英語の勉強を再度始めると [~する] は動詞、[~する予定] 等は助動詞 +動詞で表現する点は、中学、高校時代の記憶をたどりやすい気がします。それに対して [~してもらう] は意外と思い出せなかったりしませんか?自分がするのではなく、誰かに [~してもらう] も英会話の中で普通に登場するものです。なので今回は英語で [~してもらう] をどう表現するのか、そしてそれをどうやって使えるものにしていくのかを考えます。
動詞 [have] が持つ役割とは?
英語において [have] は非常に重要なもので、多くの役割を担っています。
1, [~を持つ/~がある(所有)] の意味での利用
2, 前置詞/副詞と組み合わさっての利用
3, 現在完了形/過去完了形での利用
4, [~をさせる] の意味での利用
5, [~をしてもらう] の意味での利用
6, [~される] の意味での利用
(正確には他にもあります)
1と3(現在完了形)は、こちららで説明しているのよかったらどうぞ。
今回注目するのは、当然5の部分です。
(6も後で説明します)
英語表現 [~してもらう] の [have] とは?
自分がする(した)場合、
=> I repaired my watch. (私は修理した 自分の腕時計を)
=> I cut my hair. (私は切った 自分の髪を)
=> He cleaned the room. (彼は掃除した その部屋を)
それに対して自分(または誰か)が [~してもらう/もらった] 場合、
=> I had my watch repaired. (私はしてもらった 腕時計の修理を)
=> I had my hair cut. (私はしてもらった 散髪を)-この cut は過去分詞
=> He had the room cleaned. (彼はしてもらった 部屋の掃除を)
自分がそれを [する(した)] わけではなく、誰かに [~してもらう(もらった)] 時にこの形を使います。
自分がする(した)場合は、[主語 動詞 動詞に関連] という基本文の核で英文は作成されますが、 [~してもらう] の英文は [主語 動詞 動に関連1 関連2] と動詞に関連が拡張した文で、動詞に関連2に動詞の過去分詞が配置されます。
誰々は ~してもらう => [主語 have/had 名詞 動詞の過去分詞]
基本文とは、
基本文:[主語 動詞 動詞に関連 ~ (+ 接着剤 説明)]
([主語 動詞 動詞に関連] までが、基本文の核)
英文は [主語] [動詞] [動詞に関連] [接着剤 説明] という四つの枠組みで構成され、それら四つの枠組みは状況に応じて個々に拡張したり、複数が拡張したりします。
[主語] ,,,, I/You/He/She/We/They/It/名詞
[動詞] ,,,, [~する] という意味を表すもの
[動詞に関連] ,,,, 名詞/形容詞/me/you/him/her/us/them/it/たまに副詞(正確には動詞に関連するもの)-[目的語/補語] でも可
[接着剤 説明] ,,,, 前置詞/不定詞/動名詞/接続詞/関係代名詞/関係副詞 etc (正確には接着剤効果のあるもの)
拡張とは、それが単独ではなく何かと一緒に利用されることで、[表現できる幅を広げていくこと] を意味しています。
基本文について詳しく知りたい方は、こちらを読んでください。
[~してもらう] の [have] を、どうやって使えるものにするのか?
英文の [have] の後に架空の切れ目を入れ、そこで少し間を取ります。
=> I had / my watch repaired.
=> I had / my hair cut.
=> He had / the room cleaned.
もし英文に線を引くなら基本文の核の後、今回のように動詞に関連が拡張した場合も [主語 動詞 動に関連1/ 関連2] と動詞に関連1の後に線を引くと英文の流れを理解しやすいのですが、ここでは動詞のすぐ後に架空の線を入れます。
理由は、動詞 [have] の中心となる意味 [~を持つ/~がある(所有)] と 距離を置きたいからです。
1-a,I have a car. (~を持っている)
1-b,I have a lot of time +to study. (~がある)
通常、[have] と強い結びつきがあるのは上の例文のような [~を持つ/~がある(所有)] という意味のはずです。[have = 持つ/ある] の結びつきが非常に強固なので、わざと違和感を感じる場所に架空の線を引くことで、この場合は [have = ~してもらう] と脳に認識させたいのです。
動詞の関連の後に線 =>通常の [have(~を持つ/~がある)] 等
動詞の後に線を引くと =>~してもらうの [have]
利用時の感覚としては、
=> I had / => my watch repaired. (私はしてもらった =>時計の修理を)
=> I had / => my hair cut. (私はしてもらった => 散髪を)
=> He had / => the room cleaned. (彼はしてもらった => 部屋の掃除を)
[have] の所で一呼吸の間を作ることで、[(誰々)は~してもらう / + ~を~に] という英文の流れ/感覚を身につけます。日本語の感覚も上手く活用すると効果的です。
まず主語 have/had までを作り、そこに [名詞 + 動詞の過去分詞] を当てはめていく感じです。[have] の意味を頭の中で区別しやすくすることで、[have] が持つ別の表現 [~してもらう] を使えるものにします。
英語表現 [~してもらう] の [have] と関連付けて覚えたい表現
[~してもらう] の表現を頭に入れたら、日本語から考えて [~してもらう] と英文の流れが似ている表現を関連付け、記憶を紐づけていきましょう。
- [~してもらう ~を] => I had my watch repaired.
- [~して欲しい ~を] => I want you to go there.
- [~させる ~を] => He made her go there. ([let,have,get to]-意味に違い有)
これらは今回の [have] と同じく動詞に関連が拡張し、動詞に関連2が発生する英文です。どれも架空の線を引き、そこで生じる間を利用してインプットするのがお勧めなのですが、線を引く場所に違いがあります。
=> I want you to / +go there.
=> He made her / +go there.
参考書によっては、[~してもらう] の [have] は使役(~させる)と同じ枠で説明されている場合があります。私は分けて考えた方が使いやすいと考えているので別物として扱っております。
詳しくはこちらに書いてあるのでどうぞ。
架空の線を引くというのは、あくまで英文の形態の理解と作成を楽にするための措置です。勉強と練習でそれが自身で使いこなせるものとなれば自然と線を引く必要はなくなっていきます。(線を引かないでも問題がない場合は無理に入れる必要はありません)
架空の線を引くことで、英文の流れを理解し配列順を厳守することが重要です。英語は配列順を厳守する言語です。勿論、どこに線を引くかに決まりなどないので、英文を解釈する上で自分がしっくりくる場所があれば、そこに架空の線を引きインプットの手助けをしましょう。
配列順をどう意識するのかについては、こちらも参考にしてください。
他に [~してもらう = have] と一緒に頭に入れておきたいのが、
~するようにお願いする/頼む => 主語 ask 人 to 動詞 ~
似た表現ができるものを見つけたら [~してもらう = have] に紐づける形で頭に入れることで、アウトプット時に記憶をたどりやすくします。日本語からの視点は捨てるのではなく有効活用しましょう。
同じ形で表現可能なもう1つの意味
[~してもらう] の [have] は面倒なことに、全く同じ形で違う意味(6,[~される])を表現可能です。
〇〇は ~される => [主語 have/had 名詞 過去分詞]
例文
=> I had my wallet stolen. (私は 財布を 盗まれた)
この [have] は [get] で代替え可能です。
他に [~される] と表現可能なものといえば、
1, 受動態/受け身
2, give, show, tell 等 [~される側からの視点] を持つ動詞
受動態/受け身と、[~される側からの視点] についてはこちらを読んでください。
この [have/get] での [~される] の表現は、[誰々が ~される/された] という場面で有効活用できます。
通常、受動態/受け身は、誰が行ったのか主語を明確にしたいくない/する必要がない場合に利用され、[~される側からの視点] では [動詞に関連1] に配置される人から眺めた視点という条件があります。
それに対して [have/get] を使った場合は、主語に配置した人の視点を使って、誰々が~される/されたに焦点をあてられます。これは受動態等にはない優位性です。
動詞 [have] を辞書で引くと、最初の頃は何でこんなに沢山の意味があるんだ?と嫌になる方も多いと思いますが、英語を話す仕組みへの理解が深まってくると、1つの動詞が多くの意味を持っている方が便利と感じるようになります。勿論それには動詞を上手く使い分ける技術が必要になります。思考錯誤しながら使い勝手の良い方法を考え身につけていきましょう。