英語の上級者や、英語のネイティブ・スピーカーと、自分の英語を比べると往々にして違いを見いだすことができます。その違いは知識の量だったり、好みの違いだったりと様々なのですが、そこには上達へ繋がる何かが落ちていることもあります。他者が作成する英文を眺め勉強することで、自身の英語向上を図ります。英語のネイティブと比較するシリーズの10回目です。
- 非ネイティブな私と英語のネイティブの英文を並べて比較
- 私がどう英文を作成したのかという過程を細かく分析
- 英語のネイティブの英文を見て浮かんだ疑問への質疑応答
という段階を経て、最終的にどうしていくべきかを解説していきます。
具体的な英文作成の過程とネイティブの英文から英語を考える
利用するのは、以下の日本語です。
TITLE: [ボブ、今、どこに住んでんだ?] -10
Bob: ちょっと不安になってきたな~。二人で俺のことハメてないよね? よしっ。ジョージにも聞いてみよう。
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Bob: ジョージ、俺、あの辺に住んでんだけどさ~。授業終わった後にここから歩いて帰るのは、警官のジョージから見てどうなの?
Geor: そんな馬鹿な奴は、この辺には一人もいないだろうなー。ボブ、歩いて帰ってないよな?
場面設定は、コロンビアの英会話スクールに通うボブと友達、先生が授業が終わった後に学校の前で冗談を言い合っての会話。基本的に生徒と先生は、仲良くなると友達感覚でため口で話しているので、formal な言い回しはほとんど出てきません。
[登場人物]
1,Bob ,,, 学校に通う生徒(一番の目的は英会話学習より...友達作り)
2,John ,,, ボブのクラスの担当教師で、後のボブの友達。
3,Malda ,,, 学校の教師でチーフマネージャー(女性)。ジョンの上司。
4,George ,,, 現職の警察官。とってもチャラくてナンパ好き。
点線より上は以前に説明しているので、今回は点線より下を英文にします。
それ以前の私とネイティブの英語/分析等は、こちらをどうぞ。(1から続く話です)
私と英語のネイティブは(そんな馬鹿なやつは~等)をどんな英語/英文にするのか?
1, [ジョージ、俺、あの辺に住んでんだけどさ~。授業終わった後にここから歩いて帰るのは、警官のジョージから見てどうなの?]
私の: Hi George, I live around the ABmart. As a cop, what do you think (that) I walk home after class ??
Dave: Hey George, As a cop what do you think of me walking home tonight after school ?? You know where I live right ??
Andy: So George, I live around there, OK ?? After class, walking home from here, as a police officer, what do you think ??
まず私がどういう流れで英文を作成するのかを説明していきます。
この日本語を見て私の頭に浮かぶのは、二つの英文で対応しようということです。
なので、
1, [ジョージ、俺、あの辺に住んでんだけどさ~] と、
2, [授業終わった後にここから歩いて帰るのは警官のジョージから見てどうなの?] の二つに分けます。
ここで [住んでいる] と言っていますが、正確に言えばホテル住まいなので [(一時的に)住んでいる] 状態です。英語ではこういった場合、[I live 場所] でも、[I'm staying 場所] でも問題ありません。
これについては、最初の回でネイティブの方に質問済みです。気になる方はこちらを読んでください。
ここではまず、
=> I live とします。
残っている [場所(あの辺に)] ですが、ジョージは今までの会話に参加していないので、ここでは [あの辺に住んでいる] を [ABマートがある辺り/の近くに] と正確に表現する必要があると考えます。
[~の辺に] は [~の辺りに] ということですから、[around 場所] を利用します。
もちろん [~の近く] という [near] でもいいと思います。こういった意味の近い表現は一緒に覚えておくと効果的です。
=> I live around the ABmart
それに [ジョージ] を [Hi George] として付け足して、
=> Hi George, I live around the ABmart. (ジョージ、俺 住んでんだけど ABマートの近くに)
二つ目の文の [授業終わった後にここから歩いて帰るのは、警官のジョージから見てどうなの?] は、英文にしやすいように配列を頭の中で [警官のジョージから見てどうなの? 授業終わった後にここから歩いて帰るのは] に変えます。
そしてこの文で注目するのは、[~から見てどうなの?] という部分です。[~として] という意味を表現するには、[as] を使って [一人の警察官として] を [as a cop] とします。([cop] の所は [police officer] でも問題ないはずです)
この [as] の使い方は日常会話で幅広く利用できます。
ここではジョージが、
[警官] なので [cop] でしたが、
医者なら [as a doctor] 、
教師なら [as a teacher] 等々、名詞の部分を入れ替えて便利に使えます。
残る日本語は [どうなの?] ですが、ここでの [どうなの?] は [どうするの?] ではなく、
[どう思うの?] のどうなのなので、[what do you think] を利用して、
=> As a cop, what do you think (警官として どう思う?) とします。
そうすると足りていないのは、[授業終わった後に、ここから歩いて帰るのは] という部分です。[歩いて(家に)帰る] は [I walk home] で、[授業が終わった後に] は [授業の後に] ということなので [after class] ですから、
=> I walk home + after class
全てをつなげてみると、
=> As a cop, what do you think (that) I walk home after class ?? (警官としてどう思う? 歩いて帰る 授業の後に)
日本語を考えた時に、その日本語の文を英語の基本文の流れで考えられるようになるとより英文作成が楽になります。そういうクセを付けていくことが大事だと思います。
基本文とは、
基本文:[主語 動詞 動詞に関連 ~ (+ 接着剤 説明)]
([主語 動詞 動詞に関連] までが、基本文の核)
英文は [主語] [動詞] [動詞に関連] [接着剤 説明] という四つの枠組みで構成され、それら四つの枠組みは状況に応じて個々に拡張したり、複数が拡張したりします。
[主語] ,,,, I/You/He/She/We/They/It/名詞
[動詞] ,,,, [~する] という意味を表すもの
[動詞に関連] ,,,, 名詞/形容詞/me/you/him/her/us/them/it/たまに副詞(正確には動詞に関連するもの)-[目的語/補語] でも可
[接着剤 説明] ,,,, 前置詞/不定詞/動名詞/接続詞/関係代名詞/関係副詞 etc (正確には接着剤効果のあるもの)
拡張とは、それが単独ではなく何かと一緒に利用されることで、[表現できる幅を広げていくこと] を意味しています。
二人の英文構成はほとんど同じですね。気になる部分があるので聞いてみます。
Bob: 1- 最初の文の [~ think of me walking] は [~ think I walk home] と同じ意味になりますか? 2- ここで [tonight] を使っていますが、ここでは [at night] の方が正しいように感じますがどうですか?
Dave: 1- 少し違います。 [think of me] = [~は 私が~したら、どう思います] という意味です。 2- この場合は両方使えます。
Andy には文の並びについて聞いてみます。
Bob: After class, walking home from here , as a police officer, what do you think?? という文の並びになっていますが、As a police officer, what do you think of somebody walk home from here after school ?? としても問題ないでしょうか?
Andy: 大丈夫です。
三人の英文で基本文がどう使われているのかを見てみると、
私の: [Hi George,基本文の核. As a cop,what do you think + 基本文の核 +after class?]
Dave: [Hey George, As a cop what do you think of me +walking home +tonight +after school? You know where +基本文の核?]
Andy: [So George, 基本文の核. After class, +walking home from here, +as a police officer,+基本文の核?]
2, [そんな馬鹿な奴は、この辺には1人もいないだろうなー]
私の: I don't know anyone (who is) that stupid around here .
Dave: I don’t think there is anyone stupid enough to try something like that.
Andy: I don’t think there’s anybody that stupid around here.
私はこの文も最初に二つに分けます。
=> [そんな馬鹿な奴 この辺に] と、
=> [一人もいないだろうな~] の二つに。
最初は [一人もいないだろうな~] から考えます。
この日本語を見てパッと思い浮かぶのは、=> [I don't know anyone (who) ~] という文です。なぜそういった発想になるのかを考えてみると、それはその文の [一人もいないだろうなー] を、[一人も知らないな~] と私が解釈したからです。
もう少し正確に言えば、表題の日本語はその日本語で問題ないなと私が判断したからといえます。違う言語を話す以上、当然、その言語のルールの上に乗る必要があります。
だからといって最初に思い浮かんだ日本語を、そのまま英語のルールに乗せる必要は全くありません。
母国語ではない言語を話す時に重要になるのは、その言語の中の自分がコントロール可能なルールの上に、使いたい日本語をいかに微調整して乗せていけるのかです。
そうすると [一人も知らないな~] を英文にするわけですが、
=> I don't know anyone (私は知らない 誰も)
[anyone] だけでは説明が足りていないので、ここでは関係代名詞 [who] を利用することで説明を補足していきます。
関係代名詞は簡単に言えば、
- 1, 主語に配置された [名詞] を補足するか、
- 2, 動詞に関連に配置された [名詞] を補足するための接着剤です。
1, 名詞 + [(that/who/which) 主語 動詞 + α] 、
2, 名詞 + [(that/who/which) 動詞 動詞に関連 + α] という形で説明を補足します。
ここでは 2を使うことで、
=> I don't know anyone(名詞) + [who 動詞 動詞に関連 +α] なので、[who] の後に来る動詞を何にするかになります。
[そんな馬鹿なやつ この辺に] を英語にしたいわけですから、[そんな馬鹿なやつ] を [主語 is that stupid(とても馬鹿な人です)] として英語にすると、
=> I don't know anyone who is that stupid +α
残りの [この辺に] を、[around here] で表現することで、
=> I don't know anyone who is that stupid + around here.
この関係代名詞 [who] は [be動詞] と用いた場合、[who be動詞] を省略可能なので、
=> I don't know anyone (who is) that stupid around here. を、
=> I don't know anyone that stupid around here. とすることも可能です。
ただ最初は省略しない形で頭に入れておく方が混乱を避けられると思います。(関係代名詞については、まだ後になりますが数回に渡って説明予定です)
こういった接着剤効果のあるものを使えるようにするには、英語は基本文の核を作成してから足りない説明を付け足していく言語ということを頭に入れておくことです。詳しくはこちらに書いてあるので、よかったら読んでください。
そんな私に対して二人は [I don't think there is anybody/one~] としています。ここでは、こういった時にいつも気になる部分への質問をしてみます。
Bob: [I don't think there's anybody ~] という文は、[I think there's nobody ~] でも同じ意味で使えますか? もし違う意味なら何が違うのですか?
Dave: 確かに同じ意味ですが [I don't think ~] の方が普通な気がします。
Andy: 意味は一緒ですが最初の言い方の方が普通に使います。
いつも [I don't think ~] の文を、[I think + 否定文] では駄目なのかなと思います。[I think + 否定文] の方が日本語の感覚を活かせる都合が良いのですが、英語では [I don't think ~] の形が違和感がないんでしょうね。郷に入っては郷に従いましょう。
私の英語を含めた三人の大まかな日本語は、
私の: [知らないよ そんな馬鹿なやつ この辺で]
Dave: [思わないよ そんな大馬鹿なやつがいるなんて それを実行しようとする]
Andy: [思わないよ そんな馬鹿なやつがいるなんて この辺に]
三人の英文で基本文がどう使われているのかを見てみると、
私の: [基本文の核 +who is that stupid +around here.]
Dave: [I don’t think +基本文の核 +stupid enough +to try something +like that.]
Andy: [I don’t think +基本文の核 +that stupid +around here.]
3, [ボブ、歩いて帰ってないよな ?]
私の: Bob, You don't walk home, right ??
Dave: Bob, you aren’t walking home, are you ??
Andy: Bob, you don’t walk home, right ??
私がここで注目するのは [~よな ?] という部分です。
[~よな/よね ?] は、
- [基本文(肯定文),right ?] => [~だよね/~なんだよね ?]
- [基本文(否定文),right ?] => [~じゃないよね/~ではないよね ?] で表現可能です。
[歩いて(家に)帰る] は [主語 walk home] で表現できるので、
=> You walk home +, right ?? (あなたは 歩いて帰っている よね)
これの否定形ですから、
=> You don't walk home +, right ?? (君は 歩いて帰ってない よね)という文にします。
この [基本文, right ?] という表現は、日常会話で非常に便利に使える表現なので使えるようにしましょう。三人の表現はどれも [you don't walk home, do you ??] ともできます。 ここでは特に質問はないですね。
何が英語を話すために欠けているのか?
英語を話すためには、ある程度のインプットが必要です。でもただ闇雲にインプット作業を繰り返すだけでは、それらを使えるようにはなりません。
重要なのは、アウトプットしやすい形でインプットしていくことです。私は基本文という型に英語を当てはめることで、アウトプットしやすい状態を自身の中に作り出しています。
英語は日本語に比べて配列順を順守する言語で、特に [主語 動詞 動詞に関連] という流れは絶対的なものです。(守るべきもの)
そこに、何を、いかに当てはめるかを考えていくと、動詞を記憶から導き出せないと英文が作成できないという現実を思い知らされます。なので最初に動詞を身につけていきましょう。お勧めは断然、動詞 [get] です。動詞の [get] は表現できる幅が非常に広く、多くが日常よく使う表現なので優先して覚えるべき動詞と言えます。
こちらに動詞 [get] の良さが書いてあるので、よかったらどうぞ。
英語は日本語に比べてシステマチックです。それを理解していくために人の作った英文を分析することは有効な手段の一つです。それがどうやって形成されているのかを理解し、気にいった部分を自分のものにできれば、確実にあなたの英語を話す力は向上していきます。他者の英文を理解する過程で、英文を簡素化する工夫を加えると英文を作成するのが楽になります。そういった事も考えながら英語の勉強、練習を積み重ねていきましょう。