英語上達のためには、英語のネイティブが日常的に使っている表現を知ることに加えて、他人がどういう流れで英文を作成してくのかを眺めた時、自分ならこうするなという発想を持つことが重要です。知識をどう自身のアウトプットの土台とするのか。同じ日本語をネイティブ・スピーカーに英語にしてもらい、その英語を眺めながら色々と考えていきます。(英語ネイティブと比較する企画の12回目)
- 非ネイティブな私と英語のネイティブの英文を並べて比較
- 私がどう英文を作成したのかという過程を細かく分析
- 英語のネイティブの英文を見て浮かんだ疑問への質疑応答
という段階を経て、最終的にどうしていくべきかを解説していきます。(そこから英会話上達へのヒントを探ります)
具体的にどう英文を作成していくのかをネイティブの英語と比較し考えます
利用するのは、以下の日本語です。
TITLE: [ボブ、今、どこに住んでんだ?]-12
Geor:ボブ、相手が持ってるのはガ〇(拳〇)だぜ(笑)
_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _
Geor:もし物取りにあったらどうする気だよ?
Bob: 一撃加えて、ダッシュで逃げるよ。
Geor: ハハッ、そんなに上手くいくとは思わないけど。(笑)
場面設定は、コロンビアの英会話スクールに通うボブと友達、先生が授業が終わった後に学校の前で冗談を言い合っての会話。基本的に生徒と先生は、仲良くなると友達感覚でため口で話しているので、formal な言い回しはほとんど出てきません。
[登場人物]
1,Bob ,,, 学校に通う生徒(一番の目的は英会話学習より...友達作り)
2,John ,,, ボブのクラスの担当教師で、後のボブの友達。
3,Malda ,,, 学校の教師でチーフマネージャー(女性)。ジョンの上司。
4,George ,,, 現職の警察官。とってもチャラくてナンパ好き。
点線より上は以前に説明しているので、今回は点線より下を英文にします。
それ以前の私とネイティブの英語/分析等は、こちらをどうぞ。(1から続く話です)
私と英語のネイティブは(そんなに上手くいくとは~等)を、どんな英語/英文にするのか?
1, [もし物取りにあったらどうする気だよ?]
私の: If they try to rob you, what will you do?
Dave: What are you going to do if someone tries to rob you?
Andy: What would you do if they tried to rob you?
私の英文から説明していきます。
日本語を見ると [もし~なら ~する] という文なので、ここでは [if] を利用しようと考えます。[if] は [もし~なら ~する] という意味の文を、[If 基本文1, 主語 will 動詞 動詞に関連 ~] で表現可能です。
この時、日本語は英文にしやすいように頭の中で、1,[もし物取りにあったら] と、2,[どうする気だよ ?] との二つに分割します。
まず [もし物取りにあったら] ですが、これをそのまま考えると [~されたら] という表現になります。一般的に学校では [~される] = 受動態(受け身)と習うと思います。でもここでは、それより自身が置かれている立ち位置を変えて、自身が [~される] のではなく [誰々が 私に~する] という視点で英文を考えます。
基本的に受動態(受け身)は、主語がわからない場合や、主語をぼかしたい場合に使うものだからです。
なので最初の文をみると受動態かなと思う文でも、主語の立ち位置を変えることで通常文として考えることができます。
受動態についての詳しい説明は、こちらを参考にしてください。
そうすれば [物取りをする] という動詞に、[~から~奪う/~を襲う] という意味の [rob] と、[~を試みる] という意味の [try] を組み合わせることで、
=> If they try to rob you , (彼等が 襲ったら あなたを) とできます。
英語では基本的に主語を省略しませんし、動詞の後に来る [動詞に関連] に配置される人も省略されないので、[誰が] と [誰を] という立ち位置を意識することで、英文作成をよりスムーズなものにをしていけます。
残りは [どうする気だよ ?] ですから、難しく考えず [(あなたは)どうするつもりですか ?] を英文にして、
=> what will you do? とするかなと思います。
二つをくっつけると、
=> If they try to rob you, what will you do? (彼等が 襲ったら あなたを あなたはどうする)
簡単に考えれば、[もし~なら] という部分を [If 基本文1(現在形)] で表現し、[~する] の部分を [,基本文2] で表現するということです。基本文2の部分が [~するだろう => 主語 will 動詞 動詞に関連 ~]、[~しなければならない => 主語 must 動詞 動詞に関連 ~] 等と変化すると頭に入れておくと便利です。
助動詞 [will] [must] 等の詳しい説明は、こちらをどうぞ。
私は文の頭に [If ~] を使って、ネイティブの2人は [if] をカンマの後で利用していますが特に違いはありません。[if] は、[If 基本文1, 基本文2] の順番が [基本文2 if 基本文1] でも問題なく使えます。
基本文とは、
基本文:[主語 動詞 動詞に関連 ~ (+ 接着剤 説明)]
([主語 動詞 動詞に関連] までが、基本文の核)
英文は [主語] [動詞] [動詞に関連] [接着剤 説明] という四つの枠組みで構成され、それら四つの枠組みは状況に応じて個々に拡張したり、複数が拡張したりします。
[主語] ,,,, I/You/He/She/We/They/It/名詞
[動詞] ,,,, [~する] という意味を表すもの
[動詞に関連] ,,,, 名詞/形容詞/me/you/him/her/us/them/it/たまに副詞(正確には動詞に関連するもの)-[目的語/補語] でも可
[接着剤 説明] ,,,, 前置詞/不定詞/動名詞/接続詞/関係代名詞/関係副詞 etc (正確には接着剤効果のあるもの)
拡張とは、それが単独ではなく何かと一緒に利用されることで、[表現できる幅を広げていくこと] を意味しています。
基本文について詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ。
ここでは Dave に1つ質問します。
Bob:[What are you going to do ~] は、[What will you do ~] や [What would you do] でも問題ないですよね?
Dave:全部、OK です。
3人とも、[if 基本文 + ,what will/would/be going to 主語 動詞?] という事ですね。
2, [一撃加えて、ダッシュで逃げるよ]
私の: I would hit them and run away, quickly .
Dave: Hit the dude as hard as I can and run like mad!
Andy: Give them a good whack and run for it.
ここで私が注目するのは、[~して 逃げるよ] という日本語の中に潜んでいる [逃げる(だろう)] の [~するだろう] という部分です。
[~するだろう] ということは、推量、推測について話すわけですから、助動詞 [will, would, may, might] 等を使うのが良いと考え、その中の [would] を使う事にします。
私はこの [~だろう] という予測、推量を、[will(90%) > would(70%) > might(40%)] と簡素化して頭に入れています。[may] は [~してもよい(許可)] という意味でも利用できるので基本そちらで使います。
そうすると続く動詞をどうするかですが、[~して ~するよ] という日本文をそのまま英語にしようとせず、1, [一撃加える] と、2, [(ダッシュで)逃げる] の二つの動詞として考えます。
[一撃加える] は動詞 [hit(叩く/打撃を与える)] を利用して [hit them] とし、[ダッシュで逃げる] は、[走って逃げる/逃げ去る] ということですから [run away] とします。
=> I would hit them and run away
もちろん [run away] は、[escape] でもいいと思います。後はそこに [ダッシュで] という意味を付け足すことにします。[ダッシュで] は [急いで/すぐに] という意味なので、副詞の [quickly] を使って、
=> I would hit them and run away, quickly . とします。
[run away] で [走って逃げる/逃げ去る] という意味なので、[quickly] はなくてもいいかなとも思いますが、一応つけておきます。
[away] についてはこちらでも取り上げているので、よかったらどうぞ。
Dave は、[as hard as ~] を使っていますね。[as ~ as 誰々 can] で [できるだけ~] という意味で利用できて、[誰々 can] の部分は [possible] でも表現可能です。
=> Hit the dude as hard as I can and run like mad!
=> Hit the dude as hard as possible and run like mad!
これは非常に便利な表現なので覚えておきましょう。
Andy は動詞 [give] を利用しています。こういった部分をみると [give] の応用力の高さがわかります。
動詞 [give] については、こちらの記事も参考にしてください。
ここでは Dave に1つ、Andy に2つ質問していきます。
Bob:[dude] は [guys] でもいいですか?
Dave:いいです。意味とニュアンスは一緒です。
Bob:1,ここで使われている [whack] は [hit] と同じ意味ですか? 2,[run for it] はただ逃げるというより、急いで逃げるという意味なのでしょうか? また他の言い方をするならどんな表現を使いますか?
Andy:1,その通りです。 2,はいそういう意味です。他の表現なら [make a break for it] とか、[escape] とかですね。
なるほど。勉強になります。
私の英語を含めた3人の大まかな日本語は、
私の: [彼等をぶったたいて 逃げ去るよ 急いで]
Dave: [彼等をぶったたく 可能な限り強烈に それで走るよ 狂ったように]
Andy: [彼等に打撃を与えて 走って逃げるよ]
3人の英文で基本文がどう使われているのかを見てみると、
Dave: [基本文の核(主語省略) +as hard as I can +and run +like mad!]
Andy: [基本文の核(主語が省略) +and run for it.]
3, [ハハッ、そんなに上手くいくとは思わないけど。(笑)]
私の: Hahaha, I don't think you can manage to do that .
Dave: Haha! You must be stupid to think that would work.
Andy: Haha, I don’t think that would go so well. (laughs)
ここで私が最初に英語にしようと思うのは、[~とは思わないけど] という部分です。[~とは思わない] ですから、[~と思う] の否定形と考え、[I don't think + 基本文] を利用します。
=> I don't think + 基本文
続いて [そんなに上手くいくとは] ですが、英語にしやすいように日本語を [そんなに上手くやれるとは] と頭の中で変換します。
これをさらに単純に [(そんなに)上手くできる(とは)] と考え、助動詞 [can (~できる)] を利用することにします。
=> you can do that
これにもう1つ [なんとか~する = manage to 動詞] という要素を付け加えて、
=> you can manage to do that とするかなと思います。
助動詞 [can] と動詞 [manage] の使い方は、こちらを参考にしてください。
残る笑い声を追加して全てをつなげると、
=> Hahaha, I don't think you can manage to do that .
Dave はここでは [must (~に違いない)] を利用していまね。この [must] は [~しなければならない] の意味ではなく、推量/推測の [must] です。この意味の [must] を使う場合の注意点は、否定形(~であるはずがない)は [can't/cannot] という点です。この部分がわかりにくいと感じる場合は、肯定文でのみ使うことで混乱をさけましょう。
この推量/推測の [must] を私は上記の3つ(will,would,might)の中に組み込んでいません。[must] を上の3つの中に組み込まない理由は、[must] が将来の推測に用いることができないからです。
予測/推量など確信の度合いについては、こちらを読んでください。
ここで他に注目したいのは2人の [上手くいく] の英語の動詞です。Dave [work (上手くいく/機能する)]、Andy [go (進行する/運ぶ)] という英語で対応しています。一般的な意味だと [work = 働く] [go = 行く] ですが、この意味でもよく使われるので覚えておきましょう。
まずここでは、Andy に1つ質問があります。
Bob:[I don't think that] の [that] は、[it] でも問題ないですか?
Andy:大丈夫です。[that] の方が先の事を特定している感じになります。
なるほど。こういった部分は非常に勉強になります。少し似たような質問を、Dave にしてみます。
Bob:[~ that would work] の [that] は、[it] でも大丈夫ですか?
Dave:大丈夫です。本来 [think] の後に [that] があり [You must be stupid to think (that) that would work] なのですが、[that] を連続して言うのは不自然なので最初の [that] は省略されています。なので [it] を使うと [You must be stupid to think that it would work] とできます。ただそれでも会話の時は、[You must be stupid to think (that) it would work] と [that] は省略すると思います。
英語の [it,that] は意外と奥が深いということが理解できますね。
私の英語を含めた3人の大まかな日本語は、
私の: [ハハハ、俺は思わないよ お前がなんとかそうできるとは]
Dave: [ハハ、お前は 馬鹿に違いない 思っているなら それが上手くいくと]
Andy: [ハハ、俺は思わないよ 運ぶとは そんなに上手く]
3人の英文で基本文がどう使われているのかを見てみると、
Dave: [Haha! You must be 形容詞 +to think +(that)that would work.]
Andy: [Haha, I don't think + 基本文の核(動詞が拡張)]
何が英語が話すのに必要なのか?
もし勉強しているのに英語がなかなか話せるようにならないのであれば、積み重ね方が効果的でない可能性があります。
英語を話すためには多量のインプットを必要としますが、ただ闇雲に頭にいれるだけでは、なかなかアウトプットできるようにはなりません。なるべくアウトプットしやすい形でインプットしていくのが大事です。
私はアウトプットしやすくするために、使い方を狭くして色々な表現を頭に入れてきました。
推量/推測を [will(90%) > would(70%) > might(40%)] と簡素化し、[may] は [~してもよい(許可)] という意味で使う等です。最初から全ての使い方を頭に入れるのは難しいです。引き出しを増やしていくのは自分の中に基盤ができてからでも遅くはありません。使い勝手の良さそうなものを自分なりに取捨選択し、それを集中的に覚えていきましょう。