。確かに言われてみれば、後悔することが複数の可能性は十分にありえるので、英語でも複数ということですね。
三人の英文で基本文がどう使われているのかを見てみると、
Dave: [It is better than 主語 動詞!]
Andy: [After 基本文の核1, 基本文の核2 + for regrets.]
2, [ちょっと不安になってきたな~]
Dave: Wow, I am a little unsure now.
Andy: I’m starting to feel a little uneasy...
なるほど [不安になる] は、[uneasy] と [unsure] ですか。
Andy に [I'm starting to ~] [~になってきた] の他の使い方を聞いてみます。
Bob: [I'm starting to feel a little uneasy] で [ちょっと不安になってきた] と表現できるなら、[ちょっと楽しくなってきた] という意味の文にするなら [uneasy] の所に何を入れればいいですか?
Andy: [ちょっと楽しくなってきた] なら、[I'm starting to enjoy this a little] になります。
なるほど。一緒に覚えておくと便利ですね。
3, [二人で俺のことハメてないよね?]
Dave: You two aren’t playing a joke on me right ??
Andy: The two of you aren’t messing with me or anything, right ??
Dave は [play a joke on 人] Andy は [mess with 人] で、[~をハメる] を表現しているので、その表現は日本語の他の表現にも使えるか等を聞いてみます。
Bob: 1- [play a joke on 人] の他に、[人をはめる] という意味で利用するものはありますか? 2- [you're messing with me] を [俺のことハメてないよね] という意味で使っていますが、この表現は他の似たような日本語の場合でも利用することは可能ですか?
Dave: 1- [playing a joke on] を、[playing a trick on] として使うことも可能です。
Andy: 2- はい可能です。「ふざけている」「冗談を言っている」「いじめている」という意味で利用できます。
Andy が使っている [not ~ or anything] という表現は、以前に質問しています。[~わけじゃない] に近い日常表現になるか、前の否定表現を強調するために使うものです。
気になる方は、こちらをどうぞ。
4, [よしっ。ジョージにも聞いてみよう]
Dave: Alright, I gonna ask George !!
Andy: Alright, I'll just try asking George about it.
ここでは動名詞と不定詞の使い分けについて、ちょっと Andy に聞いてみます。
Bob: [I'll just try asking ~] の [asking] は、[to ask] でも同じ意味ですか?
Andy: 意味は一緒ですが、日常会話では [asking] の方が自然に聞こえます。
[to 動詞] の形より [動詞ing] の方が進行形という形なので、会話に臨場感や躍動感のようなものを生むのでしょうね。(接着剤の不定詞、動名詞についてはそのうち説明したいと思います)
何が英語の上達に必要なのか?
英語を話すためには、何かしらの軸があると効果的です。
軸があるとそれを基準点にできます。
軸を起点にして英単語・英熟語・英語表現を身につけていきましょう。
私であれば基本文という英語を簡素化して考える発想を根に、身につけてきた [get] を中心とした重要度の高い動詞群が英文を作成するための軸となっています。(get, give, be, have, take, put など)
[get] は上で紹介したので、他の [give, be, have, take] は、こちらをぜひ参考にしてください。
自分の中に軸を置いて、英単語・熟語・表現の蓄積を増やしていきましょう。コアがある方がそれを中心に記憶を紐づけしやすいです。そのコアを大きくしていくことを考えましょう。今回紹介した英文の中に知らない表現があれば、それらを自身の何かと関連付けて吸収してください。そういった工夫があなたの英会話を上達させていきます。