外国人の方や帰国子女の方など、英語の流暢な人の英語を聞いていると、-「なぜあなたの英語(英文)はそんな長いの?」と疑問に感じることはありませんか?
そのなぜ英語が長くなるのかには当然理由があります。
英語の文を簡素化すると、基本文 [主語 動詞 目的語/補語 ~ (+ 接着剤 説明)] で考えることが可能です。その中の [主語 動詞 目的語/補語] をまず作ることが英語を話すための第一歩です。
その軸となる基本文の核 [主語 動詞 目的語/補語] を作成できたら、次のステップは [接着剤 説明] の部分です。この部分がどんなもので、どういった役割を担っているのかを理解できれば、なぜ英語の文が長くなるのかがかなり明確になります。
基本文とは、
基本文:[主語 動詞 目的語/補語 ~ (+ 接着剤 説明)]
([主語 動詞 目的語/補語] までが、基本文の核)
基本文:[主語 動詞 目的語/補語 ~ (+ 接着剤 説明)]
([主語 動詞 目的語/補語] までが、基本文の核)
英文は [主語] [動詞] [目的語/補語] [接着剤 説明] 四つの枠組みで構成され、それらの枠組みは状況に応じて個々に拡張したり、複数が拡張したりします。
[主語] ,,,, I/You/He/She/We/They/It/名詞
[動詞] ,,,, [~する] という意味を表すもの
[目的語/補語] ,,,, 名詞/形容詞/me/you/him/her/us/them/it/たまに副詞。(単純に動詞に関連するものと考えるのも可)
[接着剤 説明] ,,,, 前置詞/不定詞/動名詞/接続詞/関係代名詞/関係副詞 etc (正確には接着剤効果のあるもの)
拡張とは、それが単独ではなく何かと一緒に利用されることで、[表現できる幅を広げていくこと] を意味しています。
基本文について詳しく知りたい方は、こちらを読んでください。
なぜ英語が流暢な人の文を長く感じるのか?
英語の文を長く感じるのは、英語が説明を後から色々と付け足していく性質を持つ言語だからです。
英文は説明を付け足していくことをかなりの部分で前提としていると言えます。
例文で見てみましょう。
=> I ate sushi / + with her / + in the restaurant / + last night.
私は食べた 寿司を 彼女と そのレストランで 昨夜
=> I bought a book / + that he recommended.
私は買った 本を 彼が 薦めた
最初に [基本文の核] を作成し、そこに [接着剤 説明] で足らない説明を補足しています。まずこの英文で言いたいのは、 / 以下の部分はなくても文を完結させることは可能だということです。
ただそれでは説明が十分ではない場合、[接着剤 説明] を利用することで、説明を補足しより文を具体的なものにしていきます。
英語を流暢に話せる人は、この原理・原則を意識はしていなくても、当然理解しています。なので細かく説明することが好きな人や、おしゃべりな人は、その原理を利用して [あ~まだ付け足そう。これにこれとこれと] といった感じでどんどん説明を付け足していきます。感覚としては足りない説明は後で付け足せばいいやという感じです。だから英語熟練者の英文を聞くと [なぜその人の英語はそんなに長文なんだ?] と感じるのです。(もちろん彼等の英文が一つではなく複数存在している場合もあります)
接着剤は正確に言えば、接着剤効果のあるものです。
前置詞や接続詞などちゃんとした呼び名があるのに、それをそのまま表記せず接着剤と呼んでいるのは、前置詞、接続詞という名前で覚えていると、いざ使いたい時に、パッと使いたいものを連想しずらいと考えているからです。
例えば私が英語の長文を一つ作成して、その英文の中に [to] を利用したとします。私にとってその時利用した [to] が、前置詞なのか不定詞なのかは、はっきり言ってどうでもいいことです。私の中では全て説明を接着するために利用するものという同じくくりになっています。(私なりの分類わけは後で説明します)
どうすれば英語の文を長くしていけるのでしょう?
まず下の接着剤のリストを見てください。
- 前置詞 ,,, in, at, on, of, to, for, from, with, about, along, before/after 等
- 接続詞 ,,, and, but, or, before/after, though, as, that 等
- 不定詞/動名詞 ,,, to 動詞/動詞ing
- 関係副詞 ,,, where, when, why, how
- 関係代名詞 ,,, that, who, which, what
これらの接着剤は、各々に接着のルールがあります。その接着剤をただ単純に覚えていくのでは非効率的と考えます。
接着剤を後で付け足せばいいやという感覚で使っていくのなら、説明を簡単に付け足せないと、その感覚を活かすのは難しいはずです。多種多様な接着剤が存在する限り、説明を付け足したい場面で、[この場合はどれかな?] と常に選択を迫られることになります。その時、素早く対応するためには、何かしらの指標があればいいと思いませんか?
私はその時、素早く対応できるように単純なルールによる分類わけを活用しています。
ルールといっても、個々の接着剤が持つ接着時のルールではなく、接着剤を利用するのを円滑にするためのルールです。
どんなルールで分類わけをしておくのかというと、
Group2 : [動詞あり]
Group3 : [主語と動詞あり, 動詞と目的語/補語あり]
という簡単なルールです。
(3 は正確にいうと [主語 動詞], [動詞 目的語/補語], + 基本文の核のどれか)
こうやって単純化することで、なぜ英語上級者の英語が長文なのかを自分の中で消化していく効果もあります。
接着剤は、どのようにグループ分けされているのか?
グループは、以下の三つに分類わけされています。
1, in, at, on, of, to, for, from, with, about, along, before/after等の前置詞
2, to 動詞(不定詞), 動詞ing(動名詞)
3, what/that/who/which 等の関係代名詞、関係副詞、that, and, but, or, before/after 等の接続詞
それを、それぞれの接着剤を英文に当てはめてみると、
1, 基本文の核 + { in, at, on, of, to, for, from, with, about 等の前置詞 + [名詞/me/you/him/her/us/it/them] }
2, 基本文の核 + { to + 動詞 (不定詞) ~ / 動詞ing (動名詞) ~ (動名詞は接着剤なし) }
3, 基本文の核 + { 関係代名詞/関係副詞/before/after等の接続詞 + [主語 動詞, 動詞 目的語/補語, 主語 動詞 目的語/補語] }
正確に言えば、全ての接着剤は主語の拡張に、Group2 は動詞の拡張にも利用可能なのですが、今回は接着剤で基本文の核に説明を付け足すという部分の説明です。(細かい部分は今後少しづつ説明していく予定)
因みに、ここで前置詞、接続詞などの表記をしているのは、そうやって頭に入れているわけではなく、その方が読んでいただいた方にはわかりやすいだろうという考えからです。
補足 : 接着剤が必要ないもの (last night, yesterday などの日時を表すもの) もありますが、難しく考えずそれらは接着剤なしで説明を補足できるもの(例外)と考えてください。
これを日本語とすり合わせておきます。
2 で表現できるのは [~すること/~するために] と少し複雑な事
3 で表現できるのは [~は ~する/~する ~を, ~は ~する ~を] 等の複雑な事
説明を付け足していくことを簡単にするには『この場合はこれ!』と、瞬時に条件反射できることが望ましく、分類わけによって最初の判断基準を狭め、条件反射しやすい状態を作っておくのです。
分類わけした三つのタイプの特徴は?
Group1 の特徴は、動詞を含んでいないので使うときのルールが少なく、比較的簡単に覚えられるということです。一緒に使われるのは、名詞か [me, you, him, her, us, it, them] です。付け足すものが簡単なので、当然、早い段階で使えるようになります。最初の段階で我々の英語表現の手助けをする確率が高いのは、言うまでもなくこの Group1 です。
Group2 の特徴は、動詞を含んでいるので付け足せる意味にある程度柔軟性があります。ここで一緒に使われるのは [動詞] だけになります。(動詞ing {動名詞}は、接着剤なしで接着可能なものです。)
Group3 の特徴は、動詞の他に、主語か動詞に関連(または両方)を含んでいるので、
付け足せる意味にかなりの柔軟性があります。
Group2, 3 は、どちらも動詞を含んでいるので表現できる幅が広いというだけでなく、動詞を覚えることと連動させることで利用できる範囲を拡げていきます。
もちろんこのルールを活用できるだけで、接着剤を使いこなせるようになるわけではありません。接着剤個々のルールを知り、それを使えるように自分で英語の勉強、学習をする必要があります。(英語の上達に近道は存在しません)
付け足す説明の方向性がある程度指し示されていれば、方向性が示されていない場合より接着をしていくのは容易です。そういう発想を取り入れて接着を考えましょう。
Group1 の前置詞と、接着剤を必要としない補足については、こちらを読んでください。
Group2, 3 に関係する、動詞をどう覚えていくのかは、こちらの記事を参考にしてください。
なぜ英語で接着剤を理解することが重要なのか?
[本を買った] という文に実際に説明を付け足してみます。
=> I bought a book.
主語 動詞 動詞に関連
この基本文の核に説明を付け足すとすると、
1, いつ買ったのか?
2, どこで買ったのか?
3, 何のために買ったのか?
4, どんな本を買ったのか?
英語の流れで見ると、
=> I bought a book + 1, いつ
=> I bought a book + 2, どこで
=> I bought a book + 3, 何のために
=> I bought a book + 4, どんな
それを具体的なものにすると、
1, 本買ったんだ => いつ => 先週の日曜日
2, 本買ったんだ => どこで => 紀伊国屋で
3, 本買ったんだ => 何で => 勉強のために
4, 本買ったんだ => どんな => 彼に薦められた
1, I bought a book + last Sunday. (接着剤なしで [形容詞 + 名詞] を配置)
2, I bought a book + in Kinokuniya.
3, I bought a book + to study English.
4, I bought a book + that he recommended.
(接着剤のグループの中に当てはめると、1,2 は Group1、3 は Group2、4 は Group3)
Group1 では、当てはめる [接着剤 説明] の部分を変えても [先週の日曜日] が [昨夜/昨日] になったり、[紀伊国屋] が [名古屋] になったりと時間や場所が単純に変わるだけで、その文の意味に大きな変化はありません。
それに対して Group2, 3では、動詞を変えることで、説明部分の意味自体を大きく変えることができます。それは動詞の意味が幅広いからに他なりません。
基本文の核まででこう表現したから、[後はこの場合 グループ~のどれかだな] とすぐに連想できるように、ルールと表現できる幅という概念を活用して練習を繰り返してください。
そうやってなぜ英語が長くなるのかを理解し練習を積み重ねることで、接着のタイミングと幅を自身でコントロールしていけるようになります。このコントロールできるようになることが非常に重要です。
接着剤をコントロールできるようになると、英文の左側の要素 [主語 動詞 目的語/補語] と、右側の要素 [接着剤 + 説明] を少し切り離した目線でとらえられるようになります。
これは左側の限界値から、右側の有用性を知る行為と言えるかもしれません。
ただここで忘れてはならないのは接着剤はあくまで補足要素という点です。
英語はまず基本文の核を作成する事から始まります。接着剤を使う前に基本文の核を作成することが先にあり、そして説明が足りていない場合に [接着剤 説明] で補足していきます。
具体的にどう左側 (基本文の核) を作成していくのかは、こちらを参考にしてください。
基本文の核があってこその [接着剤 説明] です。
私はそれを理解していなかったために、長い間、接着剤を有効活用できませんでした。基本文の核をまず作ることで英文作成は始まるということを理解することが大事です。基本文の核で何かが足りていないのなら、そこで [接着剤 説明] の出番です。英文が長いのには理由があります。なぜ英語/英文が長くなっているのかを自身で色々と分析してみましょう。それは英語上達のための重要な一歩となります。