私の記憶が正しければ、未来/将来を英語で表現する助動詞の [will] と、[be going to] は、同じものだと学校で習いました。でも英語の勉強を進めていくと確かにこの二つは似ていますが、完全に同じ意味ではないことがわかります。
どこが似ていて、どこが似ていないのかを理解すれば、未来/将来を英語でどう表現すればいいかが見えてくるので、今回は助動詞の [will] と、[be going to] 等にスポットを当てたいと思います。
未来/将来について英語で表現するものとは
英語で未来/将来について表現するものはいくつかあります。
今回は、その中心となる三つの表現に注目します。
例文を見てください。
1, I'm going to meet her. (私は会うつもりです 彼女に)
2, I'm meeting her tomorrow. (私は会う予定です 彼女に 明日)
3, I'll call him back. (電話するよ 彼に{今決めた} )
これらは全て基本文の中の動詞が拡張した文で、動詞の左側に補足要素が加わっています。
1, 主語 [be going to + 動詞の原形] 目的語/補語 ~ (+接着剤 説明)
2, 主語 [be + 動詞ing(進行形)] 目的語/補語 ~ (+接着剤 説明)
3, 主語 [will + 動詞の原形] 目的語/補語 ~ (+接着剤 説明)
拡張とは、それが単独ではなく何かと一緒に利用されることで、表現できる幅を広げていくことを意味しています。
基本文を簡単に説明しておくと、
基本文:[主語 動詞 目的語/補語 ~ (+ 接着剤 説明)]
([主語 動詞 目的語/補語] までが、基本文の核)
英文は [主語] [動詞] [目的語/補語] [接着剤 説明] 四つの枠組みで構成され、それらの枠組みは状況に応じて個々に拡張したり、複数が拡張したりします。
[主語] ,,,, I/You/He/She/We/They/It/名詞
[動詞] ,,,, [~する] という意味を表すもの
[目的語/補語] ,,,, 名詞/形容詞/me/you/him/her/us/them/it/たまに副詞。(単純に動詞に関連するものと考えるのも可)
[接着剤 説明] ,,,, 前置詞/不定詞/動名詞/接続詞/関係代名詞/関係副詞 etc (正確には接着剤効果のあるもの)
拡張とは、それが単独ではなく何かと一緒に利用されることで、[表現できる幅を広げていくこと] を意味しています。
基本文について詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ。
未来/将来の英語表現の特徴はどんなものか?
未来/将来を表す三つの表現は似ていますが、それぞれ異なった特徴を持っています。
1, [be going to + 動詞の原形]
これは、決心/決定している事と、状況からみて今から起こるであろう事について話す場合に利用されます。
=> I'm going to meet her. (私は会うつもりです 彼女に)
~することをすでに決めているということです。
=> It's going to rain. (雨が降るでしょう/降りそうだ)
こちらは何の根拠もなくそれを予測しているのではなく、現在の状況(ここでは空の様子等)を見て、雨が降りそうだと感じる場合に使います。
2, [be + 動詞ing(進行形)]
これは、することになっている/予定している事について話す場合に利用されます。
[be going to] の一番の違いは、予定が具体的に決まっている点です。
=> I'm meeting her tomorrow. (私は会う予定です 彼女に 明日)
=> They are playing baseball on Sunday. (彼等は野球をする予定です 日曜日に)
このように [明日, 日曜日] という形で予定が具体的に決まっています。
1,2 を比較してみると、
=> I'm going to get a new car. (買うつもりだ 新しい車を) -買おうと決心している
=> I'm getting a new car. (買う予定です 新しい車を) -すでに購入が決まっている
3, [will + 動詞の原形]
これは、~することを、今決めた場合と、未来への意志と推量について話す場合に利用されます。
[ボブから、電話があったと聞いて]
=> I'll call him back. (電話するよ 彼に -今決めた)
今までに~しようと決めていたわけではなく、今そうしようと決めたことなので、日本語は [~するつもり] ではなく [~するよ (今決めた)] がいいと思います。
[その試験に受かることへの並々ならぬ意志を表示して]
=> I will pass the exam. (私は 受かるつもりだ その試験に) --意志
[彼の技能や勉強状況から彼がかなりの確率で試験にパスすると考えているので]
=> He will pass the exam. (彼は 受かるでしょう その試験に) --推量
=> It will rain tomorrow. (雨が降るでしょう 明日) --推量
この [will] で [~でしょう/だろう] ということを表現する場合は、あなた自身がそうなることをかなり高い確率で確信していることを意味しています。
1 と比較してみると、
=> It's going to rain. (雨が降るでしょう/降りそうだ) -現状をみて
=> It will rain tomorrow. (雨が降るでしょう 明日) -単純に予測している
ただ実際の会話では、いつもこのように断定したり、確信がある場合ばかりではありません。
その場合は [will] を [would] にすることで、表したい意味を和らげることが可能です。
そうすると意味が [~するかな/~だと思うな] と変化します。
=> He would pass the exam. (彼は パスすると思うな そのテストに)
このように [would] は、[will] の過去形としてだけでなく、断定することを避けたり、そんなに確信をもてないけど~だろうという時に活用できるので一緒に頭に入れておきましょう。
実際にどう助動詞 [will] を使うかはこちらにもあるのでどうぞ。
どうやって未来/将来の英語表現を使えるものにするのか?
三つの特徴を見ても、そんなに難しい部分はないように思えますが、でもいざそれを駆使して英語を話そうと思うとなかなか使えないのはなぜなのでしょう?
それは記憶を引き出せる状態になっていないからです。
知るという事は自身の技術を向上させるために必要な最初の行為ですが、ただ知っただけではそれを使えるようにはなりません。
一度、三つの表現を紙に書いたり、自分で英語の例文を作成したりして頭に入れてください。英語上達にはこういった地道な作業が絶対に必要です。
そうするとこれらの未来についての表現は、比べてみると違いのある部分と、あまり違いのない部分があることが理解できるはずです。その類似点と相違点を活用します。
まず使う状況を以下の二つに分離させます。
1, 将来の予定について
2, 未来の推量について
ここで重要なのは 1 なので、1 から説明します。
取りあえず、将来の予定については => 全て [be going to] と発想することにします。
理由は将来の予定について話したいと思った時、使うものを限定しておくことで、瞬時にそれに対応するものを脳から導き出したいのです。その反射的な反応ができるように軸を一つに決め、まずはそればかり使って練習を積み重ねていきます。
それで将来の予定について => [be going to] と発想できるようになったら、第二段階に入ります。
将来の予定について表現する時に [あ~これ今決めたな~。] と気づいたらその時は助動詞の [will] を英文に差し込んでいきます。気がついたら [will] を使う程度の感覚で問題ありません。
将来の予定について軸を形成してから、[(今決めた) 将来のこと] について後で差別化していきます。
また [進行形] で表現できる [~する予定です] は、[be going to] で特に問題ないので、当分の間この [進行形] は [~している] 行為について表現する場合にのみ利用しましょう。
でもそれなら最初から一つを覚えればいいのではと思うかもしれませんが、[will]、[be going to 動詞] と、[be + 動詞ing(進行形)] を一緒に覚えておくことには大きな意味があります。三つのものを関連させて覚えた後、軸としたものが徐々に使いこなせるようになってくると、ふとした時に他の二つの表現があったことを思い出します。(何かあったな~くらいの感覚で)
そうやって軸としたものから記憶をたぐり寄せるために一緒に覚えておくのです。そうなった時、たまにはそれらの違いを意識して使い分けてみようと発想することで、三つの表現を段階的に使えるようにしていきます。
ずっと一つのものだけを使うという事ではなく、一度頭に入れたものを脇において、一つを使えるものにしてから、それに他のものを紐づけていくのです。
[be going to] しか使わないと、状況によっては聞いた相手が少し違和感を感じるかもしれませんが、大抵、何とかなります。仕事での会話でもない限り、こちらが使ったのが [will] か [be going to] かはあまり大きな差はないので、相手はそんなに気にしないはずです。
最初の段階から、あれもやってこれもやってなんて正直できません。
こういった方法は間違っているのかもしれませんが、正しく使い分けることの前に、まずは記憶を素早く引き出すことに注視すべきです。
最初の段階から全てを完璧にこなすことなんてほぼ不可能なので、少しの間違いはしょうがないと割り切って考えましょう。小さな間違えをする事を初めから想定しておいて、この未来/将来についての表現を身につけていきます。
未来/将来の予定を英語で表現したい時に、少なくとも一つの表現は利用できるという状態を作るのです。軸を決めて後で修正を加えていく方法です。
最終的に、
1-a, 将来の予定についてだな(以前からの) => [be going to]
1-b, 将来の予定についてだな(今、決めた) => [will]
2-a, 未来の推量についてだな(確信度が高い) => [will]
2-b, 未来の推量についてだな(確信度が [will] より少し低い) => [would]
と使い分けられるように練習を積み重ねていく。
2 の未来の推量については、[would] を優先して利用し、それが使えるようになったら [will] を使うようにします。あまり確信度の高さを強調しすぎない方が色々と円滑になるという理由からです。
未来への確信度をどう表現するかは、こちらも参考にしてください。
失敗は成功の母のはず?
私はコロンビアに住んでいた頃、[be going to 動詞] と、[will] の違いを理解していなかったので、いつも [will] を使って将来のことを話していました。(日常生活で使っていたのはスペイン語だったのですが、英語で会話をする友達との間で)
もしかしたら私の英語を聞いた友達は、[今決めてばかりで、本当に計画性ないな~] と感じたり、[もしかして {be going to 動詞} と、{will} の違いを理解していないのかもな~] と思っていたかもしれません。(当時の私は計画性など持ち合わせていなかったので、あながち間違いとも言えませんが)
当時の計画性の無さを知りたい方は、こちらをどうぞ。
まあ、でも何とかなるものです。
あなたの英語/英会話を上達させていく過程で、インプット作業をゼロにすることは絶対にできません。とすると重要になるのは、いかに記憶を引き出しやすくしておくのかになります。
私は英語を身につける過程で、一度頭に入れたものを全て使うことは考えず、自身が使うものをなるべく狭めてきました。
覚えた英単語をアウトプットしやすい状態にすることを優先したからに他なりません。話すための工夫をすることで、記憶を引き出しやすくしましょう。
それが、
話す時に使うものを狭めておく。
準備したものをある場面で使う。
繰り返す事で引き出し易くなる。
余裕が出て違う引き出しを使う。
という好循環を育て、あなたの英会話を上達させていきます。