動詞 [get] で表現できる意味の幅は非常に広いです。
私は、1 [~を得る/獲得する/ゲットする] という意味に集約できるもの、2 [get +α] の右側の部分から意味を推測しやすいものでまとめることで、[get] の表現を自分で使いやすいものにカスタマイズしています。
前回、1, 2 の [get] 表現は説明したので、今回はそれ以外の [get] の表現について見ていきます。
[get] はどんな表現が可能なのか?
動詞 [get] には非常に多くの意味があります。それを何の関係性を持たせずにバラバラな状態で覚えていくのは非効率的と感じます。何かしらの関連性を持たせたグループにまとめてインプットしていきます。
前回も利用した分類わけは以下の通りです。
- 1, [~を得る/獲得する/ゲットする] という意味に集約できるもの
- 2, [get +α] の中で意味が +α からイメージしやすいもの
- 3, [~(の状態)になる] という意味に集約できるもの
- 4, [~される] という意味に集約できるもの
今回取り上げるのは 3, 4 になります。
[get] の [~(の状態)になる] の意味に集約できるものとは
3, [~(の状態)になる] という表現は、最初に以下の二つに分けておきます。
3-a, [get + (感情表現を表す)形容詞/名詞など]
3-b, [get + (その他の)形容詞/名詞など]
何回、分類わけするんだと思うかもしれませんが、最初の段階で関連付けて分類わけしておく方が記憶を引き出しやすくなるので、後々楽です。それくらい [get] で表現できる幅が広いと考えてください。
3-a, [{get} + (感情表現を表す)形容詞/名詞など]
怒る => get angry
頭にくる => get mad at ~
感情的になる => get emotional
不愉快になる => get annoyed
恥ずかしくなる => get embarrassed
気が散る => get distracted
不安になる => get nervous
怖気づく => get cold feet
焼きもちをやく => get jealous
うんざりする => get fed up with ~
あきる/退屈する => get bored with ~
がっかりする => get depressed
疲れる => get tired
興味がわく => get interested in ~
興奮する => get excited
病みつきになる => get hooked on ~
~に真剣に/本気になる => get serious with ~
~を本気でやる気になる => get serious about ~
これらは、[get] の右側の +α の部分に形容詞/名詞等が配置され、感情的な表現を可能にします。
[get +α] の実際の会話での使用例はこちらにあるので、よかったら参考にしてください。
3-b, [{get} + (その他の)形容詞/名詞など]
濡れる => get wet
病気になる => get sick
風邪をひく => get cold
がんになる => get cancer
悪くなる => get worse
よっぱらう => get drunk
二日酔いになる => get a hangover
マンネリ化する => get into a rut
行き詰る/立ち往生する => get stuck
迷う => get lost
[3-b] は、[get +α] で感情表現以外の [~(の状態)になる] という意味に集約できるものです。ある程度、似たものでくくって覚えていくと、それに関連した表現を頭に入れていくのも効果的です。そこに当てはめられる形容詞/名詞等のインプットを増やせば増やすだけ表現できる幅を拡げていけます。
[get] で [ ~される] の意味になるものとは
4, [~される] の意味になるものは、日本語からも推測できますが、現実ではあまりされたくないことが多いですね。
だまされる => get sucked in ~
一杯くわされる/だまされる => get screwed
裏切られる => get double-crossed
痛い目にあう(あわされる) => get burned
ひどい目にあう(あわされる) => get kicked around ~
ぼられる => get ripped off ~
殴られる => get a black eye
リストラされる => get laid off
クビになる(される) => get fired
自分がされたくないことが大半ですが、覚えておくと非常に便利なものばかりです。
なぜ動詞 [get] に注目するのか?
英語が話せない段階で [get] という動詞を眺めていると、あまりにも沢山の意味があるので、
-「なんで、こんなに多くの意味があるんだよ 」
-「こんなにあったら覚えるの面倒くさいじゃん 」という感じでゲンナリしますが、
不思議なもので見方が変わると、
-「[get] ってかなり便利じゃ~ん」という好意的な感情を抱くようになります。
そうなる要因の一つは前回お話した、動詞を沢山覚えるより [get] が持つ多くの表現を上手にまとめて覚えた方が楽 (または効率的)な点にあるのですが、その他にもう一つそう感じさせてくれる要素がこの動詞 [get] にはあります。
それは [get] の表現の多くが、日常的に使える英語表現 (日常英語)だという点です。
もしあなたが英語の勉強を継続していくのなら、日常的な英語表現に注目していくべきです。
なぜならあなたが思う -[英語が話したい] の大半の部分は、日常会話を英語で話したいということのはずだからです。医療行為に携わらないのに、医療用語に関する英単語、英熟語、英語表現ばかり覚えても自身の英語上達は実感できないでしょう。そうではなく上達への手応えをより感じられる日常の英語表現に目を向けていきましょう。動詞 [get] の多くの表現がその足掛かりとなるはずです。
日常英語を身につけていれば、海外でのこんなミスも防げたかもしれません。</p
[get] で可能な日常英語をどう役立てていくのか?
最初は、上にある [get] の表現を使って自分なりの例文を作成します。基本文を使って具体的に英文を作成することで、[目的語/補語] に当てはめる、名詞/形容詞を一緒に頭に入れていきます。
基本文とは、
基本文:[主語 動詞 目的語/補語 ~ (+ 接着剤 説明)]
([主語 動詞 目的語/補語] までが、基本文の核)
英文は [主語] [動詞] [目的語/補語] [接着剤 説明] 四つの枠組みで構成され、それらの枠組みは状況に応じて個々に拡張したり、複数が拡張したりします。
[主語] ,,,, I/You/He/She/We/They/It/名詞
[動詞] ,,,, [~する] という意味を表すもの
[目的語/補語] ,,,, 名詞/形容詞/me/you/him/her/us/them/it/たまに副詞。(単純に動詞に関連するものと考えるのも可)
[接着剤 説明] ,,,, 前置詞/不定詞/動名詞/接続詞/関係代名詞/関係副詞 etc (正確には接着剤効果のあるもの)
拡張とは、それが単独ではなく何かと一緒に利用されることで、[表現できる幅を広げていくこと] を意味しています。
英語の基本文について詳しく知りたい方は、こちらを読んでください。
続いて日本語を思い浮べる => 英語の動詞を探す => 基本文に当てはめて英文を作成するという流れを一つのパッケージとします。
思い浮かべた日本語から英文を作成する過程で、英語の動詞をまず [get] 表現のどれかにできないかを考えます。
ここで大事なのは、ササッと探して該当するのがないからといって、すぐに違う動詞を探さないことです。
自分がわからない英語の動詞を探すのは良いことなのですが、ここでは [get] が持つ沢山の日常表現を使えるものにするのが目標です。なので最初の段階で [get] に当てはめられる表現がなかった場合、[get] の日本語を少し変えれば何とかできそうなものを探します。
イメージとしては、
-「これも [get] でいけないかな~」
-「おっ、あれも [get] でいいいかも」という発想を持つ感じです。
[get] で日常英語を使い倒すくらいのイメージで練習していきましょう。
動詞 [get] には豊富な意味を持つという特性があります。その特性を日本語視点から注視することで有効活用していきます。
[get] で表現できる幅は実はもっと広いのではという視点を常に持つことで、あなたが [get] で表現できる幅を拡げていけます。可能な限り多くの日本語を、自分の中で [get] 化していけないかどうか考えてみてください。正直、少し無理かな~と思う日本語も、[get] で表現できないかな~と色々と探っていきます。
そうやって豊富な [get] 表現をあなたが頼るべきものにしていきます。最初の段階で [get] の表現ばかり覚えるということは、悪く言えば [get] に依存することです。英語を話すためには最初に動詞を決定する必要があります。
動詞を決める際に軸となるものがないと、自分が覚えた多くの動詞の中から使う動詞を探すことになりますが、軸となる動詞が自分の中にあると、-[取りあえず [get] で何とかしよう] という発想が最初に出てきます。
ある種の依存状態を、まず [get] で作ろうということです。
日常の英語表現を多く含む [get] だからこそ、そういう作業と非常に相性が良いです。日常性の高い英語表現は、日常会話で使う機会が多い => 脳との結びつきが強くなる => アウトプットが強化されるという好循環を生み出します。
そうやって [get] で表現できる幅を日本語の視点から拡げていくことで、これは [get] で行ける、これは [get] では無理だなという自分の中での線引きが明確になります。その線引きができれば、自分が覚えるべき他の動詞もより明確になっていくという算段です。
失敗は成功の母?
でももしその線引きが間違っていたらどうすればいいのでしょう?
新しい言語を身につけていく過程で、何か間違って覚えてしまうということなんてよくあることです。間違いに気づいた段階で修正していけば何ら問題はないはずです。
全く間違えることなく、新しい情報(英語に限らず)を自分の中に吸収していくことなんてほぼ不可能です。
最初のうちは、
=> あっ、間違ってた!
=> ちくしょー、間違ってた!!
=> くそっ、こんなことやってられっか!! 等と感じるかもしれませんが、
その感覚は勉強と練習を積み重ねていくことで、
=> あ~、間違って覚えてたよ。
=> 実際はこうか~。ふむふむ、なるほどね。
というような感覚に少しづつ変化していきます。間違えていたということにも意味があります。間違いを自分で認識することで、[get] に対する自分の中での可動範囲は以前よりも明確になります。
一つの動詞の利用範囲を拡げていく試みを進めていくことで、手持ちの/使いこなせる動詞が少ない状態でどうやって英語で話しをするのかという発想が自然と芽生えていきます。
間違いをゼロにすることを考えるより、少しでも(英語のルール上可能な限り)自分の都合の良いようにならないかなという視点を持つことの方が、何かを学習していく上ではるかに有意義です。何かを覚えていく過程で間違えて覚えていたという事例は、英語に限らず日常生活の中で頻繁に起こり得る至って普通なことです。むしろ英語を勉強し続けてきたからこそ、間違って覚えることもあると考えましょう。
動詞 [get] を軸として身につけたら、他の重要度の高い動詞 [give, take, be, have] を使えるようにしていくのが理想です。
これらの動詞に注目することで、日本語の視点を有効活用していけるはずです。そしてそこに英語を話す技術という視点を加えると、英語上達には効果大です。
練習を繰り返す過程で自分で間違いに気づくと、脳の意識はその部分に注意/集中することになるので記憶はより強化されます。失敗は成功の母です。無駄なことをしたと思うのではなく、遠回りをしたから記憶が強化されていったと考えることが重要です。日常性を意識して動詞 [get] を身につけていきましょう。ローマは一日にしてならずです。