英語の辞書で動詞 [get] を引くと、数ページに渡って [get] についての説明が続いています。
英語が話せなかった頃は -「何でこんなに意味が沢山あるんだよ!」と頭にきていたのですが、今では-「[get] って相変わらず便利だな」と見方は大幅に変化しています。
私が [get] に注目するようになった理由は以下のような流れからです。
=> 英語の文を作成する肝は動詞だと気がつく
=> 沢山の動詞を覚えるより一つ動詞の変化で対応する方が楽かもと考える
今回はその動詞 [get] の良さを知ることで、英会話上達へのヒントを探っていきます。
英会話上達における動詞 [get] の役割とは?
英語には [get] に限らず幾つか重要度の高い動詞が存在しています。
代表的なものは [get, give, be, have, take, make, do, put] 等でしょうか。
これら重要度の高い動詞は単独、または前置詞/副詞との組み合わさることで複数の意味で利用可能です。なのでそれらを使いこなせるようになると、自身の表現の幅を大幅に拡げることができます。
私はその中でも [get] が英会話を上達させるために最も重要な動詞だと考えています。
[get] の基本となる意味は [~を得る/~を獲得する] です。
既に日本語になっている [~をゲットする] と考えてもいいと思います。
動詞 [get] はどんな意味を持っているのか?
[get] には非常に多くの意味があるので、それを覚えやすくするために四つのグループに分類します。
- 1, [~を得る/獲得する/ゲットする] という意味に集約できるもの
- 2, [get +α] の中で意味が +α からイメージしやすいもの
- 3, [~(の状態)になる] という意味に集約できるもの
- 4, [~される] という意味に集約できるもの
分類わけを行う理由は、[get] が持つ多くの意味を何の関連性を持たせずにバラバラな状態で覚えていくより、何らかの関連性を持たせて覚えていく方が記憶を引き出しやすくできるからです。ただインプットするだけでは効果は薄いです。アウトプットするために覚えるわけですから、アウトプットしやすい状態でインプットをしていくことが重要です。
[~を得る/獲得する/ゲットする] という意味に集約できるものとは?
1, [~を得る, 獲得する, ゲットする] という意味に集約できるもの
[get] は多くの日本語に対応することができるのですが、その中の一部の意味は [~を得る, 獲得する, ゲットする] に集約することが可能です。
[~を得る, 獲得する, ゲットする] に集約するといっても大まかに考えればそういう意味でとらえられるものならOKです。
この [~を得る, 獲得する, ゲットする] に集約するために重要なのは、日本語の部分に注目することです。なのでまず英語側から眺めていたであろう視点を、日本語側からの視点に変えます。
[get = ~を得る] => [~を得る = get] という日本語側から眺める視点に変更します。
[get] の表現に、電話を借りる => get the phone というものがあります。
この日本語を [~得る, 獲得する, ゲットする] に集約していくと、
電話を借りる => get the phone
電話を一時的にゲットする => get the phone という感じになります。
[get] で表現できる日本語表現の部分を、大まかに考えれば [~を得る/獲得する/ゲットする] に集約できないかあれこれ考えていくのです。
[~を得る, 獲得する, ゲットする] に集約できる [get] の表現は、
電話を借りる(一時的にゲットする) => get the phone
電話がある(をゲットする ?) => get a call
服を着る(をゲットする ?) => get dressed
服を着替える(着替えをゲットする) => get changed
就職する(仕事を得る) => get a job
給料をもらう(ゲットする) => get paid
一杯飲みに行く(お酒をゲットする ?) => get a drink
車をひろう(一時的にゲットする) => get a lift
休みを取る(得る) => get ~days/weeks/etc off
圧力がかかる(を得る ?) => get a lot of pressure (from)
きっかけをつかむ(得る) => get one's foot in the door
概要をつかむ(得る) => get the picture
核心にふれる(を得る) => get to the point
手応えをつかむ(得る) => get a response
許可をもらう(得る) => get permission/clearance
良い取引をする(ゲットする) => get a good deal
成果をおさめる(得る) => get results
耳にする(噂をゲットする) => get word (that ~)
髪を切る(新しい髪形をゲットする) => get a haircut
注意をひく(ゲットする ?) => get attention
彼/彼女ができる(をゲットする ?) => get a boyfriend/girlfriend
感触をつかむ(得る) => get the hang of ~
コツをつかむ(ゲットする) => get the feel of ~
中には [得る, ゲットする] という日本語を若干当てはめられないものもありますが、感覚として [得る, ゲットする] と考えられるものはここに組み込みました。
この作業を単純に表すなら、
これも得る/ゲットすると考えてもいいな。
これも得る/ゲットすると考えようと思えば考えられるな。
と思考していくということです。
この時、誰かが考えるとそうだという発想は重要ではありません。ここで集約していくのは英語ではなく日本語です。自分自身の感覚に従ってあなた自身がそう考えられる日本語はどんどん集約していきましょう。(当然 [get] で表現できるものに限ります)
そうすることで、[get] を自分にとって使い勝手の良いものにカスタマイズしていくのです。
カスタマイズが進めば進むだけ記憶を引き出しやすい状態にできます。勿論 [get] で全ての日本語をカバーすることや、全ての [get] の意味をここに集約することはできませんが、できるだけ多くの [get] の表現を [~を得る/獲得する/ゲットする] に集約していくことで、[get] を自分が使いやすいものにしていくことは可能です。そういった発想が英会話上達につながっていきます。
動詞 [get] に注目した理由は、こちらに詳しく書いてあるのでどうぞ。
[get +α] で意味が +α の部分からイメージしやすいものとは?
2, [get +α] で意味が +α の部分からイメージしやすいもの
ここで述べられている [意味が、+α からイメージしやすいもの] がどういう意味かというと、
例えば、
get up => 起きる/登る
get over => 乗り越える/渡る
といった表現は、意味を右側の up/over 等の部分からある程度推測することが可能だと思いませんか。
up ,,,,, 上方へ, 上がって, 増して
over ,,,,, 上を越えて, 上方で, 終わって
全ての [get +α] の組み合わせが、右側の +α から意味を推測可能ではないですが、かなり多くの [get +α] の表現が右側の部分から意味を推測することが可能です。
[get] に限らず重要度の高い動詞は、前置詞や副詞などの様々な [+α] を付け足して熟語(または句動詞)を形成します。その場合、その動詞本来の意味を薄い(または薄まった)状態にすることで意味の重心を後ろ側へ移すことが可能です。そういった特性を持っているので、重要度の高い動詞になるとも考えられます。
[get] の右側の +α から意味を推測できる [get +α] の表現には、どんなものがあるかというと、
on .... ~の上に、~の表面に接して
off .... 離れて、取り除いて、減って
get on => 電車、バスなどに乗る
get off => 電車、バスなどを降りる、離れる、電話を切る
get on to => (次の段階へ)進む
get on the phone => 電話をかける
get off the line => 電話を切る
get off track => 軌道をそれる、歯車がくるう
get off one's back => そっとしておく
in .... 中へ(に)、加えて
into .... (建物など)の中へ
out .... 外へ、消えて、はずれて
across .... 横切って、向こう側へ
through .... ~を通り抜けて、最初から最後まで
get in => 入る、着く、提出する
get into => 中へ入る
get out => 外へ出る、逃げる、脱退する
get across => 横断する、理解させる
get through => 通り抜ける、通過する、やり終える、切り抜ける
get in a car => 車に乗る
get in a word => 口をはさむ
get into trouble => トラブルになる
get 人 into trouble => ~をトラブルに巻き込む
get 人/物 out => ~を外へ出す、逃がす
get out of => (癖、習慣などを、だんだんと)やめる
get out of the car => 車を降りる
get 人/物 across => ~を運ぶ、渡らせる
get 人 through => 切り抜けさせる
実際の会話の中で [get into trouble] を使った例がこちらにあるのでどうぞ。
to .... ~の方へ
back .... 後ろへ、元の場所・状態へ
ahead .... 前方に、前へ
behind .... ~の後ろに、遅れて
get to => 着く、ある地点に達する(至る)
get back => 戻る、帰る
get ahead => 追い越す、出世する
get behind => ~の後ろに隠れる、遅れる、支持する
get 人/物 back => ~を戻す、取り返す
get back to => ~へこちらから後で連絡する
get back at 人 (for) => (~の件で)やり返す、仕返しする
get back together => よりを戻す
get 人/物 behind => ~を隠す
up .... 上方へ、上がって、増して
down .... 低い所、減少して、機能しない
even .... 平らな、同じ高さの
get up => 起きる、登る、立ち上がる
get douwn => 降りる、身をかがめる、落ち込む
get even => やり返す
get 人 up => ~を起こす
get 人/物 down => ~を降ろす、憂鬱にさせる
along .... ~に沿って、一緒に
around .... 周りに、あちこちに
beyond .... ~の向こうへ、越えて
over .... 上を越えて、上方で、終わって
away .... 離れた所へ、避けて
past .... ~を過ぎて、越えて
get along on => どうにか暮らしていく
get along with => うまくやっていく
get around => うまく回避する
get beyond => ~を越える、(~より)先へ進む
get over => 乗り越える、渡る
get away => ~から逃げる、離れる
get past => ~を通り越す、追い越す
get around the law => 法の目をくぐる
get 人/物 away => ~を逃がす、引き離す
get away with => まんまと持ちさる、盗んで逃亡する、うまくやってのける
wrong .... 悪い、間違っている
ready .... ~の用意・準備ができた
married .... 結婚した、既婚の
divorced .... 離婚した
get 人/物 wrong => 間違える、誤解する
get ready (for) => ~の準備をする
get married => 結婚する
get divorced/a divorce => 離婚する
こうやって並べてみると、[get] に前置詞や副詞などの様々な [+α] が付け足された場合、[get] 本来の意味が薄くなる(薄まる)ことで、意味を右側の +α から推測しやすい状態になっていることが確認できるはずです。
3, 4については、こちらに詳しくあるので読んでください。
[get] の表現をどう英会話上達へつなげていくのか?
一つの重要動詞を使いこなせるようになっただけで英語がペラペラにはなるのかというと、残念ながらそうはなりません。
でも何も積み重ねなければ何も起こりません。
自身の英会話を上達させるためにはそういった積み重ねが必要不可欠です。その最初に積み重ねるものを [get] の表現にしようということです。
上記の [get] 表現を使って自分で英文を作成してほしいのですが、練習はできるだけ具体的である方が効果的です。
基本文を使って英文を作成することで、この [get] の表現の時は、この [目的語/補語] 、[+ 接着剤 補足] を使えるということを脳に意識させます。
基本文とは、
基本文:[主語 動詞 目的語/補語 ~ (+ 接着剤 説明)]
([主語 動詞 目的語/補語] までが、基本文の核)
英文は [主語] [動詞] [目的語/補語] [接着剤 説明] 四つの枠組みで構成され、それらの枠組みは状況に応じて個々に拡張したり、複数が拡張したりします。
[主語] ,,,, I/You/He/She/We/They/It/名詞
[動詞] ,,,, [~する] という意味を表すもの
[目的語/補語] ,,,, 名詞/形容詞/me/you/him/her/us/them/it/たまに副詞。(単純に動詞に関連するものと考えるのも可)
[接着剤 説明] ,,,, 前置詞/不定詞/動名詞/接続詞/関係代名詞/関係副詞 etc (正確には接着剤効果のあるもの)
拡張とは、それが単独ではなく何かと一緒に利用されることで、[表現できる幅を広げていくこと] を意味しています。
詳しく知りたい方は、こちらを読んでください。
最初のうちは、拡張しない主語 [I, You, He, She, We, They, It, 名詞単体] を使うことで、[動詞] [目的語/補語] に何を当てはめるのかに集中できるようにします。
=> 主語 get+α 形容詞/名詞 (+ 接着剤 説明)
そして例文を自分で作成していくことで、[get] の表現とどの形容詞/名詞(たまに副詞)が相性が良いのかを覚えていきましょう。
勉強と練習を積み重ねていくと、
--[何でこんなに沢山の意味があるんだよ!] と頭にきていたのが、
=> [あれっ、{get} を使いこなせたら超便利なんじゃない?] となり、
[get] が使いこなせるようになると、
=> [{get} って相変わらず便利だな~] という考えに変化していくはずです。
[get] がもつ沢山の表現を練習で身につけていくことで、あなた自身が英会話の上達を実感できることが非常に大事です。なるべく日本語から英語に変換する作業を繰り返し行うことで、この日本語も [get] でOKだなという感覚を身につけていきましょう。
英語を話すために最初に決定する必要があるのは、動詞です。
私は動詞 [get] の表現ばかり集中して勉強と練習を積み重ねたことで、[get] の表現以外の動詞の蓄積がほとんどなかった頃でも、
英語を話す場面で-「基本文と [get] があるから何とかなるさ~」という感じで精神の平静を保つことができました。
正確に言えばそれしか頼るものがなかったからなのですが、それが私の英語を支える最初の基盤になったのは紛れもない事実です。[get] の表現を自分の中に増やしていくことで、それはあなたが頼るべき軸となります。そういう軸をあなたの中に形成していきましょう。ローマは一日にしてならずです。