英語のネイティブ・スピーカーと、非ネイティブ・スピーカーの私の英語を比較する企画の5回目です。
英語の学習をしていて辛いことの一つに、自分の英語の上達を実感できないことが挙げられます。それを突破するためには自分での英語学習と、自分なりの何かしらの気づきが必要です。そのためには他者がどうやって英文を作成しているのかを知るのがお勧めです。
- 非ネイティブの私が英文を作成していく過程を細かく分析
- 英語のネイティブスピーカーは、同じ日本語をどんな英文にするのか
- 彼等の英文を見て感じた疑問についての質疑応答
という段階を経て、最終的にどうしていくべきかを解説していきます。
実際に英語のネイティブの英文を利用して英会話上達を考える
利用するのは、以下の日本語です。
TITLE: [ボブ、今、どこに住んでんだ?] -5
Bob: 今まで旅でつちかってきた勘かな~。そんなに暗くないし、危なそうな奴を見かけたことないし。
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John: よく聞け。お前が知ってんのは表面だけだぞ。たまたま自分の身や周りに危ないことがないだけで、危険じゃないなんて考え てんのは危ない考えだぞ。あの辺は、夜はマジで危ないんだぞ。他の奴に聞いてみろ!
コロンビアの英会話スクールに通うボブと、友達、先生による会話。
生徒と先生は友達感覚で話すので formal な言い回しは出てきません。
[登場人物]
Bob ,,, 学校に通う生徒(一番の目的は英会話学習より...友達作り)
John ,,, ボブのクラスの担当教師で、ボブの友達。
Malda ,,, 学校の教師でチーフマネージャー(女性)。ジョンの上司。
George ,,, 現職の警察官。とってもチャラくてナンパ好き。
点線より上は以前に説明しているので、今回は点線より下を英文にします。
それ以前の私とネイティブの英語/分析等は、こちらをどうぞ。(1から続く話です)
私が(知っているのは表面だけ等)を英語にする過程から考えます
1, [よく聞け。お前が知ってんのは表面だけだぞ]
[よく聞け] は難しく考えず、[Listen to me] にします。ついでに反対の表現も覚えておくと便利です。
=> You don't listen to him. (彼の言う事を聞いちゃ駄目だよ)
動詞 [listen] は、主に [listen to] で利用されます。セットで動詞と考えるとわかりやすいと思います。基本文に当てはめると [主語 listen to 目的語/補語] となります。
基本文とは、
基本文:[主語 動詞 動詞に関連 ~ (+ 接着剤 説明)]
([主語 動詞 動詞に関連] までが、基本文の核)
英文は [主語] [動詞] [動詞に関連] [接着剤 説明] という四つの枠組みで構成され、それら四つの枠組みは状況に応じて個々に拡張したり、複数が拡張したりします。
[主語] ,,,, I/You/He/She/We/They/It/名詞
[動詞] ,,,, [~する] という意味を表すもの
[動詞に関連] ,,,, 名詞/形容詞/me/you/him/her/us/them/it/たまに副詞(正確には動詞に関連するもの)-[目的語/補語] でも可
[接着剤 説明] ,,,, 前置詞/不定詞/動名詞/接続詞/関係代名詞/関係副詞 etc (正確には接着剤効果のあるもの)
拡張とは、それが単独ではなく何かと一緒に利用されることで、[表現できる幅を広げていくこと] を意味しています。
基本文について詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ。
ここで注目するのは [お前が知ってんのは表面だけだぞ] という部分です。
この日本語を見て私が考えるのは、これは [誰々が~なのは、~だけ] という文だなということです。なので [あなたが知っているのは 表面だけ] を英語にしようと考えます。
[あなたが知っているのは ~だけ] を英文にする場合、
私なら => [You know just 目的語/補語 ~.] という文を利用しようと考えます。
そうすると足りていないのは、[目的語/補語] に [表面] という英単語を当てはめること。でもここで単純に [表面] という英語の単語 [surface] を当てはめただけだと意味が伝わらないかもと感じるので、接着剤の関係代名詞 [what] を利用します。
関係代名詞 [what] は、以前に少し説明した 関係代名詞 [that] とはかなり違うもので、関係代名詞 [what + 説明(主語 動詞 ~)] 全体で、目的語/補語(または主語)を形成します。
関係代名詞 [what] を使う事で、[(が) ~するもの/こと] という名詞の塊を作成可能です。英語で名詞が使われる場所は、基本文の主語か、目的語/補語の位置です。
ここでは、
=> You know just + [あなたが見たこと] としたいので、[あなたが見たこと] は [what you looked] として、
=> You know just what you looked
関係代名詞 [what] がわかりにくかったら、その部分に簡単な [名詞] を入れて考えてください。
=> You know just it. (君が知っているのは それだけだ)
その [目的語/補語] の部分の [it (それ)] が、[what you looked (あなたが見た事)] に置き換わった英文ということです。(接着剤の関係代名詞 [what] は、まだ後になりますが詳しく説明予定です)
ただこれでもまだ説明が足りていないと感じるので、[あの地域で] という説明を付け足します。
=> You know just what you looked + in that area. (接着剤 + 説明です)
私が頭の中で考え利用した日本語は、[お前が知っているのは (あなた自身が)あの地域で見たことだけ] となり、当初の [表面だけ] という部分をより具体的に英語で表現したことになります。
接着剤効果のあるものについての大まかな説明は、こちらを読んでください。
2, [たまたま自分の身や周りに危ないことがないだけで、危険じゃないなんて考えてんのは危ない考えだぞ]
このままだと日本語が長すぎると感じるので、いつものように日本語を分解していきます。私の英文作成の根底には、日本語を活かすという発想が常にあります。
この日本語を私なら、
1, [たまたま自分の身や周りに危ないことがないだけで] と、
2, [危険じゃないなんて考えてんのは危ない考えだぞ] の二つに分解します。
まず先に英文にするのは、後ろの [危険じゃないなんて考えてんのは危ない考えだぞ] 。
英文のパターン化された表現の中に [~です ~することは] という表現があるので、それに日本語を当てはめて [危険だよ ~と考えることは] と考えます。
[~です ~することは] は、[It's 形容詞 that 基本文] で表現できます。
とすると [~です => 危険です] [~することは => ~と考えることは] なので、そこに英単語を当てはめると、
=> It's dangerous + that you think the area is not dangerous
これをもう少し解りやすくすると、
=> It's dangerous / that you think (that) the area is not dangerous (危険です / 考えることは / その地域が危険ではないと)
より日常会話っぽくすると [危険だよ その地域が危険じゃないと 考えることは] という感じです。
または、同じ [It's 形容詞 that 基本文] という形に [rely on (頼る)] という動詞と [only] を組み込んで以下のようにするのも有りかなと思います。
=> It's dangerous (that) you rely only on your experiences. (危険だよ 頼ることは 自身の経験だけを)
残りは前の [たまたま自分の身や周りに危ないことがないだけで] です。ここで私が注目するのは [~だけで] という部分です。
ここの [~だけで] は [ただ ~というだけで/~だからと言って] ということなので、ここでは [just because] を利用します。
後は [自分の身や、周りに危ないことがない] です。これは [(一定の期間) ~がない] ということなので、現在完了形の否定文 [have/has not 動詞の原形] を使います。
現在完了形についてははこちらを読んでください。
日本語を活用する発想についてはこちらを。
そこに [危なくなる = be in trouble] という英語の表現を組み合わせます。
=> you have not been in trouble yet
以前、会話の中で [危なくなったら] を表現するのに [get into trouble] を使いましたが、ここでは [be in trouble] にします。
[be] => ~の状態にある
[get] => ~の状態になる
ここでの [今まで危険な状態に陥っていない] という連続性を表現するのは、[be] を利用するの方が適切かなと感じたからです。(ただどちらでも問題ないと思います)
なので全てを合わせると、
=> just because you have not been in trouble yet. (~だけで あなたが まだトラブルに合っていないという)
この英文は、文の頭に [just because] という接着剤がくっついた [接着剤 + 基本文] という構成です。
二つの英文をくっつけてみると、
=> It's dangerous that you think the area is not dangerous + just because you have not been into trouble yet.
=> 危険ですよ
=> 考えるのは その地域が危険ではないと
=> あなたがまだトラブルにあっていないというだけで
私の頭の中では、
=> [It's 形容詞 + that 基本文1]
=> + [just because + 基本文2] という感覚です。
長い英文を攻略していくには、まず日本語を上手に分解するのが近道と考えています。そうすることで基本文の中に英単語を当てはめやすくできます。それが英文作成を手助けしてくれます。
[get into trouble] を使った会話はこちらにあるのでどうぞ。
3, [あの辺は、夜はマジで危ないんだぞ。他の奴に聞いてみろ!]
これは英語の基本文を理解できていれば簡単です。[あの辺は、夜はマジで危ないんだぞ] を、そのまま基本文に当てはめると、
あの辺は => That area
マジで危ない => really dengerous
夜は => at night
動詞には、be動詞を使って、
=> That area is really dangerous at night. でいいと思います。
正確に言えば、動詞はこのように後で決めているというより、この日本語を見ると
[It is 形容詞/名詞 ~ (それは ~です)] という形を自然と思い浮かべるので、[be動詞] を使うのは最初の段階で決まっています。
[It] を、[That area] として、
=> That area is 形容詞/名詞 ~ になり、
=> That area is really dangerous と基本文の核を完成させ、
=> That area is really dangerous + at night. と英文を作成する感じです。
基本的に、英文を作成するのに最初に決めるのは動詞です。
残りは [他の奴に聞いてみろ!] です。
ここの [~してみろ] は私ならきっと動詞を拡張させる助動詞 [should (~したほうがよい/~するべき)] を使います。[他の奴に聞く] は [ask somebody else (尋ねる 他の誰かに)] でいいと思うので、
=> You should ask somebody else
日本語だとそれで完了でいいと思いますが、英語ではもう少し説明を加えておく方がいいかなと感じるので、その後に [それについて] という [about it] を付け足して、
=> You should ask somebody else + about it !! とします。
英語は日本語のように文脈から内容を推測するということが基本的に組み込まれていない言語なので、詳しく説明しておく方が無難です。
助動詞 [should] については、こちらに詳しく書いてあるのでどうぞ。
英語のネイティブ・スピーカーの英文を見てみます
今回も、Dave と Andy に協力してもらいました。
1, [よく聞け。お前が知ってんのは表面だけだぞ]
Dave: Listen to me !! It only looks that way. You don’t know how dangerous it really is !!
Andy: Alright, listen. All you know is just the outside surface.
ここでは二人の好みの違いが出ていますね。気になる部分をいくつか質問してみます。
Bob: [It only looks that way] とは正確にはどういう意味ですか?
Dave: [way] は [~ふう/~様] と考えればいいはずです。 なので [It only looks that way] で、[そんなふうに/その様に見える] ということです。
Bob: [the outside surface] で、外側の表面という意味でいいのでしょうか?
Andy: そうです。そういう意味です。ここでは [outside] なしの [surface] だけでもいいかなとも思います。
話しの流れ次第では [surface = 表面] でも英語として十分伝わるということですね。
2, [たまたま自分の身や周りに危ないことがないだけで、危険じゃないなんて考えてんのは危ない考えだぞ]
Dave: It is stupid to think that area is safe just because nothing dangerous has happened yet.
Andy: By chance, nothing bad has happened to you, and you haven’t seen anything bad happen around you, but to think that there’s no danger there is a dangerous thought.
Dave は [It is stupid to think ~] => [馬鹿げた考えだ ~] ですか。なるほど。
二人とも [nothing dangerous has happened yet] [nothing bad has happened to you] と、[nothing 形容詞 has happened ~] を使っています。
[nothing 形容詞 has happened ~ ( ~が起こっていない ~)] という [nothing] と [happen] の組み合わせを使う場合の注意点は、[nothing, something, anything, anywhere, etc] 同様な英単語と形容詞を一緒に利用するときは、形容詞はそれらの後ろに配置されるという点です。
通常は形容詞 名詞 => dangerous area の並びで、
上記の物は、nothing 形容詞 => nothing dangerous の並びということです。
Bob: 1- [but to think] の [but] の意味は何なのでしょう? 2- また [but to think that there's no danger] の後の [there] は場所を表す [there] でいいでしょうか?
Andy: 1- [今までは何も悪いことがなかった{が} 本当は危ない] の [が] を意味しています。 2- はい、そうです。その部分の [there] は場所を表しています。
Bob: [but to think that there’s no danger there is a dangerous thought] を細かく分析すると、 [but to think (考えることは)] という主語を、関係代名詞以下の文 [that there's no danger there (そこを危なくないと)] で補足し、 残りの [is a dangerous thought(危険な考えです)] が動詞、目的語/補語でいいでしょうか?
Andy: そうです。そういうことです。
3, [あの辺は、夜はマジで危ないんだぞ。他の奴に聞いてみろ!]
Dave: At night that area is really dangerous. Why don’t you try asking another person ?
Andy: That area is really dangerous at night. Ask anybody else and see what they say !
確かに [Why don’t you ~] もここでは有りですね。
[Why don’t you ~] は [どうして ~しないのか] という意味の他に、[~したらどう] でも利用できます。ここでは特に質問はないですね。
どうすることで英語が上達していくのか?
英語を上達させるには、自分で勉強するということが必要不可欠です。
英語の本、英会話の本を読んだだけで、または私のブログを読んだだけで英語が話せるようにはなりません。(そんなことが可能なのは言語の天才だけです)
何かを参考にしながら、自分で英語の勉強をしているからこそ、色々吸収していく過程で何かしらの気づきがあるのです。あなた自身が英語の勉強をしていなければ英語上達への気づきは訪れません。
一番最初に行うべきなのは、自分の中に英語の単語の蓄積量を増やすことです。
でもただ単純に暗記をするのではなく、覚えたものを引き出せるように覚える必要があります。そのためには英語の基本文を活用するべきです。基本文の中に英単語を当てはめて、英文の形で英語の単語を頭に入れていきましょう。
最初の段階で重視すべきなのは、英語の基本文の活用、英単語のインプット(動詞を優先)だと思います。
そこに英語を話す技術という視点を加えると、より効果が増します。
英語表現をインプットした後で意識してほしいのは、日本語から英語をひねり出せるかです。英語を話すには、[ある日本語が頭に浮かんだら、この場合はこれ!] という感じで、それに対応する英語表現を素早く引き出す必要があります。頭の中でパッと想い出せるように、つながりを持たせながらインプットを行っていきましょう。