日本語を母国語としている人が、英語で会話をしている時、日本語はどういった扱い方をされているのでしょう?
小さい頃から成人するまで英語圏で暮らしたり、小学校からインターナショナルスクールに通うなどでない限り、育つ過程で自然と英語を身につけることはなかなかできません。そうであるなら英語を習得する時には日本語の感覚を利用したら良いと思うのです。今回は英語習得にどう日本語の感覚を利用していくのかをお伝えします。
英語習得に日本語をどう活用するのか?
英語は、基本文という軸で成り立っていると考えています。
基本文:[主語 動詞 目的語/補語 ~ (+ 接着剤 説明)]
(その中の [主語 動詞 目的語/補語] までが、基本文の核)
基本文:[主語 動詞 目的語/補語 ~ (+ 接着剤 説明)]
([主語 動詞 目的語/補語] までが、基本文の核)
英文は [主語] [動詞] [目的語/補語] [接着剤 説明] 四つの枠組みで構成され、それらの枠組みは状況に応じて個々に拡張したり、複数が拡張したりします。
[主語] ,,,, I/You/He/She/We/They/It/名詞
[動詞] ,,,, [~する] という意味を表すもの
[目的語/補語] ,,,, 名詞/形容詞/me/you/him/her/us/them/it/たまに副詞。(単純に動詞に関連するものと考えるのも可)
[接着剤 説明] ,,,, 前置詞/不定詞/動名詞/接続詞/関係代名詞/関係副詞 etc (正確には接着剤効果のあるもの)
拡張とは、それが単独ではなく何かと一緒に利用されることで、[表現できる幅を広げていくこと] を意味しています。
英語で会話をするのに欠かせないのは、英文を構成する技術です。
英語を単純化した形でとらえると、後は英単語、英熟語、英語表現等をどう当てはめていくのかになります。そこにどう日本語の視点を加えていくと効果的なのか?
以下の日本語を英文にする流れを利用して考えてみます。
=> [昨日、渋谷の隠れ家風の創作和食店で、信じられないくらい美味しい料理を食べた]
最初に、日本語で省略されている主語を顕在化させます。
この文で省略されている主語は [私は] です。
そうすると [(私は) 昨日、渋谷の隠れ家風の創作和食店で、信じられないくらい美味しい料理を食べた] なので、主語は、当然、[ I ] とします。
なるべく人を主語にする。最初はそう考えると楽だし簡単です。
日本語の話し言葉では頻繁に主語が省略されますが、英語では話し言葉であっての基本的に主語は省略されないので、それを顕在化して人を主語にします。
人を主語にする、そして主語を拡張させないと決めておくと、主語に配置されるのは [I, You, He, She, We, They, 人の名前] のどれかということになります。最初はそれを軸に、 + It, 名詞単体を基本姿勢としましょう。
英語の基本文についてはこちらに詳しく書いてあるので、参考にしてください。
英文を作成する上で何を重要視するのか?
主語を顕在化させ狭めたものの中から決定したら、主語の次に来るのは必ず動詞です。なのでここでは [~を食べた] が動詞ですから、[eat (~を食べる)] の過去形の [ate] を主語の次に配置します。
I ate ~
私は 食べた ~
ここまでは特に難しくないと思います。注目したいのはその次の部分です。
動詞の次に来るのは [目的語/補語(動詞に関連するもの)] です。
私が食べたのは [信じられないくらい美味しい創作和食料理] なので、それをどうやって表現するのかを考えます。ここで重要なのはあまり難しく考えないことです。そのためには拡張による装飾を排除して [目的語/補語] を考えるようにします。
これが意味するところをこの例文で考えると、[信じられないくらい美味しい創作和食料理] を、全てそのまま英語にしようと試みないということです。
例えばその創作和食の中に、[寿司と、天ぷら] が少しだけあったとします。そうであるなら、
=> I ate sushi and tenpura. で全く問題ありません。
英語を話すためには、むしろそういう簡単な発想が大事です。
基本文の核を日本語で考えてみると [(誰々/何々) は/が ~する(した) ~を/に] となります。
ということは、最初に浮かんだ日本語を [~は/が ~する(した) ~を/に] の枠の中に当てはまるように都合よく組み替えることで英文を作成しやすくできます。(そういう技術の向上を図ります)
要は、違和感なく伝わればいいのです。
主語を拡張させない場合、主語は [I, You, He, She, We, They, It, 人の名前, 名詞単体] のどれかです。主語を拡張させないと決めておけば、その中のどれかを選択するだけですから、どれかを選択したら後は、[動詞] と [目的語/補語] をどうするかになります。
ここで重要なのは、主語を簡単に決定することで [動詞] と、[目的語/補語] を何にするかに集中できる状態を作り出す点にあります。
その二つに該当する日本後を、頭の中で素早く [これじゃない、これでもない、これにしよう] と組み替えていくのです。
そしてできるなら説明を補完するために、足りていない [渋谷で = in Shibuya] 、[昨日 = yesterday] を付け足します。
=> I ate sushi and tempura + in Shibuya + yesterday.
[in Shibuya] は [接着剤 説明] で、[yesterday] は [接着剤なしで説明を補足できる例外] に属しているものです。
そこまでで一つの英文は完成していますが、例文の日本語にはまだ欠けている部分があります。残りは [その料理が凄く美味しかったこと] 。
=> It was so delicious.
この英文も [主語 動詞 目的語/補語] で形成されていて、[目的語/補語] に配置された [delicious (形容詞)] を [so (とても)] で装飾した文です。
もちろん [so] を [really] にしても問題ありません。そこは最初の英文の [渋谷] [昨日] と同じ枝葉な部分ということができます。(欠けていても正直なんとかなる部分)
このように思い浮かんだ日本文を、一つの英文で表現しなければならないなんてことは特にありません。
まず [主語 動詞 目的語/補語] という基本文の核を作成することが重要で、それで説明が足りていなければ [接着剤 説明] で説明を付け足すか、もう一つ基本文の核を作成すると考えましょう。
英語で日本語を活用する時に必要なもう一つの視点
でも寿司も天ぷらも出てなかったらどうするの?と思った方、それをどうするかは何を食べたかにもよりますし、状況次第で表現を考えるしかありません。
そもそも創作和食なんだから [washoku] でいいんじゃないという考えも、もちろん間違いではありません。和食はユネスコ無形文化遺産登録がされたので、以前に比べて伝わる確率は高くなっていると思います。
ただ可能なら、 なるべく具体的に表現することをお勧めします。
例えば逆に我々がイタリアに行って、知り合いのイタリア人に、-「 昨日、イタリア料理を食べたんだ。めっちゃ旨いやつをね」と言われたらどうですか?
-「むむ?、イタリア人が、イタリアでイタリア料理を食べるのは至って普通なのでは?」といった感じになりませんか?
そうではなくより具体的に、-「昨日、ピッツァと、パスタを食べたよ。めっちゃ旨いやつをさ~」と言われた方が理解しやすいし、話が広がっていきやすいはずです。
具体的かつ相手が知っている単語で表現する方が相手は理解しやすく、こちらの言いたい事も伝わりやすいはずです。今回の場合で言えば、[目的語/補語] に来るのは一つ目が [名詞] 二つ目が [形容詞] なので、相手が知っているであろう英単語(名詞/形容詞)を考えて当てはめるということです。
装飾をはぎとれば、大半の英文は [主語 動詞 目的語/補語] という形になっています。取り敢えず日本語の [~は/が ~する(した) ~を/に] に収まる英文の作成を目指しましょう。はっきり言って最初に頭に浮かんだ日本語なんて、全く重要ではありません。重要なのは主語の次に英語の動詞をどう当てはめるかです。
そういった技術を身につけることが英語の習得につながっていきます。英語を話す技術については、こちらも参考にしてください。
英語習得のためにお勧めしたい日本語の事
英語を習得するためにお勧めしたいのは、頭の中で日本語を考える時、日本語を英語の配列にして考えていく方法です。
日本語だと [俺、食べたよ (それを)。] でも、[俺、(それを) 食べたよ。] という並びでも特に問題はありませんが、英語の並びは [俺、食べたよ それを] でなければなりません。
この流れを無視した英文を耳にすると違和感のある英語に聞こえます。言い換えれば、その配列を順守して英文で会話をすれば、ある程度は、違和感のない英語に聞こえるということです。
英語の配列 [主語 動詞 目的語/補語] で日本語を考え、特に主語と目的語/補語を省略しないクセをつけましょう。それが英語の習得、英会話上達につながっていきます。
日本語の感覚そのままに英単語をあてはめていると、基本的に配列順が [(主語) 目的語/補語 動詞]となるので、いつまでたっても英語の配列感覚が身につきません。
重要なのは、
日本語の感覚に英語を乗せていくのではなく、
英語の感覚に日本語を乗せていくことです。
同じことのようにも見えますが、この二つは全くの別の行為です。
日本語と英語は、全く違う言語体系をしています。
その違いを受け入れずに英語の習得を図るのは無理があります。
その違いをよく認識し、英語の感覚に日本語を乗せていきます。身につけたいものが英語である以上、英語の感覚が最優先されます。ただ日本語の感覚を完全に捨てる必要はないので、それを上手に英語の中に取り込んでいきましょう。
その始まりが日本語を英語の配列にして考えていくことです。
日本語を十分に活用して英語習得を促進させることは、我々日本人にとって無理がないやり方と思います。日本語の感覚を活用する点については、こちらも参考になると思います。
もし英語が話せずにモヤモヤしているのなら、英語の習得のために日本語の感覚を活用してみてください。
英語を話す時に日本語の感覚を使ってはいけない理由など、どこにもありません。そもそも成長の過程で身につけてきた日本語の感覚を活用しないことの方が勿体ないように感じるのです。 日本語と英語の文を作る感覚には大きな違いがありますが、それを単純化していくことでその差異を埋めていけます。必要なのは発想の転換です。発想を転換し思考を飛翔させましょう。