英会話のスキルを上げるには、英単語、英語表現のインプット作業を避けて考えることはできません。アウトプットのための土台がインプットです。そのアウトプットを効果的に行うには、日常使っている表現をインプットすることが重要になります。その日常の英語表現を、非ネイティブな私の英文とネイティブの英文を比較・分析することで吸収していきます。(シリーズの15回目)
- 非ネイティブの私が英文を作成していく過程を細かく分析
- 英語のネイティブスピーカーは、同じ日本語をどんな英文にするのか
- 彼等の英文を見て感じた疑問についての質疑応答
という段階を経て、そこから英会話上達へのヒントを探ります。
英会話を上達させるために、英語を作る過程に注目し分析する
利用するのは、以下の日本語です。
TITLE: [ボブ、今、どこに住んでんだ?]-15
John: ここの学校の周辺は安全だな。
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John: その代わりちょっと高いのが欠点(ネック)かな~。だから基本的に金持ちが多いね。あとは俺の家の周辺も安全かな~。そうだっ!うちの空いてる部屋貸してやろうか? ちょっと遠いけど安全だぜ。
場面設定は、コロンビアの英会話スクールに通うボブと友達、先生が授業が終わった後に学校の前で冗談を言い合っての会話。基本的に生徒と先生は、仲良くなると友達感覚でため口で話しているので、formal な言い回しはほとんど出てきません。
[登場人物]
1,Bob ,,, 学校に通う生徒(一番の目的は英会話学習より...友達作り)
2,John ,,, ボブのクラスの担当教師で、後のボブの友達。
3,Malda ,,, 学校の教師でチーフマネージャー(女性)。ジョンの上司。
4,George ,,, 現職の警察官。とってもチャラくてナンパ好き。
点線より上は以前に説明しているので、今回は点線より下を英文にします。
それ以前の私とネイティブの英語/分析等は、こちらをどうぞ。(1から続く話です)
私が(高いのが欠点など)を英語にする流れを追います
1, [その代わりちょっと高いのが欠点(ネック)かな~]
2, [だから基本的に金持ちが多いね]
まず私がどうやって英文を作成するのか見てきます。
ここではまず頭の中で日本語の流れを、
a, 基本的に金持ちが多いね
b, その代わりちょっと高いのが欠点かな~ の順番に変えます。
a の [基本的に金持ちが多いね] は、[基本的に金持ちが沢山いる] という意味に取れます。なので [~がある] という表現を利用しようと考え、ここでは [be動詞, have, There is/are ~] の中の [There is/are ~] を利用します。
=> There are a lot of rich people
そして日本語で省略されている [ここ/この辺 = here] を加えて、
=> There are a lot of rich people +here とします。
通常、There is/are の英文は、
=> There is/are 主語(名詞) +接着剤 場所 という配列になります。(今回の英文では here なので接着剤不要)
私はどちらかというと [~がある] は、動詞の [have] を利用することが多いのですが、ここでは [There is/are] の方がしっくりくると感じこちらを選びました。自分の中に軸となるものを形成し、状況によって変えるのが理想かなと思います。
[~がある] の [have][There is/are ~] については、こちらをどうぞ。
続いて b の [その代わりちょっと高いのが欠点かな~] ですが、英語は日本語より具体的に説明する必要がある言語なので、ここでは何が高いのかを明確にしようと考えます。なので [その代わりその地域での生活コストは高いよ] という日本語を英語に変換します。
まず [その代わり] ですが、ここでの意味は [でも] で対応可能なので [but] を利用し、[その地域での生活コスト] は [the area of living] にして、
=> but the area of living
残りの [(生活コスト)は高いよ] は [be expensive] を使って、
=> but the area of living is expensive. にするかなと思います。
全ての英語をつなげると、
=> There are a lot of rich people here, but the area of living is expensive.
このように私なら1と2の日本語を、2=>1 で連結する英文にします。英語にしやすいように日本語を頭の中で自分に都合よく変換していくことも、英語を話すために必要な技術です。
日本語を英会話にどう活かすかは、こちらも参考にしてください。
3, [あとは俺の家の周辺も安全かな~]
[~の周辺] は [around] を使って、[俺の家の周辺] を [around my place] として、
=> Around my place is safe (俺の家の周辺は 安全です)
そうすると残りは [あとは ~も] という部分なので、[too] を使って、
=> Around my place is safe +,too. (俺の家の周辺も 安全です)
4, [そうだっ!うちの空いてる部屋貸してやろうか?]
最初の [そうだっ] は単純に [Well] にします。そうすると [うちの空いてる部屋貸してやろうか?] をどうするかですが、この日本語は [うちの空いてる部屋貸せるけど?] という意味と考えることができます。
そこでまず [うちの部屋貸せるけど] を英語にします。[部屋を貸す] は動詞 [rent] で、[部屋を貸せる(貸すことができる)] ですから助動詞 [can] を使って、
=> Well, I can rent you my room (そうだ。 貸せるけど俺の部屋)
この英文は基本文の動詞に関連が拡張して、動詞に関連2が発生している文です。
動詞の [rent] が [give, show, tell, bring, hand, offer, throw] 等と同じで、そういう働きをする動詞ということです。
=> 主語 動詞 動詞に関連1 動詞に関連2 (正確に言えばここでは動詞も拡張していて、can 動詞)
基本文とは、
基本文:[主語 動詞 動詞に関連 ~ (+ 接着剤 説明)]
([主語 動詞 動詞に関連] までが、基本文の核)
英文は [主語] [動詞] [動詞に関連] [接着剤 説明] という四つの枠組みで構成され、それら四つの枠組みは状況に応じて個々に拡張したり、複数が拡張したりします。
[主語] ,,,, I/You/He/She/We/They/It/名詞
[動詞] ,,,, [~する] という意味を表すもの
[動詞に関連] ,,,, 名詞/形容詞/me/you/him/her/us/them/it/たまに副詞(正確には動詞に関連するもの)-[目的語/補語] でも可
[接着剤 説明] ,,,, 前置詞/不定詞/動名詞/接続詞/関係代名詞/関係副詞 etc (正確には接着剤効果のあるもの)
拡張とは、それが単独ではなく何かと一緒に利用されることで、[表現できる幅を広げていくこと] を意味しています。
ちなみに賃貸契約などの金銭の授受を伴う貸す/借りるは、動詞 [rent] で表現します。
物やお金そのものを貸す/借りるなら、貸す [lend]、借りる [borrow] となります。
金銭の取引を含む貸す/借りる => rent
物(直接お金)を貸す => lend
物(直接お金)を借りる => borrow
そうすると残りは [空いてる] という部分になります。[空いている] をここでは [(私が)使っていない] と考え、関係代名詞 [that] を使って文に接着していきます。
関係代名詞 [that] は、[主語 動詞 ~] か、[動詞 動詞に関連 ~] という意味を接着可能です。ここでは [私は 使っていない(主語 動詞 ~)] を接着して、
=> Well, I can rent you my room +that I don't use.
そして関係代名詞 [that] は省略可能なので、
=> Well, I can rent you my room I don't use. にします。
(時期は未定ですが関係代名詞についてはそのうち説明予定です)
[動詞に関連 (目的語/補語)] の拡張については、こちらに書いてあるのでどうぞ。
可能性等を表現する助動詞 [can/could] については、こちらを読んでください。
5, [ちょっと遠いけど安全だぜ]
ここで私が考えるのは、一つの英文ではなく二つの英文で表現しようということです。1,[ちょっと遠い] と、2,[でも安全だよ] という二つです。
そうすれば、どちらも [It's 名詞/形容詞] という形を利用できます。
ちょっと遠い => It's a little far
でも安全だよ => but it's safe
2つを連結させれば、
=> It's a little far but it's safe. (ちょっと遠いかな でも安全だよ)
日本語をどう英文の上に乗せていくのかを考え工夫しましょう。
英語のネイティブならどんな英文にするのか?
英語のネイティブスピーカーは同じ日本語を見た時、どんな英文にするのでしょう?
1, [その代わりちょっと高いのが欠点かな~]
Dave => It is safe around the school. But because of that it is a little expensive.
Andy => On the other hand, its kind of expensive, so there’s a bottleneck.
Dave は [a little expensive(少し高い)] で、Andy は [kind of expensive(ちょっと高い)] ですか。二人とも似た表現を利用していますが、所々で表現の好みや違いが出ていますね。
ここでは二人にいくつか質問があります。
Bob:[but because of that] は、どういう意味で使っているのですか?
Dave:[学校の辺りは安全だから] という意味です。 [but because of that] の代わりに [so] でも使えます。
Bob:1,ここでの [On the other hand] は、[一方で] という意味で良いですか? 2,[a bottleneck] という言い方は普段よく使われる表現なのでしょうか?
Andy:1,その通りです。 2,ええよく使う表現です。
[bottleneck] は日本語の感覚と連動しやすいのが良いですね。
2, [だから基本的に金持ちが多いね]
Dave=> So there are a lot of rich people in this area.
Andy=> So basically there are a lot of rich people.
[basically(基本的に)] は汎用性の高い表現ですね。ここでは質問はありません。
3, [あとは俺の家の周辺も安全かな~]
Dave=> It is also safe in my neighbourhood.
Andy=> Also, its safe in my neighborhood.
ここでも [It's 名詞/形容詞 ~] という英文が使われていますね。[also] は [~もまた, その上, ~に加えて] という意味で使えるだけでなく、文の頭で使えるのも便利です。
その [also] と一緒に覚えておきたいのは、
文の最初に配置 => besides/in addition (その上, ~に加えて)
[also] の主な配置は、
b- 助動詞や完了の have があればその後/なければ主語の後
c- be動詞がある場合はその後
[also] と、簡単な [too] を軸にするのがお勧めです。
ここでも質問はないので次にいきます。
4, [そうだっ!うちの空いてる部屋貸してやろうか?]
Dave=> Oh, there is also an available room at my place. Interested?
Andy=> Oh yeah! How about I rent you the empty room in my house.
なるほど Dave は [available(利用できる/役立てられる)] を使い、Andy は [empty(空の/空いている)] を使ってますね。またAndy は [How about ~] の [~してはどう(ですか)?] を利用ですか。
自分がよく利用するのとは違った表現を知ることで、この日本語の時はこの表現という意識を、この日本語の時はこれらの表現としていくことで幅を拡げていきましょう。
ここでも特に質問はありません。
私の英語を含めた3人の大まかな日本語は、
私の: [そうだ、俺の部屋貸せるけど ボブに。使ってないのあるから]
Dave: [そうだ、利用できる部屋もあるけど 俺の家に。興味ある?]
Andy: [そうだ、こんなのどう?俺がボブに空いてる部屋を貸すってのは 俺の家の]
3人の英文で基本文がどう使われているのかを見てみると、
Dave: [Oh, there is also 主語(名詞) +at my place. Interested?]
Andy: [Oh yeah! How about +基本文の核(動詞に関連拡張) +in my house.]
5, [ちょっと遠いけど安全だぜ]
Dave=> It is a little far but it is totally safe.
Andy=> It’s a bit far, but it is safe.
[It is 名詞/形容詞 ~] は今回三度目の登場ですね。それぐらい簡単で利便性が高い表現と言えます。
ここでは、Dave に簡単な質問を。
Bob:[totally] は無くても問題ないですか?
Dave:無くても問題はないですね。
英語上達において何が足りないのか?
今回は全体的に [It's ~] [There is/are ~] というシンプルな英文が多く利用されています。それだけそれらの表現が有能だという事ができます。
自分のだけでなく他人の英語を意識するということは、英語上達には欠かせない要素です。自分がよく使う表現と、彼等が通常使っている表現との違いが浮き彫りになると、自身の英語に足りているものと、足りていないものが明確になります。足りていないものがわかることで英語の勉強を効率化できるはずです。
英語の上達のために必要なのは勉強です。インプットする時にどれを表現の軸にするのかを考えながらインプットしていきましょう。軸となるものを決める事については、こちらも参考にしてください。
どれを軸にするのかを決めておくことで、アウトプット時の迷いを軽減できます。そしてその軸にした表現にぶら下げるような感じで似た表現を覚えれば、自身の引き出しを効果的に増やしていけます。そういった工夫をしながら英単語、英語表現を積み重ねていきましょう。