英語を話すコツを考える。

日本語の発想を活かす

受動態(受け身)は [I was stolen ~] と英語で発想しないことが大事?

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もし [私は財布を盗まれた] を英語にしようと思ったら  =>  [I  was  stolen  my  wallet  (by ~).] と考えますか?

残念なことにこの英文は間違っています。私は不幸にもこの間違った形で受動態(受け身)を学校で習い、さらに使う場面を教わらなかったので、長い間、この受動態(受け身)をおかしな形で利用していました。受動態/受け身は英語のどういう場面で利用するのかを理解することが非常に重要です。今回は受動態(受け身)を掘り下げていきます。

受動態(受け身)は英語でどんな役割をはたすのか?


英語では [誰々は ~する/した] という形の英文を能動態と呼び、
[〇〇は ~される/た] という英文を受動態 (または受け身)と呼びます。

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=> He   stole   my   wallet. (彼は 盗んだ 私の財布を) -能動態

この英文を [~される/た] という形にするのが受動態(受け身)の基本原理で、私は学校で以下のような英文にすると習いました。

=> x,,, I   was   stolen   my   wallet   (by him).

[誰々が ~される/された] という英文を作成したい時、通常の基本文の動詞の前に [be動詞] を配置し、動詞を過去分詞に変えることで表現できるのが受動態と習いました。


でもこれは、完全に間違いです


受動態(受け身)を英語で使うためには、それがどういった場面で利用されるものかを理解することが重要です。


受動態(受け身)は大まかに考えると、以下の三つの場面で利用されるものです。

1, 通常 [動詞に関連 (目的語/補語)] に配置される [人/物/事に] 焦点をあてた文を利用したい場合
2, 行為者が明確ではない、または行為者を明確にしたくない場合
3, 客観視した表現を利用したい場合

 

基本文とは、

基本文:[主語 動詞 動詞に関連 ~ (+ 接着剤 説明)]
([主語  動詞 動詞に関連] までが、基本文の核)

英文は [主語] [動詞] [動詞に関連] [接着剤  説明] という四つの枠組みで構成され、それら四つの枠組みは状況に応じて個々に拡張したり、複数が拡張したりします。

[主語]        ,,,, I/You/He/She/We/They/It/名詞
[動詞]        ,,,, [~する] という意味を表すもの
[動詞に関連]  ,,,, 名詞/形容詞/me/you/him/her/us/them/it/たまに副詞(正確には動詞に関連するもの)-[目的語/補語] でも可
[接着剤 説明] ,,,, 前置詞/不定詞/動名詞/接続詞/関係代名詞/関係副詞 etc (正確には接着剤効果のあるもの)

拡張とは、それが単独ではなく何かと一緒に利用されることで、[表現できる幅を広げていくこと] を意味しています。


基本文について詳しく知りたい方は、こちらを読んでください。

www.colombiacolom.net

受動態/受け身が英語で使われる場面とは?


1, [通常 [動詞に関連] に配置される [人/物/事] に焦点をあてた文を作成したい場合]


通常、英文は [主語 動詞 動詞に関連 ~ (+ 接着剤 説明)] という流れで形成されます。

=> He   stole   my   wallet. (彼は 盗んだ 私の財布を)
主語 動詞 動詞に関連

この基本文の中の動詞に関連(ここでは my wallet)に来るものに焦点をあてて、英文を作成したい時に活躍するのがこの 1 です。


やり方は [my  wallet] に焦点をあてるために、[my  wallet] を主語の位置に配置して、その後に [+  be動詞  動詞の過去分詞] を配置することで受動態を完成させます。

=> He   stole   my   wallet.
=> My   wallet   was   stolen   (by   him).

[stolen] の後の [by  him (それを行った行為者)] は、それがないと意味が伝わらない場合以外はなくても特に問題ありません。受動態(受け身)においてその部分はあまり重要ではありません。(その部分を強調したいなら通常の基本文で表現すればいい)


ここで [私は  盗まれた] だから、
=> I   was   stolen   my   wallet   (by ~).  としてはなりません。

そうできない理由は、

1, [動詞に関連] に配置されているのは [my  wallet] で、[me] ではないから
2, [steal] という動詞は性質上 [動詞に関連] を拡張させない
(動詞に関連に [人] は配置されない)

 

とすると [steal] を受動態で利用する時は、必ず主語の位置に配置されるのは [物/事] だということです

そもそも意味もおかしくて、[I  was  stolen  ~] だと [私は盗まれた] ではなく、[私(自身)が盗まれた] という意味になってしまいます。


受動態(受け身)の主語に [人] を配置できないというわけではありません。

例えば [(私が)ボブに蹴られた] ことを強調したい場合は、
=> I   was   kicked   (by   Bob). -受動態

この受動態の元の文は、
=> Bob   kicked   me. (ボブは蹴った 私を) -能動態


他にも [(私は) パーティーに招かれたんだ 彼に] と言いたい場合(招かれたという部分をフォーカスしたい場合)、
=> I   was   invited   to   the   party   (by   him). -受動態

この受動態の元の英文(能動態)は、
=> He   invited   me   to   the   party. (彼は招待した 私を そのパーティーに)

[動詞に関連1] に人が配置されていれば、人を主語に受動態(受け身)を作成できます。([me] の後の [to] は [invite] とセットです) 

動詞によっては受動態の主語に [人] を配置できないと頭に入れておきましょう。

 

 

2, [行為者が明確ではない、または行為者を明確にしたくない場合]


会話において、行為者が誰なのかわからないことや、行為者を明確にしたくないことについて話す場合が存在します。

それを行ったのが誰かはわからない(定かではない)が、そこで起こったある事象を説明したい場合、[物/事] を主語に配置することで文を作成していきます。


私は財布を盗まれたのだが、誰に盗まれたのかがわからない(行為者が明確ではない)場合、
=> My   wallet   was   stolen.

誰に盗まれたのかはわからないので、[by 人] は当然無しです。


私は財布を盗まれたのだが、誰に盗まれたのかを明確にしたくない(行為者を明確にしたくない)場合も、
=> My   wallet   was   stolen.

それを行ったのが誰なのかは目星がついているのだが、色々な理由でそれを隠したい(またはその人をかばいたい)時、[~される/された] という行為自体に焦点をあてることで行為者への注目を避ける/回避することが可能になります。

そういう場面で活躍するのが、この 2 です。

 

 

3, [客観視した表現を利用したい場合]


会話において [自分が~、彼が~、彼女が~、それが~] 以外に、[一般的に/総体的に~言われている] 等の表現を利用したい時があると思います。


そういう時、3 の
=> It   is   said   that   基本文. という形で表現が可能です。


もちろん英語も日本語と同様に [~と言われている] と表現しているだけで、それが真実/事実なのかは(どうでもいいとはいいませんが)定かではありません。


過去の話しなら、
=> It   was   said   that   基本文. (言われていた ~は ~と)

他にも [believe, report, expect, etc] 等が利用されます。
=> It   is   believed   that   基本文. (信じられている ~は ~と)
=> It   is   reported   that   基本文. (報告されている ~は ~と)
=> It   is   expected   that   基本文. (期待されている ~は ~と)


こういった言い方を知っていれば、相手に説明したり相手を納得させたりする場合に有効な手段となりえます。

受動態/受け身を英語でどうやって使えるものにするのか?


受動態(受け身)を英語で使えるようにするには、最初の段階では 2 の時にのみ使うと決めます


えっ、と思うかもしれませんが、最初は受動態(受け身)を使う場面を自分の中で明確にする必要があります。それに最も適しているのは 2 です。


取りあえず受動態を使うのは、2, 行為者が明確ではない/行為者を明確にしたくない場合に限定し主語に配置するのは [物/事] だけにします

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そうすることで受動態(受け身)をいつ使うのか、なぜ使うのかを明確化しておくのです。


2 を使えるように練習を積み重ねると、受動態(受け身)が英語のどういった場面で効果を発揮するものなのかがよくわかるはずです。使う場面を想定しながら受動態(受け身)の英文を作成する練習を繰り返しましょう。

2 が使いこなせるようになれば受動態の効果が頭に入っている状態なので、後は 1, 3 で利用する範囲を少し広げていくだけです。

受動態/受け身を使える自信がついたら


受動態(受け身)の仕組みと使う場面を理解し使える自信がついてきたら、基本的に受動態にしないものを頭に入れていきます。

1, [動詞に関連] が存在しない文
2, [動詞に関連] に場所を表す名詞が配置される場合
3, 形は能動態で意味は受動態のようになる動詞を利用する場合

 

1, [主語  動詞] までで文が完結する動詞(die, sit, cry, arrive, etc)-自動詞と呼ばれるもの。

2, [reach(到着する), enter(入る), round(曲がる)] 等のように、[動詞に関連] に場所を入れる動詞。
=> I   reached   the   beach. (私は 着いた その浜辺に)-能動態

3, [eat(食べられる), cut(切れる), bake(焼ける), cook(料理される), show(上演される), lock(鍵がかかる), rent(借りられる), sell(売れる), read(書いてある), ride(乗れる), tear(破れる)] 等の動詞。
=> The   bread   baked   well. (そのパンは上手く焼けた/焼かれた)-能動態

他にも、[have, lack, fit, suit, become] 等の動詞も受動態を使いません。


ただこれらを覚えるのは後回しで問題ありません。

ある程度、受動態/受け身が使える自信がついてから取り掛かりましょう。

最優先すべき事は?

 

受動態/受け身を使いこなすために優先すべきことは、まずそれを英語でいつ、どう使うのかを例文を沢山作って理解することです。

自分で受動態の英文を沢山作って、その過程で何かこれ違和感あるな~となった時に、ちょっと思い出してこういった受動態にできないものがないかを調べて頭に入れていけばいいと思います。

語学学習において絶対に必要なのは積み重ねですが、その時に重要のはいつ使うのかとなぜ使うのかを正しく知るある事にあります。

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また知ることに関して言えば、違う観点からの眺めを知ることも英語上達にとって大事なことと言えます。


受動態/受け身を覚える時には、動詞 [give] が持つ [~される側] からの視点と立ち位置を一緒に頭に入れるとより効果が増します。

www.colombiacolom.net


また使うものを限定して英会話能力を向上させる方法については、こちらでも説明しているのでぜひどうぞ。


受動態/受け身はいつ使うのか/なぜ使うのかをよく考えると、その必要性が見えてきます。練習を積み重ねて英語上達へつなげていきましょう。